【南相馬訴訟】「20mSvで指定解除するな」~被曝から家族守ろうとして事故に遭った夫。妻は訴える「勧奨地点解除されても汚染は消えぬ。撤回を」
- 2016/09/29
- 07:19

空間線量が年20mSvを下回ったことを理由に「特定避難勧奨地点」の指定を一方的に解除したのは違法だとして、福島県南相馬市の住民808人が国を相手取って起こした民事訴訟の第5回口頭弁論が28日午後、東京地裁103号法廷で開かれた。キンモクセイ香る初秋の南相馬だが、勧奨地点が解除された後も汚染でキノコやマツタケなど「山の幸」は口に出来ない。そして帰らぬ夫…。法廷では2人の原告が被曝リスクへの不安や厳しい避難生活、放射...
「終の棲家を返せ」。富岡町の男性の怒りと悔しさ。不眠、体重減。妻もストレスで卒倒。裁判長は旧保安院官僚の証人尋問に前向き~福島原発かながわ訴訟
- 2016/09/28
- 07:06

「福島原発かながわ訴訟」の第17回口頭弁論が19日午後、横浜地裁101号法廷(相澤哲裁判長)で開かれ、福島県富岡町から神奈川県横浜市に避難中の男性(69)が、「終の棲家」を奪われた怒りや哀しみを意見陳述した。一方、原告弁護団が求める専門家証人尋問は、進行協議で相澤裁判長が「名倉繁樹さん(旧原子力安全・保安院)の話は聴いてみたい」と前向きな姿勢を示したという。早ければ年明けにも、津波対策のキーマンが証言台に...
【飯舘村長選挙】さながら〝総決起集会〟の村制60周年式典。菅野村長への審判は3週間後。子育て世代には「どうせ聴く耳持たぬ」とあきらめムードも
- 2016/09/26
- 07:23

村長選挙を3週間後(10月16日)に控えた25日午前、原発事故による全村民避難中の福島県飯舘村で村制60周年を記念する式典「いいたて60祭」が開かれた。放射性物質による汚染で政府の避難指示が継続中の村内に関西からお笑い芸人を呼び、送迎バスを7台用意して仮設住宅から村民を集めての記念式典。さながら村長選挙に向けた総決起集会の様相だった。「復興」の二文字が飛び交い、中学生の合唱に涙を流した菅野村長は、2017年3月末...
【ふるさとを返せ 津島原発訴訟】裁判官ももらい泣きした2人の母の意見陳述。「失ったものを償って欲しい」~第3回口頭弁論
- 2016/09/24
- 08:03

原発事故による全町避難中の福島県浪江町。その中でも、特に放射能汚染の酷い津島地区の住民たちが国や東電に原状回復と完全賠償を求める「ふるさとを返せ 津島原発訴訟」の第3回口頭弁論が23日午後、福島地裁郡山支部で開かれた。息子に被曝を強い、息子から平和な日々を奪った原発事故。2人の母親の涙ながらの意見陳述に裁判官ももらい泣きした。「俺たちが何か悪い事でもしたのか」。原告たちはビラ配りやデモ行進で怒りを口...
【帰還困難区域】「昔の津島を返してくれ」。故郷も自宅も山の幸も奪われた浪江町民の叫び~避難生活で壊れた「心」と「身体」
- 2016/09/20
- 05:14

「震災から2000日」や「あれから5年半」。メディアで盛んに使われる言葉は、あくまで暦の上での区切りに過ぎない。当事者にとって原発事故は現在進行形だ。福島県浪江町から二本松市に避難中の男性(50)が、匿名を条件に怒りや哀しみを語った。自宅のある津島地区は最も汚染の度合いが高い「帰還困難区域」に指定され、以前のような生活を送れる目途は立っていない。放射性物質の拡散で避難を強いられ、自身も娘も心身に傷を負っ...
【3・11甲状腺がん子ども基金】菅谷昭市長が指摘するこの国の誤り。「健康調査の充実を」「長期保養も必要」~基金はまず患者の経済的支援へ
- 2016/09/18
- 09:34

「3・11甲状腺がん子ども基金」の設立シンポジウムが17日午後、都内で開かれ、基金の特別顧問である長野県松本市長の菅谷昭さんが基調講演。チェルノブイリ原発事故後、ベラルーシ共和国で甲状腺治療に従事した経験から「甲状腺ガンはもちろん、他の健康障害も長期的な観察が必要だ」と訴えた。また、決して財政が潤沢でないベラルーシが国家予算で子どもたちの長期保養に取り組んでいるのに対し、日本は「政府が無関心」、「これが...
【66カ月目の福島はいま】絵手紙に込められた原発事故から5年半の想い。汚染、避難、孫…。講師に促されて綴った「本当の事」
- 2016/09/17
- 06:36

福島県郡山市で18日まで開かれている絵手紙展「ありがとう展」。同県川俣町や郡山市の女性たちが、「震災5年目」というテーマで出品している。なるべく余計な言葉は排して、絵手紙に綴られた想いをそのまま届けたい。そこには「風評被害」や「過剰不安」などという紋切り型の表現では突き放せない、市井の人々の現在の心の内が詰まっている。「3.11」から2000日超。しかし、原発事故はまだまだ終わっていない。【「心までは除染で...
【県民健康調査】子どもの肺炎、母親のうつ…。「甲状腺ガン」だけじゃない原発事故の影響~「縮小」ではなく幅広い調査こそ必要
- 2016/09/15
- 08:54

原発事故後、甲状腺ガンの有無を調べている「県民健康調査」の第24回検討委員会が14日午後、福島市内で開かれた。6月30日現在、甲状腺ガンの手術を受けたのは計136人。検査方法の「縮小」に関しては、否定的な意見が相次いだ。一方、肺炎など感染症で子どもが入院していることも報告され、母親のうつ傾向も明らかになった。チェルノブイリ原発事故後、精神疾患が増えたとの指摘も。求められるのは健康調査の「縮小」ではなく「拡大...
【66カ月目の福島はいま】揺るがない父親の決意。「子どもたちを守るために戻らない」~福島市から米沢市へ。5年半の〝自主避難〟を語る
- 2016/09/14
- 06:06

福島県福島市で酒販店を営む湯野川政弘さん(62)=ハート・ウエッジ福島代表=は2011年5月、妻と3人の子どもと共に山形県米沢市に〝自主避難〟。今も米沢市から福島市の店舗に〝逆通勤〟しながら家族を守っている。10μSv/hを超した自宅の側溝。早々と校庭での授業再開を決めた小学校。被曝のリスクからわが子を遠ざけようと「二重生活」を決めてから5年半が経とうとしている。なぜ福島に戻らないのか。父親としての揺るがぬ想いを...
生産者も小売業者も被害者。「福島産を買わない消費者」への理解と不満~相双地方物産展で語られた「原発事故から5年半」の現実
- 2016/09/12
- 07:04

10、11の二日間、福島県福島市の「コラッセふくしま」で開かれた相双地方物産展「サムライフード祭」で、出店者らに「風評被害」への本音を聴いた。内部被曝のリスクを考慮して「福島産」を買わない消費者への理解もあった。「これだけ測っているのだから、むしろ他県産よりも安全だ」と不満も耳にした。そこには「風評」という二文字だけでは語れない、原発事故被害の現実があった。止まらぬ汚染水と漁業の試験操業。救済されぬ小...