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【91カ月目の福島はいま】「復興のキーワードは『さすけね』」「『不安』が復興妨げている」~田中俊一氏が福島市で講演。「お母さんたちは勉強して」とも

原子力規制委員会の初代委員長がまた吠えた。田中俊一氏が18日午後、福島県福島市内で開かれた「第62回生活と環境全国大会」(一般社団法人日本環境衛生センター主催)で特別講演し、「不安を抱いている事が復興の妨げになっている」、「食品流通基準や避難指示解除基準は見直すべき」などと語った。「子どもが将来、福島県外で差別されないためにも、不安を克服するためにも、お母さんは自分で放射線を勉強して」とも。終了後には筆者に「モニタリングポストの継続配置を求めているようでは復興出来ない」などと語るなど相変わらずの〝田中節〟だった。


【「0・23μSv/h超でも健康被害生じない」】
 「不安を抱いている事が復興の妨げになっている」。講演の冒頭から、原子力規制委員会初代委員長の〝放言〟は健在だった。
 原発事故から7年半以上が経過した福島の被曝リスクは、「問題無い」「心配無い」のオンパレード。挙げ句には、心配無い「のに」いまだに不安を抱いているお母さんたちへの批判まで飛び出した。これでは、リアルタイム線量測定システム(モニタリングポスト、以下MP)の撤去を画策するのもうなずけるというものだ。
 「こういった場にはふさわしくない、辛口のコメントもあるかとは思いますが、その辺はご容赦願いまして、ぜひ率直なところを伝えさせていただきたい」
 そう言って始まった講演では、「ここだけはきちんと理解して欲しいのだが、福島での原発事故は水素爆発であって核爆発では無い」、「文科省が当初、空間線量から住民の被曝線量を推計したが、この時の計算式が実測値より3倍から4倍も過大だった事が後に分かった」、「放射線量的には帰還出来るのに、いまだに大熊町や飯舘村など一部の地域で避難指示が継続されたままになっている」などと2011年を振り返りながら、随所で国の原発事故対応を批判した。
 避難指示解除に関しては「後から『除染が完了しなければ解除しない』、『地元自治体の合意を得られなければ解除しない』という政治的な判断が加わった。その事によって、空間線量は下がったのに避難指示を解除出来ないという状況が続いている。除染が終わらなければ避難指示を解除しないのであれば、ほぼ永遠に解除出来ない地域が生まれる可能性がある」と語った。
 また、「放射線に対する誤った理解」として、「国際的には、原子力事故の際には年間1mSvから20mSvの中で適切な値を設定し、その中で生活を継続しながら年1mSvにまで少しずつ下げていくべきだ、という『国際放射線防護委員会』(ICRP)の指針がある。それなのに、原発事故から時間が経つにつれて『年1mSv(0・23μSv/h)以下にならなければ健康被害が生じる』という間違った主張が住民の中に入り込み、それが不安の要因になった。国際的には、年1mSv以下にならないと健康被害が生じるというデータは無い」と発言。「年1mSv」や「0・23μSv/h」を基準として考える住民を暗に批判した。






(上)特別講演した田中俊一氏。「復興の妨げになっているのは『合理性の無い規制基準と非現実的な政策』だ」、「福島は心配するレベルでは無い」などと語った=コラッセふくしま
(中)「さすけね」とは、福島の方言で「大丈夫。気にしなくて良い」の意味。田中氏は「福島の農産物はさすけね」、「福島の線量レベルはさすけね」、「野焼きをしてもさすけね」などと書かれた資料を披露し「変な言葉ですが、『さすけね』をぜひ覚えて帰ってください」と呼びかけた
(下)田中氏は講演の中で「食品流通の基準は国際的には1000Bq/kgとか1250Bq/kgなのだが、当初の500Bq/kgから100Bq/kgに下げられてしまった。100Bq/kgは私に言わせれば異常に低い。低い事によって、福島の農産物や水産物がみんな制限を受けている」と見直しを主張した

【「合理性の無い規制基準と非現実的な政策」】
 「住民が戻っていない所で『復興』は無い。住民が戻れない条件のままで『復興』をいくら叫んでも、これは空念仏。まずは避難指示を解除して、それから復興のお手伝いをするのが筋だと思う。国が責任を持って判断しなければならない」と国に求めた田中氏。
 放射線による健康影響に関しても「『原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)』が発表した『福島事故白書』でも、原発サイト内の従事者も含めて確定的健康影響は無い、先天的異常や遺伝的影響は見られないと報告されている。これかをきちんと認識してもらわないと、これから福島の人間が県外で活躍する時にいろいろな差別につながる」と語った。
 「こういう事を言われると少し顔色を変える方も少なくないと思うが」と前置きして語ったのは、「復興の妨げになっているのは『合理性の無い規制基準と非現実的な政策』だ」というくだり。
 「食品流通の基準は国際的には1000Bq/kgとか1250Bq/kgなのだが、当初の500Bq/kgから100Bq/kgに下げられてしまった。100Bq/kgは私に言わせれば異常に低い。低い事によって、福島の農産物や水産物がみんな制限を受けている。福島で100Bq/kg以上のものが数十万件に1つ出たというだけで、100Bq/kg以上のヒラメが1匹獲れただけで風評被害が広がる。本当に100Bq/kgが危険かどうかという事をもう少し考えなければならない」
 「山のキノコなど食文化を規制されているというストレスの方が、よほど復興の妨げという意味では大きい」。
 放射性廃棄物に関しても「30年後には福島県外で処分するという政策だが、どこに持ち出すのか。持ち出さないと危ないという事では無くて、きちんと管理処分すれば安全なのにそういう事は言わないで『持ち出す』と言う。嫌な物は外に出すと。これは実行不可能だから、早く割り切って、安全に処分をして新しい方向付けをしないと、いつまでたっても意味の無い議論が続く事になるし、福島県民に不安をもたらし続ける事になる。30年後に持ち出せると思っている福島県民はほとんどおりません。でも、政府や福島県は言い続けている」と見直しを求めた。






多くの人が集まった「全国大会」では、福島の復興をアピールするコーナーも設けられた。来年は熊本県熊本市で開催されるという

【「放射線への不安を美学のように思うな」】
 約50分間の講演で「福島は心配するレベルでは無い」と強調した田中氏。「いくら言っても納得出来ないだろうから、自分で勉強して納得して欲しい」とも。〝風評被害〟に関しては「福島の人たちが、そんな事気にしないで食べてますよ、獲ってますよ、と言う方が長い目で見れば風評被害を克服出来ると思うが、どうもそこのところをはき違えているように思う」。「今のままの基準を機械的に適用していると、復興は今以上には進まない」とも言い切った。
 「放射能はばい菌では無いのだが、非常に怖い細菌のように捉える向きがある。放射線に対する不安を何とか克服しなければいけない。科学的根拠の無い発言が出回って、それが今も住民の心にずっと残っている。私が話をしても、不安は拭えない。これをどうやって克服するか。じっくりと勉強してもらうしかない。不安のままでいる事が、自分にとっても家族にとっても害になるんだという事を認識して勉強していただきたい。私も出来るだけの努力をしている」
 「子どもたちが将来、結婚年齢に達した時に偏見にさらされる。こんなものに負けない子どもにしなければいけない。だから放射線の勉強をしなければ駄目なんだと私は口を酸っぱくして言っているのだが、なかなかそこまで勉強してくれない。子どものために勉強しなさいよと言っている」
 そして、こんな言葉で講演を締めくくった。
 「復興のキーワードは『さすけね』。福島の方言で、そんな事は気にしなくて良いよという意味です。今の福島の状況は『さすけね』なんです。全国の皆さん、変な言葉ですけど福島の方言ですので、ぜひ覚えて帰っていただいて、これから福島のものを買うときは『さすけね』と言っていただければありがたい」
 終了後、直接取材に応じた田中氏は「MPを撤去しても『さすけね』だ。設置を継続して欲しいと言っているうちは復興出来ない。不安を抱いている事を美学のように思っているのが間違いなんだよ。それをまた、あなたたちが煽り立てるところもいけない」と語った。
 「不安に思うのはしょうがないが、福島の復興を考えたら不安に思っていても何の意味も無い。前に進まなくて良いんだったら別に放っておけば良いんだけど。MPなんか値は下がるしか無いんだから。『廃炉作業で何があるか分からない』なんていうのも何の根拠も無い。中通りも双葉町も、廃炉作業でのアクシデントで環境中の放射線量が上がるなんて事は無い。それに(設置し続けるには)お金がかかるんだよ」
 最後まで〝田中節〟は健在だった。住民説明会での多くの反対意見を全面否定しながら控室に入って行った。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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