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【福島県知事選2018】内堀知事が65万票得て再選。具体策語らず共産候補に大差つける圧勝。板についたパフォーマンス、加速する〝復興〟と避難者切り捨て

まさに圧勝だった。任期満了に伴う福島県知事選挙は28日、投開票され、現職の内堀雅雄氏が65万982票で再選を果たした。4年前より16万票も上積みし、有効投票数の実に91%を獲得する圧勝ぶり。共産党系の町田和史候補は3万5029票にとどまり、批判票の受け皿とはならなかった。与野党相乗り選挙で県民から圧倒的な信任を受けた形の内堀知事は、さらに公共事業重点型の〝復興〟を進め、県外避難者等原発事故の切り捨てを進める。高橋翔候補は1万7159票、金山屯候補は1万0259票だった。投票率は45・04%で、4年前の45・85%より微減した。


【内堀知事「難しい課題にも正面から向う」】
 投開票はもはや、圧倒的支持を数字で示すための〝セレモニー〟に過ぎなかった。
 投票が締め切られた28日20時。福島市北矢野目の選挙事務所に集まった自公の国会議員や県議らは、NHKが「当選確実」のテロップを流すと、予定通りに大きな拍手で当選を祝った。20時2分には待機していた内堀雅雄知事が妻と共に入場。くすだまを割り、花束を受け取り、万歳三唱で喜びを表した。投票率が微減した事を除けば、全てが陣営のシナリオ通りだった。
 関係者が口々に「すっかり〝政治家〟になった」と評するように、パフォーマンスは板についてきた内堀知事。告示直前に地元紙・福島民報が実施した世論調査で県民の支持率が83%を超えた事もあり、選挙戦を一貫してリード。陣営の狙いは当初から「勝つか負けるか」ではなく「いかに圧勝するか」だった。経済的な復興の恩恵を受けたい業界団体は早くから内堀支持を表明し、社員を動員して個人演説会を盛り上げた。
 具体的な政策は語らず、「チャレンジ」、「復興」、「再生」、「風評払拭」などの言葉で震災・原発事故からの前進をアピールした。県外や海外に足を運んで農水産物や酒などをセールスする姿は、共産党支持者までもが「一生懸命に頑張っている」と〝評価〟するほど。農水産物の販売促進に起用しているTOKIOメンバーが問題を起こした際には、ゴールデンウイーク中にもかかわらずいち早く「TOKIO続投」に動き、風評払拭に尽力している姿勢のアピールに成功した。
 内堀知事は支持者を前に「重責に身の引き締まる思いだ。福島県のリーダーとして懸命に頑張っていかなければいけないという自覚を新たにした。どんなに難しい課題でも正面から向き合って一つ一つ突破をし、成果を出していく。一期目以上に全身全霊をかけて福島県の復興創生に真正面から取り組み成果を出していく」と〝決意〟を語った。
 自民党福島県支部連合会幹事長の太田光秋県議は、内堀知事の良さについて「誠実さだよ」と語った。しかし、その「誠実さ」は経済的な復興には向けられるが、原発事故被害者等弱者には向けられない。避難者への住宅提供問題やモニタリングポスト(リアルタイム線量測定システム)撤去問題、汚染水海洋放出問題などでは「真正面から取り組む」どころか、常に逃げ回って切り捨てる。明確な意思表示をしない。それが、多くの福島県民が支持する内堀知事のもう一つの顔なのだ。










65万票で圧勝、再選を果たした内堀雅雄知事。具体的な政策は何も語らず、パフォーマンスに終始した選挙戦。二期目も、復興に伴う公共事業と風評払拭のためのトップセールスで福島県民の心をつかんでいく。一方で、「ひだんれん」の公開質問状に対し、「原発避難者への住宅提供再開」は「ない」と明確に否定した

【避難者への住宅支援再開「ない」】
 記者クラブによる共同インタビューで、「今でも福島県は有事であります。複合災害の影響は強く残り、急激な人口減少という大きな課題もある。まだ厳しい状況だ、有事なんだという事を県民一人一人が理解する事が出発点だ」と語った内堀知事。しかし、まさにその〝有事〟の中で、いまなお県外への避難を継続している県民の切り捨ては粛々と進められている。空間線量が下がったとはいえ、復興・風評払拭一辺倒の県政に抗うように、わが子を被曝リスクから守ろうと腐心している県民の存在は無視されている。
 「福島原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)」の公開質問状に対し、「区域外避難者への経済的支援含む住宅支援の再開など提案する意思」は「ない」と明確に答えているが、当事者とは一切、会おうとしない。風評払拭に寄与するような個人や団体は積極的に知事室に招き入れるが、ひだんれんなどが何度求めても拒み続けている。業を煮やした当事者が「直訴状」を手に知事室前に集まった事もあったが、完全無視に徹した。
 浄化処理後の汚染水問題では、トリチウムだけでなく基準値を超える放射性物質が含まれていることから、内堀知事を支持する層からも海洋放出反対の声が高まっている。18日夜に二本松市内で行われた個人演説会では、あだたら商工会の三浦勝眞会長が応援演説の中で「福島第一原発には、海になげられない(捨てる事が出来ない)水が大変な量ある。ドラム缶にして、なんと525万本ですよ。これを捨てると魚食えねえ。韓国では、まだ福島県のは食ってないからね。それをやっぱり止めてくれるのは内堀候補です」と語った。
 しかし、内堀知事は9月3日の定例会見で「県漁連を始め、県民を含めた多くの出席者の方々から、海洋放出に反対という意見が出されました。国及び東京電力においては、こうした声を受け止め、環境や風評への影響などについて議論と説明を尽くしながら、慎重に検討を進めていただきたい」と語るにとどまっている。
 ある県庁職員は「トップ(知事)が変わらないことには原発事故対応は変わらない」とい苦しい表情で語った。しかし、福島県の多くの有権者は「棄権」や「現職支持」を選択した。残念ながらそれが今回の選挙だった。










告示10日前に出馬を表明した町田和史候補(日本共産党福島県委員長)は「国や東電にハッキリものを言う県政に」と訴えたが、得票は3万5000票にとどまった。共産党が同じ日に投開票された県議補選に注力したこともあり、街頭演説では聴衆がゼロという場面もあった。「原発事故はまだ終わっていない」、「県外避難者への住宅無償提供を復活させる」と内堀知事との違いを前面に打ち出したが、県民の支持を得るまでには至らなかった

【「弱者に冷たい県政の一面伝わった」】
 日本共産党福島県委員長の町田和史候補は、「みんなで新しい県政をつくる会」からの要請を受ける形で立候補。しかし、現職の異常とも言える高支持率に加えて、出馬表明が告示日の10日前にまでずれこんだ事も響いた。批判票の受け皿とはなり得ず、得票は3万5029票にとどまった(得票率は4・9%)。
 選挙期間中は、内堀知事との違いを前面に打ち出した。汚染水海洋放出には反対、避難者への住宅無償提供復活を明言した。地元紙のアンケートに安倍政権を「評価する」と答えた内堀知事を批判したが、支持は広がらなかった。町田さんは28日夜、日本共産党福島県委員会(福島市)で開かれた共同会見で「引き続き対話集会やタウンミーティングを開いて行きたい」と語った。会見後、地元記者に囲まれると「内堀さんは人間的には確かに良い人だと思う。でも、良い人というのは『ハッキリものを言えない人』でもあるし、県民でなく安倍政権にとって良い人になっちゃったら駄目」と語った。
 県議会は共産党以外は全て内堀知事を支持。もはやチェック機能など放棄している。ただでさえ遠い存在の県庁や県知事が、オール与党体制の中でますますベールに包まれ、県民に見えにくくなっている。共産党県議の1人は「県政の何が問題なのか分からない人が多い。伝わっていない。でも、選挙を通して弱者に冷たい県政という面が伝わったのではないか。原発避難者だけに冷たくて、他の弱者には温かいなんて事はあり得ないんだから」と語った。
 選挙戦では、全体的な「風評払拭ムード」の中で、原発事故被害を前面に打ち出しにくい難しさもうかがえた。別の共産党県議は「県外避難者も大事だし、県内に住んでいる人の暮らしも大事。なかなか難しい」と漏らした。
 福島県外の立憲民主党所属代議士は、今回の相乗り選挙を「残念だよね」としたうえで「地方の選挙は国政とは違う難しさがある。福島の政治家は言えないんだと思う。『自主避難者なんて…』という人々を相手にしているわけだから。だからこそ、復興庁など国がフォローしなければいけないんだけど」と分析した。しかし、国も主体性を発揮する事無く、原発事故の収束アピールと被害者切り捨てに終始しているのが現状だ。
 圧倒的な支持を受けて再選を果たした内堀知事は、2020年東京五輪で「福島の復興」を世界にアピールする。その陰で苦しんでいる人、泣いている人など一瞥もくれずに切り捨てられていく。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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