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【松戸市議会】甲状腺検査、公園のホットスポット、除染土壌の再利用。被曝リスクを直視しない松戸市~「土壌測定」続けるDELI議員が一般質問

千葉県・松戸市議会の本会議が15日、開かれ、土壌測定を一貫して続けているDELI議員が一般質問に立った。今回も「福島県内除染土壌の公共事業への再利用」、「公園に局所的に点在するホットスポット」、「甲状腺検査でのA2判定の位置づけ」など、DELI議員は市当局の消極的な放射線対策を質した。しかし、市側は「国の動向を注視したい」、「甲状腺検査はあくまで市民の不安解消」などと答弁。今回も「松戸市には被曝リスクは無い」との姿勢に終始した。原発事故による被曝リスクはもはや、過去の話なのか。


【甲状腺検査に消極的な医師会】
 甲状腺検査に対する考え方に、松戸市の姿勢が如実に表れている。
 「検査を実施することで健康不安の軽減に資することを目的として実施しており、あくまでも現在の身体状態を知る機会として活用していただくものと位置付けている」(健康福祉部長の答弁)
 甲状腺検査は「不安解消」であって「調査」ではないという。健康福祉部健康推進課の担当者が取材に応じた。
 「そもそも、松戸市医師会などの専門家は『甲状腺検査を実施する科学的意義を見出せない』という意見でした。降った放射能の量が福島とは違いますからね。しかし、市民から『どの医療機関に行っても検査をしてもらえない』と要望が寄せられたため、不安を解消していただくために、2014年度から市立病院で甲状腺検査を始めました。『子どもたちの健康を長期に見守る』ことを目的として、子どもたち全員を対象に、継続的に行われている福島県の甲状腺検査とは意味合いが違うのです」
 「そもそも被曝リスクは無い」から、検査は1人1回のみ。それが、DELI議員の度重なる要望で、ようやく今年度から隔年で受けられるようになった。今年度は58人が既に申し込んでいるが、うち10人が一昨年に検査を受けた〝二巡目〟。しかし、市民が「A2」(5ミリ以下の結節や20ミリ以下ののう胞を発見)と判定されても、市は「経過観察不要」との認識だ。
 「一人ひとりに医師から結果を丁寧に説明していることから、受診した方にはご理解いただけていると認識している」(健康福祉部長)
 25分間かけて医師がていねいに説明する。しかも今年度から隔年で検査を受けられるようになったから経過観察の必要はない─。市側の姿勢に、DELI議員はこう、反論した。
 「福島では、二巡目の検査で悪性ないし悪性の疑いと診断された方は計57名となったが、そのうちの53名は先行調査ではA1(28名)、A2(25名)だった。あえてA2を経過観察不要と診断するのは見直すべきだ」
 健康福祉部長は「『経過観察不要』という表現の仕方については、再度健康管理対策会議において検討していく」と答弁したが、いつ、どの会議で、誰が、何を根拠に「松戸で甲状腺検査を実施する科学的意義を見出せない」と発言したのか。松戸市民の初期被曝がどの程度だったのかについては、データが無いのが実情。それでなぜ、被曝リスクが無いという姿勢を貫けるのか。DELI議員は呆れたように、議場でこう語った。
 「今回も質問と答弁がかみ合わないというか、質問にきちんと答えていただけなくてとても残念です。今回は単刀直入に科学的な根拠があればお示しくださいと質問したんですが、お答えいただけなかったんで、やっぱり科学的な根拠はないんだなというのが分かりました」


一般質問を行った松戸市議会のDELI議員。当選以来、公園の土壌測定を続けている=「PLANETROCK」提供

【「今後も土壌は測らない」】
 土壌測定の必要性を公約に掲げて当選し、議会でも訴え続けているDELI議員。例えば「胡録台公園」では2015年10月23日の測定で、北川入口の土で3万7800Bq/kgの放射性セシウムが検出された。しかし、汚染土の量が少ないためか、空間線量は最大でも0・186μSv/h。「市が除染の基準としている0・23μSv/hに達しないため放置されている」(DELI議員)。しかし、松戸市公園緑地課は「土壌測定の必要はない」との姿勢を貫いている。
 公園緑地課によると、市内約350の公園で年1回、計7500か所の空間線量を定点測定。2014年度、2015年度ともに0・23μSv/hを上回った地点は無かったという。しかし、DELI議員の測定では、市の基準値を上回る地点が複数、見つかったという。一般質問でも「いくら7500ポイント計測していてもこういう状況を見落としているのは事実」、「僕らが調査している限りでは松戸市の汚染は面ではなく点で汚染されていて、局地的にホットスポットが点在している状況」などと、改めて土壌測定の必要性を求めたが、こちらも市は正面から答弁しなかった。
 「ホットスポットの多くは公園の管理業者以外が行った排水溝の泥上げによるものと思われます。このように泥上げされている場所の殆どが、公園の植栽地等、基本的には人が立入らなかったり、長く滞在しないような場所にあり、日常生活空間ではないとの認識であったため、予算審査特別委員会の中では、今後の課題としては取り上げませんでした」(街づくり部長)
 これには、DELI議員は「私達はそんな人が立ち入らないような所は計測してませんよ」と反論。福島でも散々、言われ尽くされている事だが、子どもの行動はコントロール出来ない。土に触れ、時には口に入れる。興味を示せば植え込みだって入っていく。だかこそ、DELI議員は「測定が形骸化しないように、ぜひ土壌測定の必要性なども含めて今後の実施方法について見直してください。よろしくお願いします」と頭を下げた。取材に応じた公園緑地課の担当者は「7500カ所の測定地点について見直したいが、今後も土壌測定を行う予定は無い」と語った。


松戸市では、甲状腺の超音波検査で「A2」と判定された場合は「経過観察不要」として扱われる。DELI議員は「あえてA2を経過観察不要と診断するのは見直すべきだ」と求めた

【受け入れる?除染土壌の再利用】
 現在、松戸市内の2カ所のクリーンセンター(清掃工場)には、940トンもの8000Bq/kgを超える焼却灰が「指定廃棄物」として保管されている。国は千葉県内の指定廃棄物は千葉市内の民有地に長期管理施設を設けて集中管理する方針を示しているが、市環境部廃棄物対策課の担当者は「私たちも、分散管理ではなく国の集中管理を支持します。8000Bq/kgを下回ったとしても、処理業者に受け入れてもらえない。持って行き場が無いのです」と語る。一日も早く、千葉市内に運び出したいというのが市の本音だ。
 しかし一方で、環境省は福島県内の除染作業で生じた汚染土壌について、8000Bq/kgを下回ったものを全国の公共事業で再利用する方針を固めている。一方では搬出しようとして、他方で汚染土壌を受け入れる可能性のある矛盾。DELI議員は「これだけ悩まされながら、汚染された持って行き場のない焼却灰は市外での管理を支持している一方で、それと同等の持って行き場のない汚染された土壌を市外から持ってきて市内の公共事業に使うなんて事になれば、完全に矛盾してしまいます」と国への働きかけを求めた。
 市側はしかし、ここでも木で鼻を括ったような答弁を繰り返した。
 「南相馬市での実証試験すら行われていない状況で、除染土壌の再生利用についての考えや、再生利用する場合の住民への説明について、市としての考えを述べるに至っていない」(環境部長)
 DELI議員は「すごく大きな国の方針転換ですよ。市としての方針を示していただきたかった」と語り、「知らない間に道路に使われていたということの無いよう、国に対して説明を求めて欲しい」と強調したが、市は「国の動向を注視していかなければならない」と述べるにとどまった。
 環境部長は言う。「国の政策とはいえ、基礎自治体として市民の安心・安全を守る責務がございます。必要に応じ対応していかなければならない」。自らの言葉に忠実に、着実に実行していただきたいものだ。


(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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