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【サン・チャイルド】木幡市長が「撤去」と「給与減額」を唐突に発表。目立った木幡市長の〝独り相撲〟。除幕式から3週間余。撤去時期も保管場所も減額幅も「未定」のまま

福島県福島市の「こむこむ館」に今月3日から設置されている6・2メートルの巨大モニュメント「サン・チャイルド」が撤去される事になった。福島市の木幡浩市長が28日午後、臨時記者会見を開いて発表した。「反省と戒め」として自身の給与減額も決めたが、撤去時期も保管場所も給与減額幅も全て「未定」のままでの唐突な発表。昨年11月の市長選挙で示した「市民とのコミュニケーションを大事にした『開かれた市政』」とはほど遠い〝独り相撲〟ぶり。市長選挙で「東京五輪でぜひ We Love FUKUSHIMA と言いたい」と宣言した木幡市長の〝暴走〟ばかりが目立つ騒動だった。


【「合意形成のプロセスを欠いた」】
 28日16時半から開いた記者会見に合わせるように、市のホームページに2回目の「市長コメント」を掲載。その中で「賛否が分かれる作品を『復興の象徴』として、このまま市民の皆様の前に設置し続けることは困難と判断しました。今後、できるだけ早く展示を取りやめたうえで、その取扱いを検討してまいります」として、サン・チャイルドを撤去する考えを示した。その上で「このたびの設置によって、心を痛めたり不快な思いをされたかたがたには、心からお詫び申し上げます」、「設置にあたり、合意形成のプロセスを欠いたことは、反省しているところであり、今後、合意形成には十分留意しながら、市政の運営に努めていきたいと思います」と〝反省〟の言葉を重ねている。
 自身の責任については「本市の統轄責任者として、今回の件を反省し、今後の市政運営の戒めとするため、市長給与の減額措置を講じたい」として、市議会の9月定例会か12月定例会に議案として提出し、市議会の同意を得たい考えだ。
 突然の撤去決定に、巨大モニュメントが設置されている「こむこむ館」の担当者も「急きょ決まった。これまでも寄せられた御意見は木幡市長に情報として上げており、総合的に判断したのだろう」とい話す。
 撤去時期や保管場所については、「速やかに撤去したいが、モニュメントは解体しても一つ一つのパーツが大きいので、入り口も含めて収納できる保管場所を探さない事には撤去作業に入れない」として何も決まっていないという。民間の倉庫を利用すれば保管費用がかかる。
 館内で実施されたアンケートはわずか10日間。告知も無く27日をもって締め切られた。寄せられた意見は110件にとどまった。「賛成」、「反対」などの二者択一式ではなく自由記載でのアンケートだったため表現も十人十色だが、担当者が肯定的な意見か否定的な意見かを振り分けて集計しているという。「現在、記者クラブに情報提供するためまとめているが、肯定的な意見もあるものの、割合としては少なかった」と担当者。合意形成のやり方に対する批判、アンケート方法への疑問もあったという。具体的にどのような記述をしたのか。市民が知る手段も無い。だが、こむこむ館の担当者はこう言う。
 「館内アンケートは終わったが、それだけが全てでは無い。今後もご意見があれば様々な方法があるので寄せて欲しい」






(上)今月3日の除幕式から1カ月もせずに撤去が決まった巨大モニュメント「サン・チャイルド」。しかし、撤去時期も保管場所も何も決まっていない=福島県福島市早稲町
(中)木幡市長が市のホームページに掲載した2回目の「市長コメント」。自身の責任については「今回の件を反省し、今後の市政運営の戒めとするため、市長給与の減額措置を講じたい」としている
(下)広報紙「ふくしま市政だより8月号」に掲載された巨大モニュメント寄贈の記事。「市民に夢と希望を贈り続ける」事無く、役割を終える事になった

【「木幡市長は『苦しみ』理解していない」】
 「私も前日の午後になって記者会見を開くという話を聴いた。撤去は当然だと思う。木幡市長は巨大モニュメントを『復興の象徴』と言っているが、市民の多くの賛同が無ければシンボルにはなり得ないだろう」
 そう話すのは、自民党系の現職市議。そもそも設置にあたっては市議会への報告も無く、撤去決定に関しても市議会での議論を経る事無く決めた(8月14日号参照)。共産党市議も「身から出た錆だ」と厳しい。
 モニュメントを巡っては、インターネット上で「放射線量が000とは科学的にあり得ない」、「福島市は、原発事故直後から防護服を必要とするほど危険な状態では無かった。誤解を招く」などと意見が噴出し、今なお〝炎上〟が続いている。作者のヤノベケンジ氏は今月10日付で謝罪文を自身のホームページに掲載。今回も「《サン・チャイルド》の展示取り止めについて」と題した声明文を28日付で掲載している。
 しかし、ほとんど語られないのが、原発事故直後からわが子を放射線から守ろうと必死に努力してきた親たちの想いだ。ある母親は、館内アンケートに「今も被曝リスクの不安と闘いながら生活している」、「この不安の大きさがどれだけつらいものか、市長は想像出来ないのだろう」と率直な意見を綴ったという。「今も続く苦しみを語るのに、モニュメントはあまりにも軽すぎる」。果たして自分の意見がきちんと「設置反対」に分類されか否かも気がかりだ。
 なぜ「サン・チャイルド」が「復興の象徴」なのか。木幡市長の言う「合意形成のプロセスを欠いた」今回の進め方では、市民に全く市長の意図が伝わっていなかった。そもそも「復興」とは何か。復興五輪で聖火リレーや野球・ソフトボールの試合が福島市内で開催されれば「復興」なのか。除染で生じた汚染土壌が目立つ場所から無くなり、モニタリングポストが撤去されたら「復興」なのか。
 木幡市長は昨年11月、市長選挙前に開かれた支持者の集会で「ニューヨークだと I Love N.Y と書かれたTシャツがシンボルですね。私は東京五輪でぜひ We Love FUKUSHIMA と言いたい。いろんな人が福島市に来ても、皆さんはいろんな想いを福島に対して持って来られます。福島はあれだけの被害があってさぞ、住民の皆さんも苦しんでる。自分たちの街が嫌になってるんじゃ無いのかなと思って来る方が多いと思う。それに対してわれわれは自信を持って言おうじゃありませんか。 We Love FUKUSHIMA と」と高らかに〝宣言〟した。少しでもわが子を放射線から遠ざけようと日々努めている母親らへの想いはそこにあるのか。復興庁福島復興局長から転身した木幡市長の主眼は「復興」と「風評払拭」。その〝本音〟が如実に表れた騒動だったのではないか。




(上)市長選挙告示前の昨年11月、「こはた浩を支援する女性の会」で、支持者の撮影に妻と応じる木幡市長。巨大モニュメントの設置で今なお放射線被曝のリスクを考えながら生活をしている市民からの反発を買う事すら想像出来なかったのか
(下)市長選挙の選挙公報では「市民とのコミュニケーションを大事にした『開かれた市政』」をアピールしたが、今回の騒動では、木幡市長はとてもほど遠い〝独り相撲〟ぶりを見せた

【「佐藤工業とは全く関係無い話」】
 木幡市長の「撤去決定」を受け、巨大モニュメントを福島市に寄贈した「一般財団法人ふくしま未来研究会」の理事の1人は電話取材に応じ、「私たちは子どもたちのために寄贈しただけ。様々な御意見や問い合わせを受けているが、市や作者に御迷惑をかけてはいけないので、正式なコメントは出さない事にしている。私たちは多くの人が福島市を訪れてくれたら良いなと願っていただけです」と慎重に言葉を選びながら話した。
 理事によると、木幡市長からは撤去の方針については伝えられているものの「寄贈をお断りするという話は入っていない」ため、今後も市の所有物として保管・管理されるという。「保管場所などはこれから検討すると聞いている」。同研究会は除染作業や道路工事などを担っている佐藤工業株式会社との関係性も取りざたされる(同研究会の佐藤勝三代表理事は、佐藤勝也代表取締役社長の父)が、「撤去工事などの依頼が来る事は無いでしょう。佐藤工業とは全く関係無い話ですから」と理事は話す。
 「私どもの想いとは違う結果になってしまった。これ以上は勘弁して欲しい」
 理事はそう言って電話を切った。
 巨大モニュメントの「仲介役」となった「一般財団法人ふくしま自然エネルギー基金」は、昨年11月に「サン・チャイルド」の作者・ヤノベケンジ氏を福島市に招いてリレートークを開いている。
 同基金の関係者は「撤去するべきか設置を継続するべきか、もう少し市民の声を聞いて広く議論しても良いのだが…。ヤノベさんも弱気になっている」と作者の意向が反映している事をほのめかした。「一度、撤退して出直して欲しい」とも。しかし現状では、今回の作品を福島市民が受け入れる状況には無い。
 「復興の象徴」として「市民に夢と希望を贈り続ける」どころか、「原発事故直後から福島市には被曝リスクなど存在していない」という意見から「7年間、そして今も被曝リスクの不安を抱いているのに、あんなモニュメントはふさわしくない」という意見まで、幅広い異論が噴出した。単にアート論、表現の自由では語り尽くせない市民感情が複雑に交錯した。この状況でどうやって「出直す」のか、理解に苦しむ。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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