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【27カ月目の福島はいま】盛大な六魂祭の陰で被曝が続く福島市

「六魂祭には25万を超す人が訪れた」。瀬戸孝則福島市長は市議会で胸を張った。だが、その陰で、福島市内には依然として高濃度に汚染された地点が数多く存在する。汚染の度合いが計り知れない阿武隈川を軸に、放射線量の高い岡部地区を歩いた。復興はもちろん大切だ。だが、復興と被曝回避は両輪でなければならない。子どもたちの被曝の危険は確実に存在する。


【放射線量が激減した町内会の測定に疑問】
 福島原発から西北西に約62km。阿武隈川からほど近い福島市大旦地区は、依然として手元の線量計が0.4-0.5μSv/h。ごみ袋に詰め込まれた落ち葉は1.3μSv/hを超す汚染が続いている。
 「国会議員にはここに住んで欲しいね。分刻みのスケジュールで〝視察〟したって、実体が分かるわけがない」。近くに住む70代の男性は、怒りを込めて話した。「ちょこっと来て、話を聴いて、野菜を食べて帰る。こそうでなくて、こに住めば線量の高さを実感できるべ」。
 町内会で月一回、放射線量を測定。結果が回覧板でまわってくる。まだ除染も行われていないのに、ある時期を境に突然、数値が激減したという。
 「低い個所を選んで測っているんじゃないかね?だいたい、出てくる数値も場所が明記されていない。なり手が無いなかで町内会の役員をやってもらているから、あまり強くは言えないけれど、役所に押さえつけられているのかと思いたくなるよね…。私の家は、きちんと測ってもらったら0.7μSv/hあったよ。それなのに周知される数値が0.2-0.3μSv/hじゃ測る意味が無いよね。高い数値を出したくないんかな」
 不満は尽きない。いずれ宅地除染が行われると言っても敷地内に仮置きしなければならない。少なくなったとはいえ子どもがいるのに通学路は除染されない…。最後に男性は、苦笑しながら言った。
 「桜の木も汚染されているから切ってくれと町内会の役員に頼んだんだ。そうしたら何て言ったと思う?『花見ができなくなるから、それはできねえ』ってよ。花見のために汚染を放置するのかね…」




放射線量が低減していない福島市岡部地区。阿武隈川のサイクリングロードは0.7μSv/h、売りに出されている更地も0.5μSv/h。数値の明示と子どもたちの被曝回避が急がれる

【1.0μSv/h超す下釜運動公園】
 大旦地区から阿武隈川をはさんだ西側。交通量の多い国道4号と川の間に古い市営団地が立つ下釜地区がある。運動公園では初老の男女がパークゴルフを楽しんでいた。近づくと、手元の線量計の数値がグングン上がる。あっという間に0.9-1.0μSv/hに達した。
 「ここは線量高いよ。分かってて(パークゴルフを)やってるんだ」と男性は言った。「どのくらいだ?0.9?まあ、『れいてん』なら(1.0μSv/h以下なら)問題ねえっぺ」
 その横で、一緒にプレーしていた女性が「0.9?たっかいね!」と大きな声をあげた。「私の家なんか0.3μSv/hくらいしかないよ」とも。もはやこの街では、0.3μSv/hは危険値でなくなっている。
 運動公園から再び国道4号に出る。松川橋のたもとに、福島市が昨年10月に測定した放射線量が掲示されていた。1.3μSv/h。8カ月経っても放射線量は激減していない。一刻も早く公園を封鎖するべきだ。






(上)(中)高濃度に汚染されている下釜運動公園。福島市の測定から8カ月経っても1.1-1.2μSv/hと高線量。子どもを近づけてはならない
(下)福島市役所東部支所近くの水田では0.5μSv/hを超す。だが、田植えをしていた男性は「中通りは危険ではない」と言い切った=福島市岡部

【「中通りは危険ではない」「事故直後から外遊び」】
 「警戒区域はともかく、中通りはチェルノブイリと比べても危険ではありませんよ。以前、原発関連の仕事をしていたから分かるんです」
 福島市役所東部支所の近くでコシヒカリの田植えをしていた30代の男性はきっぱりと言った。
 1歳と4歳の子どもの父親でもある男性は、原発事故直後から子どもたちを事故前と同じように屋外で遊ばせていたという。「周囲の人は、私が原発関連の仕事をしていたことを知っていますからね。その私が子どもたちを屋外に出さないとなれば、本当に危険だということになってしまいます。室内に閉じ込めておくストレスの方が、よほど身体には悪影響を及ぼすと思いますよ」。
 国見町、桑折町にも水田を持ち、田植えが終われば福島市内で桃の手入れも始まる。何かと〝風評被害〟が叫ばれるが「一年目は確かに厳しかったけど、だいぶ落ち着いてきたんじゃないかな。それに、僕もそうだけど賠償金もらって喜んでいる人もいるしね。いろんな人がいますよ。いろんな意見を聴いてください」と話す。
 コシヒカリは、10月にも収穫して出荷される。「県が全袋検査を行っていますからね。何ら問題ないです」と男性。最近は、かつての同僚や先輩たちが気がかりだという。
 「原発に対する逆風が激しいですからね、心配です。僕も簡単には反原発だとは言えないですよ」



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)

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