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【モニタリングポスト撤去】会津若松市でも継続配置を要請。福島県内5例目。室井市長は理解示しつつ「風評」発言。「想いは通じたのか?」悔し涙流す母親も

福島県内(避難指示区域を除く)に設置された「リアルタイム線量測定システム」と呼ばれるモニタリングポスト(MP)の撤去計画問題で、会津若松内に住む母親たちが14日午後、同市役所を訪れ、継続配置を求める要請書を室井照平市長に手渡した。MP撤去に反対する福島県内での要請行動は郡山市、福島市、いわき市、伊達市に続いて5例目。24日には白河市でも継続配置を求める要請書が市長に提出される予定。室井市長は基本的には継続配置に理解を示したものの、〝風評〟と何度も発言。参加した母親が戸惑い、悔し涙を流す場面もあった。


【「MPは目視できる唯一の情報源」】
 要請は16時すぎから会津若松市役所内の市長室で行われ、「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」の呼びかけに賛同して集まった会津若松市内の女性たち約10人が参加した。幼い子どもを連れた20代の母親など幅広い世代の女性が集まり、代表して廣野記子さんが要請書を読み上げ、室井照平市長に手渡した。「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」の共同代表を務める片岡輝美さん(会津放射能情報センター)も同席した。
 要請書は「原発事故直後から『比較的放射線量の低い会津地方』とされ除染は必要無いと言われてきましたが、2016年12月から翌年3月にかけて市内19箇所の学校などの教育施設から除染土が入るフレコンバッグ約1000袋が搬出されたことは、子どもたちの周囲に放射能汚染があった事実を示しています。そのような環境で子育てをする親にとって、リアルタイム線量測定システムは『日常的に目視で空間放射線量を確認できる唯一の情報源』なのです」として、①市内に設置されている134基の配置を継続し、廃炉作業が全て終了してから撤去するよう原子力規制委員会に強く要請する事②原子力規制委員会による住民説明会の開催を広く市民に周知し、市民の声を届ける機会にする事─を求めている。
 廣野さんは「確かに他の地域に比べれば空間線量は低いが、私たちには子どもが親になったその後まで責任がある。MPの数値は安心材料でもある。私たちの想いを国に届けていただけるのであればうれしいです。よろしくお願いします」と頭を下げた。
 夫の転勤で九州から転居してきた女性は、「原発事故は継続中。私たちは何が起こるか分からないという心配の中でここで暮らしている。MPの撤去は親として不安。せめて子どもたちが利用する施設だけでも残してもらえると大変ありがたい」と要望した。
 4歳の娘と一緒に参加した30代の母親は、結婚を機に東京から会津若松市に転居してきた。転居から半年後に原発事故が起きた。終了後、取材に応じ「あの頃の不安は今でも覚えています。果たしてここで子育てして良いのかも含めていろいろと心配でした。なにしろ放射性物質は空気中に漂っていても目に見えない。MPがある事で唯一、数値として目に見えるようになります。それすらも無くなってしまうのは…。今も子どもには近づかせたくない場所もありますから」とMP撤去に反対する想いを口にした。
 要請は20分ほどで終了。市側は文書での回答を約束した。








①会津若松市役所の市長室で要請書を読み上げる廣野記子さん。「安全の発信というよりは、数値の確認がすぐそこで出来るという事を私は望んでいます」と涙を流す場面も
②要請行動には幅広い年代の女性が参加。それぞれの言葉で継続配置への想いを口にした
③会津若松市「鶴城コミュニティセンター」に設置されているリアルタイム線量測定システム。福島第一原発から西に約97km。数値は0・066μSv/hだった=5月14日17時頃撮影
④室井照平市長に提出された要請書。首長への要請は郡山、福島、いわき、伊達に続き5例目。24日には白河市でも同様の要請が予定されている

【室井市長「安全発信のためにも必要」】
 要請書を受け取った室井市長は会津若松市議、福島県議を経て原発事故のあった2011年8月に就任。「お気持ち、お話を聴いてもっともな所がある。私も原発事故で風評被害に巻き込まれている立場として、しっかりこの内容を(国に)お伝えしたい」と答えた。継続配置という方向性は一致しているものの、室井市長の想いは集まったお母さんたちの想いとは微妙にずれていた。ここでもまた、キーワードとなったのが〝風評払拭〟だった。
 「まだまだ(原発の)完全撤去までは道筋は長いと思うし、その都度、何か報道されるたびに風評被害が起きてしまう。確かに空間線量が下がっている事は事実ですけど、それをなかなか認めていただけない会津というのも事実。我々は安全だという事で発信し続けるしか無い。そのためにもポストは必要だと思っております。そういう事で、しっかりとお伝えしたい」
 「これだけはですね…安心だと言ってもなかなか、外国の対応を見ていますと、我々は『大丈夫だ』、『ちゃんと測定してます』と言っても、輸入(制限を)解除してくれないのが実例だと思う。どこまでいっても心配な事は心配ですけど、より安全が確認出来る方が私は良いと思う。しっかり伝えたい」
 思うも寄らぬ「風評被害」、「安全」という言葉に、廣野さんは思わず「安全の発信というよりは、数値の確認がすぐそこで出来るという事を私は望んでいます」と涙を流して訴えた。別の女性が「世界的に例の無い事故で、果たして国が定める基準値が正しいのかさえ分からない。福島県内で小児甲状腺ガンが多いと言われているが、原発事故との因果関係はまだ分からない。復興を考えると『地元の物』というアピールも大切だと思うが、その事よりもまず、子どもの命を優先に考えていただけたらなと思います」と話すと、室井市長が「いろんなお話をされましたけど、セシウムとヨウ素は違います」、「カメラがあるので、個人的な見解はお話しするべきでない」などと〝反論〟する場面もあった。
 母親と一緒に市長室を訪れた幼稚園児たちに「連休で孫の風邪がうつっちゃった」と話しかけた室井市長。「現状が分かるMPについては、無いよりはあるべきだと思う。要請の趣旨については(国に)お伝えします」、「現状が分かる方法としては今はある事がもしかしたらベストかも知れないので、私としてはこの状態があるべき姿だと(国に)訴えて行きたい。そこはぜひ御理解いただきたい」、「我々も(原子力規制庁から)連絡をいただいたのは唐突だった。福島県市長会でもこの件が話題になったが、まとまった文書で上にあげるというところではまとまらなかったと聞いている」と話し、継続配置そのものには理解を示した。 
 5月末をめどに、要請書に対して市として文書で回答する事を約束した。






①要請書を受け取った会津若松市の室井照平市長。継続配置への理解は示しつつ「確かに空間線量が下がっている事は事実ですけど、それをなかなか認めていただけない会津というのも事実」と〝風評〟への想いも口にした
②「あいづわかまつ市政だより」5月1日号には、市民の反対を無視し国の意向に追随しているとも受け取れる表現で「134基のリアルタイム線量測定システムは全て撤去されます」という記事が掲載された。環境生活課の担当者は「国の意向をそのまま掲載したにすぎない。市として従っているという事では無い」と説明するが…
③要請行動には、生後4カ月の赤ちゃんをおぶった若いお母さんも参加した。MPの存在が安心材料になっているという側面もある

【市広報紙には「全て撤去されます」】
 終了後、取材に応じた室井市長は「MPがある事で確認出来るという…。数字が見えますから。なぜなくなるか(撤去するのか)という(国の)説明がていねいでなかったというのは事実だと思う」と話した。「MPの存在そのものが風評を招いているとは思わない。市内の空間線量は場所によっては原発事故前と変わらないところにまで下がっている。それが確認出来るという事は安心出来るという事。確かにMPがある事による風評は少しはあるかもしれない。でも、無い事で心配になる地元の人もいる。時々刻々いろんな動きがある事も事実ですから、現場では。それはやっぱり捉え方なので。今日は皆さんの心配を受け止めるという事で御理解いただきたい。こういうアピールはあるだろうと想定していた」。
 一方の廣野さんは初めての経験に「緊張した」とホッとした様子で取材に応じた。「想いが通じているのかなという哀しさと、子どもたちを想った時に涙が出ました」と振り返った。「今からでも福島県外に避難出来るのであればしたいです。でも、そうもいかない。その葛藤は常にあります」。室井市長が〝風評〟の二文字を口にした事については「そういう事じゃ無いのにな。残念でした」と話した。
 原発事故後の放射線量測定などを担ってきた環境生活課は、最新の市広報紙に「線量が十分に低く安定している地点を対象に、平成32年度末までに撤去され、避難指示・解除区域等への移設などに活用されることになります」などと撤去を前提としているかのような記事を掲載している。
 同課の担当者は「国の意向をそのまま載せただけであって、国の方針に従っているというわけでは無い」と釈明するが、一方で「市内の空間線量に関しては、原発事故直後から『健康への影響は無い』との見解を放射線管理アドバイザーからもらっているし、現在はさらに低い数値で安定している。『MPは役目を終えた』という国の説明も理解は出来る。MPが無いと困るという問題は無くなったのではないか」とも話す。
 2016年2月の市議会では、原田俊広市議(日本共産党会津若松市議団)の質問に対し、室井市長は「現在、国及び県より移設の要請は来ておりませんが、市といたしましては当面の間、現状の常時監視体制の継続をお願いしてまいりたいと考えております」と答えている。6月の市議会で再び質問が出る事を想定し、市教委などと答弁を練っているところだという。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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