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【93カ月目の福島市はいま】「実は8月に測ってました」。市側が市議会で答弁。改めて人体への影響否定。本紙調査で判明した8000Bq/kg超の汚泥には言及せず~側溝土砂上げ再開問題

福島県福島市が、原発事故以来となる住民自身による側溝「土砂上げ」を再開した問題が、12日の福島市議会本会議で取り上げられた。小熊省三市議(日本共産党福島市議会議員団)が「安全」ばかりを強調する市側の姿勢や詳細な測定の必要性などについて質したが、遊佐吉典環境部長は「問題無い」と繰り返すばかり。これまで福島市は「側溝汚泥の事前測定はしていない」と再三にわたって説明してきたが、ここに来て突然「実は8月に10地点で測定し、すべて8000Bq/kgを下回っていた」と非公表データを引用して答弁。市民が側溝土砂上げを行っても人体への被曝リスクは無いとの認識を改めて示した。


【「胸部レントゲン撮影の1/25程度」】
 「面的除染が2017年度に完了し、本年2月から3月にかけて実施した全市放射線量マップ作成における空間放射線量測定結果では、全地区平均が0・17μSv/hとなり、年々減少しております。さらに、側溝土砂上げの再開に際しましては、40地点の空間線量の測定を実施しており、平均0・15μSv/hでありました。そのうち、空間線量の高い10地点については側溝の土砂を採取し、放射性物質濃度の測定も行ったところでございます。側溝の土砂上げ作業は年2回、しかも短時間の作業であり、仮に高さ1メートルの空間線量が0・5μSv/hの場所で2時間の作業を年2回行った場合、作業中の被曝線量は2μSv/hとなります。すなわち、ミリシーベルトに直すと0・002mSvとなります。この数値は、胸のX線集団検診での被曝放射線0・05mSvと比較しましても25分の1に相当する値という事になります」
 遊佐吉典環境部長は小熊市議の質問に対し、用意した答弁を読み上げた。さらにこう続けた。
 「福島市の放射能対策アドバイザー(石井慶造東北大学教授)のほうからは、放射線が人の身体に影響を与える強さを表す単位はシーベルト、空間線量率を基準として安全性を判断すると。今回、周辺の空間線量を把握した上で作業時間を考えた上で安全性を判断したという事でございます」
 遊佐部長は、小熊市議の再三にわたる質問に対し、時折うんざりしたような表情で首をかしげながら、次の答弁を2回、繰り返した。
 「先に答弁致しました通り、去る8月に、廃棄物関係ガイドラインに準じて10地点について偏りが生じないよう適切な方法でサンプリングを実施し、放射性物質濃度を測定した結果、平均で2000Bq/kg以下の数値になったものであります。市放射能対策アドバイザーからは『側溝土砂上げのような屋外での作業において放射線が人体に与える影響を最も正しく評価出来るのは空間放射線量である』との見解をいただいているところでありますが、一方で側溝土砂の放射性物質濃度につきましても測定の結果8000Bq/kgを下回り、問題無いものと考えております」




(上)住民による側溝土砂上げ再開問題が取り上げられた福島市議会。自公系市議からは嘲笑と野次が飛び交い、挙げ句には多くが寝ていた。福島市議会では放射性物質による被曝リスクを問題視すると異端児扱いされる
(下)小熊市議の再三にわたる質問に首をかしげる遊佐吉典環境部長。「胸のX線集団検診での被曝放射線0・05mSvと比較しましても25分の1」として、側溝土砂上げの安全性を強調した

【「環境課の測定では最高で3343Bq/kg」】
 環境部長の答弁は、側溝土砂上げ再開にあたって汚泥の放射能濃度を改めて測定し、安全性を確認したと受け取れる。しかし、福島市環境課の加藤直樹課長は取材に対し、こう答えた。
 「確かに今年8月に側溝汚泥の放射能濃度を測定しました。しかし、6月の時点で既に土砂上げの再開は決定したので、再開の是非を判断するために測ったのではありません。あくまで現在の状況を確認するために測りました。ですので特に市民への公表もしていません」
 環境課の担当者によると、空間線量を測定した40地点のうち、高かった順に6地区の計10カ所で側溝汚泥を採取した。その結果、最も放射能濃度が低かったのは飯野地区の側溝汚泥で461Bq/kg。最も高かったのは中央地区で3343Bq/kgだったという。地区内の詳細な場所については明らかにしていない。10カ所全ての放射能濃度が指定廃棄物として取り扱われる基準値の8000Bq/kgを下回ったため、加藤課長は「来春以降も予定通り、住民による側溝土砂上げは実施する」と話している。これまでの取材に対し、「8月の測定」について明かさなかった理由については、加藤課長も担当職員も口をつぐんだままだった。
 今秋、原発事故以降初めて再開された住民による側溝土砂上げを巡っては、福島市渡利地区の汚泥で3万5000Bq/kg、岡部地区の汚泥は1万3000Bq/kgを上回っている事が本紙の調査で分かっている。
 小熊市議は、一般質問で「指定廃棄物となる土砂が出ているのだから『生活空間の放射線量が下がっていれば、除染後に堆積した側溝土砂の放射能濃度についても問題無い』という認識そのものが誤っていたのではないか。放射能濃度もしっかりと測りながら、市民が土砂上げをして良い場所と市が対応する場所とを区別するべきだったのではないか。市民の安全を担保するというのはそういう事ではないのか」と質したが、遊佐環境部長は2つの数値に関しては〝スルー〟。あくまで被曝リスクは空間線量ベースで評価されるべきであり、市の測定でも8000Bq/kgを上回る汚泥の存在は確認されていないとの認識を繰り返すばかりだった。




(上)ここにきて、福島市は8月の測定結果を持ち出してきた。それによると、最も高かった放射能濃度は3343Bq/kgだったという=福島市環境課への取材を基に本紙で作成
(下)住民の協力の下、NPO法人「ふくしま30年プロジェクト」で渡利地区の側溝汚泥を測定したところ、放射能濃度は実に3万5000Bq/kgを上回った。しかし、市当局の測定では8000Bq/kgを大きく下回ったとして来春以降も住民の土砂上げを続ける方針だ

【「土地造成などに再利用されない」】
 小熊市議はさらに、土砂上げで生じた汚泥が搬入されている産業廃棄物処分業者「クリーンテック」(福島市飯坂町)での測定や処分方法についても質した。「測り方に問題があるのではないか、汚泥が土地造成などに再利用される恐れは無いのか」と疑問をぶつけたが、遊佐部長は「再利用される事はありません」と明言した。
 「民間最終処分場から10月分のについて報告をいただいております。その報告によれば、10月は約8トンをトラック15台で受け入れております。1台あたり3カ所の空間線量を測定し、一番高い線量が高さ1メートルで0・314μSv/h。最小値は0・138μSv/h、最大値は0・438μSv/hとなっております。放射性物質濃度につきましても、原発事故後初めて受け入れる事からサンプリング調査が入念に実施され、トラックごとの最大空間線量が計測された土砂(汚泥)の放射性物質濃度は平均で2927Bq/kg。最小値は1869Bq/kg、最大値は3549Bq/kgとの報告を受けております。なお現在まで、サンプリング調査の結果8000Bq/kgを超える土砂が発生したとの報告は受けておらず、民間最終処分場での埋め立て処分については特段問題無いと考えております」
 「民間最終処分場の、8000Bq/kgを超えるものを受け入れしないという監視体制について申し上げます。トラックから降ろした土砂について、そのつど1メートル高で3カ所の測定をしております。この基準が0・5μSv/h以下という事になっております。もし0・5μSv/hを超えるとなった場合には、10センチ高で再計測をすると。10センチ高で1μSv/hを超えるとなった場合には、一番高い数値の麻袋内の土砂の放射能濃度を測定するといった監視体制がとられていると聞いております。確認しております」
 「除染関係ガイドラインにおいては、運搬車から1メートル離れた地点における空間線量率の試算結果として、放射性物質濃度の平均が8000Bq/kgであれば空間線量率0・72μSv/hに相当するとの解析が示されているところであります。民間最終処分場においては、このガイドラインをふまえて、より安全をみて第一段階の方法として0・5μSv/hを基準に行っていると聞いております」
 「全市一斉清掃による側溝土砂は民間最終処分場で適切に最終処分されており、土地造成等の際の原材料として再利用される事はありません」
 一般質問を終え、小熊市議は「再来年の東京五輪に向け、原発事故は終わったと印象付けるような動きが相次いでおり、これもその一つだと思う。詳細に測り、市民に公表してていねいに説明する。それでこそ、住民の安全は担保される」と話した。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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