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【モニタリングポスト撤去】いわき市で3日間の住民説明会。「廃炉作業完了まで継続を」相次ぐ。母親の怒り「私たちは365日、不安抱きながらここに住んでいる」

「リアルタイム線量測定システム」と呼ばれるモニタリングポスト(MP)の撤去計画問題で、原子力規制庁は12~14の3日間、福島県いわき市内で住民説明会を開いた。6月25日に福島県南会津郡只見町で始まった住民説明会は、今回で12市町村目。参加した市民は3日間で111人と少なかったが、わが子とともに参加した母親の姿も。これまでの住民説明会と同様に、福島第一原発の廃炉作業が完了するまでの設置継続を求める意見が相次いだ。次回の住民説明会は11月5日、南会津郡南会津町で開かれるほか、8日には二本松市、29日に伊達郡国見町での開催が予定されている。それ以降の住民説明会は今のところ開催予定は無いという。


【難しい避難・移住。「せめて設置継続を」】
 「子どもが通っている保育園の先生たちも困惑しています。保育園によっては線量計を持っていないところもあり、MPが撤去されてしまったらどのように安全性を確認したら良いのかと不安になっています」
 14日午後、いわき市文化センターで開かれた住民説明会に4人の子どもとともに参加した30代の母親は、走り回りたい子どもたちをなだめながらマイクを握った。
 「配布資料には『空間線量が低くなっている』とあるが、私たち住民の認識では線量は低くなっていません。原発事故前と比べたら高い状態が続いています。いつ、何が起こるか分からない状態でもあります。福島第一原発の廃炉作業が完了するまで、私たちは何十年も不安を抱き続けなければなりません。そのまま置き続けてくれれば良いだけなのに、撤去するメリットは何なのか。なぜ撤去しなければならないのでしょうか」
 「学校にMPが設置されている事で、子どもたちにとっても目で見て確認出来ます。原発事故の風化が進み、関心は低くなっていると感じます。でも、私たちは1年365日、ここに住んでいます。ちょっとした揺れでも不安になります。皆さんは仕事で来ているかもしれないが、撤去のメリットをどう考えているのですか」
 これに対し、原子力規制庁監視情報課の武山松次課長は「空間線量は確かに原発事故前よりは高いが、われわれとしては全国レベル、もしくは除染基準の0・23μSv/hより低いところであれば合理化出来るのではないかと考えた。予算の話も当然ある」と答えた。
 滝田敏宏課長補佐は「そもそもMPは、2011年度の補正予算で文科省が設置した。その目的は、子どもの活動する場所の空間線量を把握するため。当初の予定では2012年度末までの設置予定だった。高い空間線量が低くなっていく推移を把握出来たという意味では、政策目標としては、事業としては完了したと判断出来る。一方で、低くなった数値を見て安心する『可視化』という、われわれが考えていた政策目標以外の使われ方をしている事も、これまでの住民説明会で分かった。今後、どのような形での放射線モニタリングがベストかもあわせて、MPの扱いを考えていかなければならない」と語った。
 母親は首をかしげながら説明を聴いていた。取材に対し「園庭の土が1000Bq/kgを上回るところもあります。県外避難しろと言う人もいると思いますが、家業や墓がある一方で、誰もが等しく避難を選択出来るような公的制度はありません。なかなか難しいです。だからこそ、せめてMPくらいは設置し続けて欲しいのです」と話した。
 他にも幼い子どもを連れて参加した母親がいたが、何度もホールの外に出て子どもをあやしながら、再び席に戻って説明に耳を傾けた。「子どもが大声を出したりして周囲に迷惑をかけてしまいますから…。ロビーにテレビが設置されて動画を流してくれればありがたいですね」と求めた。住民説明会には託児スペースなど無い。








①②小学校と保育園に通う4人の子どもを連れて参加した30代の母親。「空間線量は原発事故前よりまだ高いのに、なぜ撤去するのか。福島第一原発の廃炉作業が完了するまで設置を継続して欲しい」と求めた
③空席が目立った住民説明会。最終日の14日はいわき市文化センターが会場だったが、参加した市民は46人にとどまった
④佐藤和良市議は「いわき市長も、いわき市議会も継続配置を求めているのに国は撤去方針発表を強行した。被災自治体をないがしろにする行為でとても許す事が出来ない」と抗議した

【「市、市議会の意見を軽んじるな」】
 いわき市議会は6月21日、「リアルタイム線量測定システムを継続配置し、本市での測定体制を維持することを強く要望する」とする意見書を国に提出。清水敏男市長も設置継続を求める文書を提出している。
 狩野光昭市議(いわき市議会創世会)は住民説明会で「意見書は市議37人全員が賛同して提出された。原子力規制庁は、この重みをどう考えているのか」と質した。武山課長は「非常に重く受け止めている。これもふまえて見直しについて考えていきたい」と答えた。
 佐藤和良市議(いわき市議会創世会)も「原子力規制庁は昨年12月に福島県や市町村に意見照会した。それに対し、いわき市当局は『廃炉作業完了まで継続配置して欲しい』と回答している。それなのに無視して撤去計画を進めている。また、今年1月10日に更田豊志原子力規制委員長が清水市長と面談した際、これはトリチウム等の汚染水を海洋放出させて欲しいという説得だが、その冒頭に清水市長が継続配置を求めている。にもかかわらず今年3月20日に撤去方針発表を強行した。これは遺憾の極み。被災自治体をないがしろにする行為でとても許す事が出来ない」と抗議した。
 その上で「武山課長が狙っている〝落としどころ〟は、市内に設置されている416台を300台や200台に合理化するという事だろう。だが、われわれ被災者・被害者は学校や保育所などにMPが設置されている事が安全安心につながると考えている。そこを忘れてもらっては困る。『子ども被災者支援法』上もMPは必要不可欠な装置だ。撤去には法的根拠が無い」と現状の台数維持を求めた。「転ばぬ先の杖。MPは手放していけない『杖』だと私は思う。市や市議会の意見を軽んじないで欲しい」。
 別の女性は「ここで放射線を浴びる状況になってしまった私たちは、線量が上がるのか下がるのか見られるものが無いと駄目だと思う。MPが無くなってしまったら忘れてしまう。それでは子どもにとっても私たちにとっても駄目だと思う。万が一の事態が起きた時に、自分の子どもを守るための判断材料が欲しい。数値の変化に気付ける場所は必要。廃炉作業が完了するまで絶対に撤去しないでください」と求めた。会場からは大きな拍手が起きた。








①②いわき市内の駅前や公園に設置されている「リアルタイム線量測定システム」。416台が撤去対象になっている
③いわき市役所敷地内に設置されている「環境放射能水準調査モニタリングポスト」は撤去対象にはなっていない
④原子力規制庁監視情報課の武山松次課長(左)は「来年3月末までに一定の方向性を出したい。更田委員長は『撤去を強行しない』と語っているし、当事者の考えは尊重する」と語った

【「挙手したのに指されなかった」女性も】
 会場からは他に「私たちは常に爆弾を抱えているようなもの」(女性)、「空間線量の平均値が下がったからといって、MPを撤去して良い事にはならない」(男性)、「福島県民は原発事故の被害者であり当事者。その主権は当然、尊重されるべきだ」(男性)、「数値を自分の目で確かめたいと考えるのは当然」(男性)などの意見が出された。14時に始まった住民説明会は16時で終了する予定だったが、数十分延長された。それでも「17時を過ぎると延長料金が発生してしまう」(いわき市職員)などとして17時前には閉会した。そのため、ずっと挙手していたものの指名されず、意見を述べる機会が与えられなかった女性もいた。
 閉会後、囲み取材に応じた武山課長は「撤去方針の撤回はあり得る」、「一生懸命やっているが、まだ信頼を勝ち得ていない」などと語った。今後の住民説明会に関しては、開催を調整している市町村は無く、11月29日で終了する見込みという。「住民説明会を希望するという意思は示しているものの、具体的な日程や場所を決めるまでに至っていない市町村は複数ある」と武山課長。15市町村で得られた意見を年度内に集約し、原子力規制委員会に諮る考えだ。
 これまでの住民説明会には、更田委員長など原子力規制委員は1人も顔を出していない。実際に住民説明会の会場を訪れて住民の想いを体感する事も必要だ。それを質すと、武山課長は「動画は観ておられると思う。『委員が住民説明会に来るべきだ』という御意見があったという事は伝えてある。それで委員長が行くよと言えば別だが、時間的になかなか難しいところもあると思う。われわれは事務方であり決定権は無いかもしれないが、案を作るのはわれわれ。そういう意味では影響力はあるので、一生懸命にやるしか無いと思う」と述べるにとどまった。
 会場にはいわき市職員の姿もあった。これまでの取材に対し、原子力対策課の担当者は「原発事故の当事者である国が、費用を理由に撤去をするのはおかしい」などとして、廃炉作業完了までの継続配置を求めて行く姿勢は揺るがない。
 市のホームページなどには当初、住民説明会について「事前申し込みの無い方、申込者ご本人様以外は参加できません」と記載されていたが、後に「事前申し込みの無い方も参加可能です」と変更された。これについては「人数がかなり少なかったので急きょ、規制庁に打診して変更した。事前申し込みにしたのは原子力規制庁のやり方。国の説明会ですから。事前申し込みは確かに抵抗があるかもしれません」と語った。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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