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【飯舘村議選】2人の若手議員「放射能など課題だらけ」「村民の声聴く」。菅野村長は「ダメダメ言うだけでは…」とクギ。入院したまま当選の現職に批判も

任期満了に伴う福島県・飯舘村議選が24日、投開票され、10人の顔ぶれが決まった。帰還困難区域を除く避難指示解除後も多くの村民が福島県内外に避難・移住している中、投票率は前回2013年と比べて9・8ポイント下がり63・23%。原発事故前と比べると30ポイント近くも下がった。3、40代の若手新人が2人当選したものの、病気療養のため入院したまま一度も村民の前に顔を出さない現職が上位当選するなど、依然として村の古い体質も浮き彫りに。〝村長派〟と呼ばれるグループの多数派工作はし烈さを極めた。当選から一夜明け、村役場で当選証書を受け取った若手2人に話を聴いた。なお、今月13日号で取り上げた庄司圭一さんは惜しくも議席獲得はならなかった。


【「住民参加型の村づくり」へ】
 村役場の会議室で行われた当選証書付与式。自身の考えと対峙する事になる議員たちを意識した菅野典雄村長の言葉が、今回の選挙を如実に表していた。
 「避難指示解除はスタートではなくゴール。村民の生活をどう守り、環境を整え、復興を成し遂げていく事が我々、選ばれた者の責務だと思っている。そう考えると、ただただ駄目だ駄目だという話だけで前に進むとは思っていない。場合によっては「加害者」、「被害者」を超越して、素晴らしい復興を成し遂げていく事が大切だ。選ばれた者としての大所高所からの考え方をしっかり持って村民のために働いていく事が大切なんだろうと思う。復興に向けての素晴らしいご活躍をしていただけると期待している」
 原発事故の〝加害企業〟を「東電さん」と言ってはばからない菅野村長らしい言葉でクギを刺した格好だ。前回選挙以降の4年間、議会はほぼ全員が菅野村長の「イエスマン」。村長選挙への出馬のため議員辞職し、トップ当選で復帰を果たした佐藤八郎さんは「民主主義のかけらも無かった」と振り返る。それが、今回は少なくとも3人の議員は村長と考え方を異にする。「中立」を公言している議員も含めれば、半数が「非イエスマン」であるとも言える。告示日直前になって候補者の擁立に動き、多数派工作を図ったとの見方もあるほど、〝村長派〟と呼ばれるグループの危機感は強かった。
 しかし、水面下での多数派工作の裏で、原発事故以降の村政に対する村民の不満は根強い。避難指示解除や村内学校再開では「村民の意見を聴いて欲しい」との声が高まった。交流センターや道の駅など「ハコもの」重視の復興施策にも疑問の声が上がっている。それだけに、当選した若手2人はともに選挙公報で「住民参加型の村づくり」、「物言える復興」を掲げた。帰村した村民と戻らない村民との考え方の違いが色濃くなる中で1人でも多くの村民の声を集約し、いかに村政に反映させるか。新生議会も責任は重い。






(上)佐藤健太さん。村商工会の青年部長を務めるなど「しがらみも多い」と語るが、2児の父として「子どもたちを一度も村に連れて来た事は無い。放射能の問題は何も答えが出ていない」とも語る
(中)菅野典雄村長は挨拶で、いわゆる〝反村長派〟の議員を意識してか「ただただ駄目だ駄目だという話だけで前に進むとは思っていない」とクギを刺した
(下)議長として菅野村長とともに避難指示解除を先導した大谷友孝議員は入院療養中。立候補の届け出から当選証書の受け取りまで、全てを代理人が務めた。10月2日の初議会に出席出来るか否かも不透明で、村民からは疑問の声があがっている=飯舘村役場

【「安心出来る放射線量なのか」】
 村商工会の青年部長を務めるなど知名度の高さで2位当選を果たした佐藤健太さん(35)は「村長選を見ても分かるように、どうしても〝村長派〟〝反村長派〟で村民が割れてしまうので、あくまで中立という所に軸足を置きたい。菅野村長の意見も全てが正しいわけではない。両方の意見をつなぐ車輪の軸でありたい。立ち位置が難しいが、中途半端にならないようにしたい」と話す。
 家業の佐藤工業は長年、村内で波消ブロック型枠の保管管理やメンテナンス、金属製品や部品の加工に従事してきた。自身も専務であるだけに「しがらみも少なくない」と明かすが、一方で「放射能の問題だって終わっていないし、この村にはまだまだ課題だらけ」とも。「除染で放射線量が下がったとはいえ、まだまだ安心出来る数値かどうか…。何も答えが出ていない。僕自身、まだ村に妻も子ども(2歳と生後2カ月)も連れて来ていない。来春にも村内で学校が再開されるが、自分の子どもを通わせるかと言ったら、まだまだ課題が多い。何らかの『答え』が出るまでは様子を見たい」。選挙を通じて、改めて帰村した村民と村外で暮らす村民との考え方の違いに気付かされたという。
 高橋和幸さん(43)は告示日に足を骨折し、松葉杖姿で当選証書を受け取った。「選挙期間中『お前はどっち派だ?』と尋ねられたが、『私はどっち派でもありません。あくまで高橋和幸党です』と言って歩いた」と振り返る。選挙公報では「決してイエスマンにはなりません」とアピールした。「正しいと思ったら賛成するし、間違っていると判断すれば新人であっても態度を明らかにする。言う事は言わせてもらう」。
 政治家は選挙期間中だけ有権者に頭を下げて当選したら知らんぷり─。そんな不満も至る所で耳にした。「自分はそう言われたくないので、仮設住宅でも飯舘村内でも常にノートとペンを持って歩きたい。『村民の声を聴いて』、『村民に寄り添って』って口ばっかりで誰も実行していない」と意欲を見せる。
 取り組むべき課題に「賠償継続とADR、徹底除染、生活再建」を挙げる。「誰が好きとか嫌いとかでは無く、村の維持・継続のために尽力したい」。
 





依然として汚染と被曝リスクは解消されず、除染で生じた汚染物も村内に大量に保管されている。帰村率は1割に満たない中、村民の声をいかに村政に反映させていくか、議会に求められる役割は大きい

【候補者不在で5位当選】
 議長は最後まで姿を見せなかった。
 菅野村長との〝二人三脚〟で避難指示解除、帰還推進の旗振り役を担ってきた大谷友孝さん(66)は当初、健康問題を理由に議員引退を表明していた。福島市内で期日前投票を済ませた村民も「春ごろから体調が思わしくなく、今回は選挙に出ないと決めていたようだ。私らもそう聞いていたが…。周囲に強く求められたのだろう」と首を傾げた。村職員も「当選通知書を届けたが、事務所に本人は居なかった」といぶかしげに語る。
 今月14日の告示日は代理人が立候補を届け出。10日間の選挙期間中も本人は一度も公の場に顔を出さなかった。当選証書も関係者が代理で受け取った。代理人の男性は具体的な病名などは明かさなかったが「大事をとって入院し、治療に専念している。批判?私は分からない」とだけ話した。当選証書付与式の終了後、菅野典雄村長が男性と握手する場面もあった。総務省選挙部選挙課は「個々の事例について公職選挙法上の是非を判断する立場に無い」と静観する構えだが、議員活動を続けられるのかどうかも含めて疑問が残る。当選した議員の1人は「この村にはまだまだ古い体質が残っている」と語ったが、選挙運動も出来ない状況でも5位当選してしまうのもまた、現実だ。〝村長派〟による多数派工作の1つとも言われている。
 「なんでも賛成」の議会から「是々非々」の議会へ。新しい議員による議会は10月2日に開かれる予定だ。村民の声をどれだけ拾い上げられるか。注目したい。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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