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【モニタリングポスト撤去】〝言い出しっぺ〟田中俊一氏のいら立ち。「数値上がらないのに意味ない」「継続配置は単なるポピュリズム」。食品基準への批判も

原子力規制委員会の前委員長で、現在は福島県相馬郡飯舘村から「復興アドバイザー」を委嘱されている田中俊一氏が9日、飯舘村内で行われた講演後に取材に応じ、反対の声が高まっているモニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム=MP)撤去問題について「数値がこれ以上、上がる事は無いのだから早く撤去するべき」などと持論を述べた。撤去計画の〝言い出しっぺ〟の田中氏は、遅々として撤去が進まない現状へのいら立ちをぶつけるように「不安だからと言ってMP配置を継続するのは単なるポピュリズム」、「廃炉作業への母親たちの不安など関係ない」と継続配置を求める県民の想いを一蹴。MPが〝復興の足かせ〟になっていると言わんばかりの口ぶりだった。


【「廃炉作業への不安など関係ない」】
 講演中、ジョークを交えながら聴衆に見せた穏やかな笑顔から一転、その眼は鋭く、厳しい表情で言い放った。
 「あんな意味の無いものをいつまでも配置し続けたってしょうがない。数値がこれ以上、上がる事は無いのだから。早く撤去するべきだよ。廃炉作業でどんなアクシデントが起こるか分からない?そんな〝母親の不安〟なんて関係ないよ。そんな事ばかりやっているから福島は駄目なんだ」
 約1時間の講演を終え、飯舘小・中学校2階の多目的ホールから玄関に向かって階段を下りて行く田中氏に声をかけた。MP撤去計画は今年3月20日に開かれた原子力規制委員会の第74回会合で正式に方針が決定されたが、そもそもの〝言い出しっぺ〟が田中氏だからだ。2015年11月25日の第42回会合、当時の規制委員長だったで田中氏は、会合の終盤に次のような発言をしている。
 「原子力規制員会は、これまで(中略)モニタリングの実施とかデータの公表を行ってきましたが、事故から5年が経過しようとする中で、これまでの取組をもう少し整理した上で、先ほどの帰還困難区域の問題もありますので、それを少し見直していく必要があろうかと思います。今までどおりのモニタリングでいいかどうかということも含めてです(中略)是非事務局で、どうすべきかを含め、関係省庁との協議も含めて取り組んでいただくよう、私からお願いしたいと思います。それを受けて、また原子力規制委員会でどうすべきか議論させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします」(2018年3月22日号参照)。
 あれから約3年。しかし、撤去計画は田中氏の思惑通りには進んでいない。福島県内ではいわき市、須賀川市、会津若松市の母親を中心とした「モニタリングポストの継続配置を求める市民の会」が結成され、撤去に反対する署名は1万筆を超えた。いわき市議会、会津若松市議会、二本松市議会などからは「撤去反対」、「継続配置を求める」意見書が原子力規制委員長などに宛てて提出されている。田中氏は、それらに対するいら立ちをぶつけるように、筆者に言葉をぶつけた。
 「福島県庁にしたって非科学的な人間ばっかり。不安があるからMP配置を続けるなんて単なるポピュリズムだよ。ガバナンスが無い。おたくはどこの会社?フリーランス?そんな事も分からないようじゃジャーナリストをやめた方が良いよ」








①「北米音楽批評家協会」に所属する批評家たちを前に「日本の食品摂取基準(100Bq/kg)はあまりにも非合理的で非科学的。ぜひ安心して福島での食事を楽しんで行ってください」などと講演した田中俊一氏。講演後にMP撤去について質問すると怒りを爆発させた=飯舘小中学校多目的ホール
②福島市内の保育園に設置されているMP。田中氏にとっては「これ以上、数値が上がらないのに配置を続けるなんて意味が無い」存在なのだという
③④田中氏が講演で使用した資料の一部。原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)の報告書を引用しながら、現在の福島の〝安全性〟を語った

【「食品100Bq/kgは非科学的」】
 目に見えない放射線の存在に不安を抱き、MPの継続配置を求める事が〝復興の足かせ〟になっていると言わんばかりの田中氏の口ぶり。
 約1時間の講演では、来日中の米国人音楽批評家や作曲家を前に「原子力規制委員長を退任した後は飯舘村に移り住み、非常に美しい自然を満喫している」などと英語でスピーチ。「食べ物に関する放射能の基準が実は、やや非科学的なものでありまして、その結果いろいろな障害、問題が起きている」、「3・8μSv/hを基準に避難指示が出されたが、事故からだいぶ経ち自然減衰や除染で放射線のレベルが下がった。現在は3・8μSv/hを超えるのはほんの一部となったにもかかわらず、放射線のレベルが下がってもなかなか避難指示が解除されない地域があるなどいろいろな問題が生じている」などと〝問題点〟を指摘した。
 特に食品摂取の基準となっている100Bq/kgに関して、田中氏は「ヨーロッパ(1250Bq/kg)やアメリカ(1200Bq/kg)などと比べると日本は10分の1以下になっている。これは時の政府が…政治家はいつもその場限りの事を言います。トランプ大統領もそんなところがありますけれども。そういった事で低くした。その結果、この地域でものを作って販売したり食べたりしたりするという事がものすごく制限される事になっている」と厳しく批判。
 「決めた時の仮定が『食事の50%が100Bq/kgを超える』だった。福島県が行っている農林水産物の検査では、2015年の段階で100Bq/kgを超えたのはほんのわずか。基準値を超えるのは主に山菜やキノコ類だが、それらは私たちの食事の0・5%にすぎない。つまり仮定の100分の1だった。基準値を100倍しても良い。今の基準値はあまりにも非合理的で非科学的だという事が言える」と斬り捨てた。「ぜひ福島での食事を楽しんでください」。
 「ドクタータナカ」が繰り返した「非合理性」や「非科学性」。北米音楽批評家協会の男性幹部は終了後、「彼(田中氏)の言う事は良く理解出来た。避難先からもう戻れる状態であるという事を信じるしか無いのだろうが、難しい問題もある。風評被害もあるだろう。飯舘村に来る前に福島県庁を表敬訪問して副知事と話をしたが、まだ元の住まいに戻れない人がいる事へのジレンマを抱えている事が感じられた。それらの問題がクリアされるにはまだまだ時間がかかるだろう。福島の問題はアメリカでもニュースバリューが高いし、東京五輪では福島で行われる競技もある。戻ったらレポートにまとめたい」と話した。前夜は福島市の高湯温泉に宿泊したという。






①②③田中氏の講演を聴いたのは12人の音楽批評家や作曲家。小中学生の合唱や「飯樋の田植踊」に拍手を送った。主催した「ミュージックフロムジャパン」の三浦尚之理事は「飯舘村を含め福島が安全・安心である事をアメリカに帰って伝えて欲しい」と語った

【「米国で福島の安全・安心を伝えて」】
 12人の音楽批評家や作曲家は前日には福島県福島市の音楽堂を訪れ、「金沢黒沼神社の十二神楽」や「霊山太鼓」など福島の民俗芸能に触れた。NHK福島放送局で「はまなかあいづToday」を担当する吾妻謙アナウンサーが「福島の現状と課題」と題して非公開講演。民俗芸能学会福島調査団長の懸田弘訓さんも講演した。今回のツアーを主催した「ミュージックフロムジャパン」の理事で「音楽による福島まち造り実行委員会」委員長でもある三浦尚之さん(福島市)は「飯舘村は母の故郷で、菅野典雄村長は従兄弟(いとこ)という事もあり訪問地に選んだ。アメリカに帰って福島の安全・安心を伝えて欲しい」と語った。
 飯舘村では、小中学生が村民歌「夢大らかに」や「ときよめぐれ までいのロンド」を合唱。中学生は飯樋地区に伝わる「田植踊」の一部を披露した。子どもたちの歌に目を細め、田中氏の〝安全安心〟講演を聴いた12人はしかし、避難指示後も続く村民の葛藤を知らない。「生活環境は概ね整った」として避難指示は解除されたものの、とても生活環境が整ったとは言い難い現実を知らない。そもそも避難指示が出されなかった地域でも高い放射線量が計測され、公的支援をほとんど受けられずに自力で動いた〝自主避難者〟の苦労を知らない。避難先で自ら命を絶った母親の存在を知らない。7年以上が経過した今、汚染や被曝リスクを語る事は「大げさ」で「過剰不安」であるとされ、裁判では、加害当事者である東電も国も住民や避難者が抱える不安を全否定しているという不条理を知らない。モニタリングポストの撤去計画を巡って反対運動が起きている事など、全く知らない。
 原発事故さえ起きなければ抱かずに済んだ「不安」や「懸念」を、手でハエを追い払うかのように全否定する田中氏。穏やかな口調で進められた講演の裏にある辛辣な「本音」もアメリカで伝えられるのだろうか。「非科学的」で「ポピュリズムに満ちた」と田中氏が批判するMP撤去問題。南会津郡只見町を皮切りに始まった住民説明会は、今月28日には会津若松市で、8月5日には郡山市で開かれる。その後も福島市での開催も計画されている。MPの継続配置を求める住民たちは、田中氏の〝批判〟にどんな言葉で答えるのだろうか。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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