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【原発避難者から住まいを奪うな】「家賃補助延長を」「避難者の実態調査しろ」~東京・永田町で避難者たちが共同アピール。国・福島県との交渉は前進せず

原発事故後に結成された「『避難の権利』を求める全国避難者の会」「原発事故避難者団体連絡会(ひだんれん)」は24日午後、東京・永田町の参議院会館で共同記者会見を開き、帰還困難区域を含む避難指示区域内外からの避難者への住宅無償提供や民間賃貸住宅家賃補助制度の継続、生活実態調査の実施などを求める「共同アピール」を発表した。これまで何度も交渉を重ね、時には福島県知事への直訴もしてきたが、全く聴き入れられずに粛々と避難者の切り捨ては進む。会見後の国・福島県との交渉では前向きな回答を得られなかったが、避難者たちは改めて「棄民にされてたまるか」と声をあげている。


【避難者「理不尽な決定を覆させたい」】
 緊急発表された「原発避難者の住宅と人権保障を求める共同アピール」が求めているのは次の8項目。

①区域外をはじめとする全ての避難者の生活実態調査と包括的な支援策の実施
②浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村の帰還困難区域の応急仮設住宅の無償提供継続
③南相馬市、浪江町、川俣町、葛尾村、飯舘村の避難指示解除区域の応急仮設住宅の無償提供継続
④避難指示区域外避難者に対する応急仮設住宅打ち切り撤回と無償提供の継続・再開及び福島県内外の新規避難希望者に対する避難用住宅の無償提供実施
⑤ 国家公務員住宅等に居住する区域外避難者の、公営住宅への入居確保、および安定した住まいが確保されるまでの入居継続
⑥区域外避難者2000世帯への民間賃貸住宅家賃補助の継続
⑦避難者に対する立ち退き訴訟や調停の国・福島県の責任による解決
⑧「子ども被災者支援法」に基づく支援対象避難者の公営住宅入居の優先・特例措置の継続及び同法の支援対象地域の維持

 今回の共同行動のきっかけとなったのは、今年8月27日に開かれた「新生ふくしま復興推進本部会議」の第84回会合。その場で、避難指示区域からの避難者に対する応急仮設住宅提供が2020年3月末で終了すると最終了承された。「避難者」の避難元住所には、帰還困難区域も含まる(大熊町、双葉町は除かれている)。現在、実施中の〝自主避難者〟向け民間賃貸住宅家賃補助制度は、来年3月末で終了する。つまり、避難指示の有無や汚染の度合いにかかわらず、福島県は2020年3月末までに全ての住宅支援策を打ち切ると正式に表明したのだ。
 同じ日に開かれた記者クラブとの定例会見で、内堀雅雄知事は「供与終了に当たりましては、関係町村とも議論を続けてまいりました。今後の生活再建の見通しを早い段階から立てていただくためにも、今回の終了時期をこうした形で進めていくことが重要という判断に至った」、「全町避難が現在も継続している地域においても、帰れるエリアがあることを住民の皆さんに感じていただき、そして実現していくことが重要である」と説明している。〝ゴール〟を早い段階で示せば避難者の生活再建が進むという理屈。打ち切り時期が東京五輪の開催前というのは偶然か。
 「福島原発かながわ訴訟」原告団長の村田弘さん(福島県南相馬市小高区から神奈川県横浜市への避難を継続中)は、記者会見で「内堀知事は言語道断の決定を一方的に発表した。来年3月末で、既に避難指示が解除された区域からの避難者への住宅提供、〝自主避難者〟へのわずかな家賃補助、国家公務員宿舎入居者への2年間の退去期限延長が全て打ち切られる。しかも、被害者の声は一切聴かずに一方的に決められた。許されるはずが無い。改めて被害者が手を携えて立ち上がろうという事になった。一人も路頭に迷わせないために、理不尽な決定を覆させたい」と話した。










①参議院会館で行われた「原発避難者の住宅と人権保障を求める共同行動」。福島県から東京、神奈川、静岡、京都などに避難している人々が集まり、住宅支援の打ち切りに抗議の声をあげた
②「共同アピール」を読み上げる熊本美彌子さん。「避難指示区域外避難者に対する応急仮設住宅打ち切り撤回と無償提供の継続・再開及び福島県内外の新規避難希望者に対する避難用住宅の無償提供実施」や「浪江町、富岡町、飯舘村、葛尾村の帰還困難区域の応急仮設住宅の無償提供継続」などを求めている
③福島県郡山市から静岡県富士宮市に避難、移住した長谷川克己さんは「不誠実、不実な事はいつか絶対に内部から崩れていく。その時にきっちりとカタをつける」と語った
④本紙が福島県の情報公開制度で入手した「福島県県外避難者への相談・交流・説明会事業報告書」を手にする瀬戸大作さん。「この報告書は、全国26の相談拠点が受けた相談内容に関する詳細なレポートだが、広く一般には公開されていない。福島県議も存在を知らない。ここに書かれている実態をていねいに明らかにすれば、来年3月末での家賃補助終了なんて言えないはずだ」と語った
⑤「報告書」を基に瀬戸さんがまとめた〝よろず相談拠点〟の声。拠点スタッフからの様々な提言も盛り込まれているが、避難者支援には生かされていない

【避難者「特効薬無いがあきらめない」】
 「これといって特効薬は無いと思う。私たちがこの問題にきちんと声をあげて、正面からぶつかっていく以外には無いだろう。真実は必ず明らかになる。絶対にあきらめる事無く、私たちの実情を分かっていただくしか無いだろうと思う」
 「原発避難者住宅裁判を準備する会」の世話人代表をしている熊本美彌子さん(福島県田村市から東京都に避難。都営住宅に継続入居中)は、会見で筆者の質問に答えた。
 避難者から住まいを奪うな、と内堀知事に直訴状を手渡した。雪の舞う中、福島県庁前で抗議行動を行った。署名も集めた。国や福島県とは何度も交渉の場を設けた。しかし、それらは全て〝無視〟された。当事者の声は全く聴き入られて来なかった。生活の根幹である住宅保障を求めるのは当然の権利だ。しかし、「壁」は高く厚い。どう打開していくのか。
 「ひだんれん」共同代表の武藤類子さんは「確かに具体的に解決しているという事は無い。しかし、現状を皆さんに知っていただくのが重要。原発事故は終わっていないし、救済されていない避難者がたくさんいる。困っている人から具体的に何か一つでも救済の方法を見つけていく。そういう事が求められていると思う」と話す。長谷川克己さん(福島県郡山市から静岡県富士宮市に避難、移住)は「まずは避難者が消えて無くならない事だと思う。あきらめず繰り返して行く中で、甘いかもしれないが、不誠実、不実な事はいつか絶対に内部から崩れていくと思う。その時にきっちりとカタをつけるために行動を持続していく」と会見で語った。
 「いつもコケにされて、悔しいなんていう域を超えている」と会見で吐露したのは村田弘さん。
 「どこから穴を開けていくか。来年3月末で終了する福島県による民間賃貸住宅の家賃補助(初年度月額3万円、2年目月額2万円)はわずか2000人が対象だが、これなんかは何としてでも継続させなきゃいけない。そこから穴を開けなきゃいけないと思っている。神奈川県に何とかお願いした結果、独自予算で福島県の家賃補助にさらに1万円を上乗せする支援策を行ってくれている。しかし、それも『福島県が来年で終わらせるんだったら(続けるのは)大変難しい』と言っている。そこを何とか、という事で、避難の協同センターと連携して神奈川県議会与党会派の自民党にお願いしている。小さい事だが、時間が無い中で目先の本当に苦しいところからやらなきゃいけないと思っている」と決意を口にした。
 福島県福島市から山形県米沢市への避難を継続中の武田徹さんは、避難後に入居した雇用促進住宅から退去せよと〝追い出し訴訟〟を起こされ、他の7人と共に被告として闘っている。「来年3月末を迎えた時に『絶対に退去しないぞ』という避難者がどれだけ出るか。水俣病でもそうだが、闘いは延々と続く。どこまで避難者が耐えられるか。山形に続く人が一人でも多く出て欲しい」。
 福島県南相馬市から京都府への避難を継続中の福島敦子さん(原発賠償京都原告団の共同代表)は「それぞれの避難者が個々に動いてより良い条件をつかむ。それは〝勝ち〟であり、それを進めて行くしか無いと思う。京都府は『国や福島県が動かなければ(支援の)ルールは作らない』と言っているわけだから、これまで続けてきたように、これからも福島県を動かすべく動いて行く」と改めて語った。












①復興庁や福島県の担当者との3回目の交渉。避難者たちは何度も怒りをぶつけたが〝ゼロ回答〟だった
②避難者の実態調査を強く求めた松本徳子さん。「実態把握をすれば救われる人がいるんです」
③「いつもコケにされて、悔しいなんていう域を超えている」と吐露した村田弘さん(右)
④交渉には福島県から避難者支援課や生活拠点課の担当者も出席。しかし〝自主避難者〟への家賃補助制度の打ち切りや帰還困難区域も含めた応急仮設住宅の供与終了について、撤回の求めに応じる事は無かった
⑤復興庁被災者支援班の若手官僚は、何を尋ねられても用意したペーパーを読み上げるばかり
⑥この日も官僚たちは一生懸命メモを取った。だが、メモが施策に生かされた事は無い

【支援者「僕らが現実を学んで地道に穴を開ける」】
 「避難の協同センター」事務局長の瀬戸大作さんは、会見で「来年3月末で支援策が打ち切られる。もう6カ月を切っている。昨年3月末に住宅の無償提供が打ち切られて、避難者はいったん、応急仮設住宅から退去した形になっている。来年の3月で2年が経過し、一人一人が一斉に更新料を請求される。その事を避難しているお母さんから聴いて痛感した。避難者は現実的に日々を暮らしていて、その更新料を払えないと来年の4月以降居られないんだという事。そのような避難者の現実としっかりと向き合って、困っている内容について、具体的に復興庁や福島県と話しをしたい。福島県の若い職員はそれを理解していて、対応に苦慮している。そういう現実的な話を一つ一つ積み上げて行かないと、以前、自死した避難者がいたが、また繰り返す。僕らが現実を知って、学んで地道に穴を開けるという事をやっていきたい。避難者と向き合い続ける」と語った。
 瀬戸さんは、本紙が入手した「福島県県外避難者への相談・交流・説明会事業報告書」を掲げながら「吉野正芳前復興大臣は『全国26カ所の相談拠点で個別事情に寄り添って対応しています、対応出来ます』と言っていたが、それは事実だろうか。この報告書は、全国26の相談拠点が受けた相談内容に関する詳細なレポートだが、広く一般には公開されていない。福島県議も存在を知らない。ここに書かれている実態をていねいに明らかにすれば、来年3月末での家賃補助終了なんて言えないはずだ」と語気を強めた。
 会見後、17時から2時間にわたって復興庁や福島県の担当者との交渉が行われた。山崎誠衆院議員(立憲民主党)が進行役となり、住宅提供打ち切りや家賃補助終了の撤回、避難者の実態調査実施などを求めたが、何ら前向きな回答は得られなかった。
 復興庁被災者支援班の若手官僚は、用意した書類を読み上げながら「全国の〝拠点〟では、多岐にわたる相談を受けている。相談だけでは解決に至らない事もあるので、関係機関と協力しながら解決につながるよう努めていると承知している。避難者の抱える課題は非常に個別化・複雑化しているので、全体として定量化して示す事は困難。いずれにしても引き続き福島県と密に連携しながら、避難者に寄り添った支援に取り組んで参りたい」と繰り返すにとどまった。
 交渉に出席した福島県避難者支援課の担当者によると、2017年度中に〝拠点〟に寄せられた相談件数は1897件。主な内容は「支援策」(18%)、「生活」(17%)、「住宅」(15%)、「健康」(7%)という。しかし〝自主避難者〟向け住宅無償提供打ち切りでも、家賃補助終了でも当事者の声は聴かれず、帰還困難区域からの避難者への住宅提供打ち切りでも当事者の声は聴かれない。福島県生活拠点課の担当者は「県議会でも『順番が逆だ』とのご指摘を受けたが、これから戸別訪問などを行う」と話したが、全てが結論ありき。実態調査の実施も拒み、切り捨てだけが粛々と進められていく。
 再選を目指し知事選挙期間中の内堀知事は、事あるごとに「現場主義」を口にするが、原発避難者問題では全く「現場」を無視している。復興庁も「避難者に寄り添う」と言葉ばかりが虚しく踊る。交渉を終えた会議室には徒労感ばかりが漂ったが、避難当事者たちは「棄民にされてたまるか」と行動を続ける。



(了)

※本記事から、タイトルを「自主避難者から住まいを奪うな」から「原発避難者から住まいを奪うな」に変更しました。帰還困難区域から避難している人々までが住宅提供を打ち切られる事態になり、もはや住宅問題は避難指示が出されなかった〝自主避難者〟だけにとどまらないからです。
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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