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【参院選2019】田んぼの次は桃の果樹園。今回も安倍晋三首相が雨の福島で第一声~自公の森か、野党統一候補の水野か。「子ども被災者支援法を忘れてないぞ」の声も

第25回参院選が4日公示され、福島選挙区(改選1議席)では3人が立候補した。自公が推す森まさこ候補と、野党統一の水野さちこ候補の事実上の一騎打ち。今回も、安倍晋三首相(自民党総裁)は第一声に福島市を選び、桃の果樹園で「野党を選んだら、決められない政治の再現になる」などと支持を訴えた。激しい野次が飛び交う事は無かったが、復興推進を強調する自公に対し「信じてます 子ども被災者支援法」と書かれたプラカードを掲げて抗議する女性も。福島県民は2016年の参院選、2017年の総選挙に続いて野党統一候補を選ぶのか。投開票は21日。


【「審議をしない政党を選ぶのか?」】
 2017年秋の総選挙では黄金色に染まった田んぼの前で第一声を行った安倍晋三首相。今回の〝舞台〟は果樹園だ。お膳立てをした亀岡偉民代議士(福島1区)が「G20大阪サミットがあり、正式に決まったのは3日前。福島は何と言っても桃ですよ」と胸を張った。未明から激しく降り続いた雨が小降りになる中、安倍首相は果樹園に到着するなり、差し出された早生桃やサクランボを頬張ってみせた。前回は福島米のおにぎり。今回は果物。パフォーマンスも恒例になった。
 「残念ながら民主党政権の下、遅々として復興は進まなかった」、「首相に就任して40回、被災地を訪問しました。『風評被害なんとかしてください』。何度この声を聞いたことでしょうか」。震災・原発事故対応に関する民主党政権批判も、毎度おなじみとなった。「首脳会議(G20)がありましたね。欧州連合首脳と会談し、福島県産の農産物と水産物の規制緩和を約束をしてもらいました。これからもしっかりと強い外交力をもって、規制撤廃に向けて全力を尽くしていきます」。
 2016年6月の参院選では、福島選挙区で現職の法相が野党統一候補に3万票差で敗れた。それだけに「もし(野党統一候補が)当選したら、バラバラで決められない政治の再現です」などと野党批判も忘れない。
 「共産党は日米同盟は廃棄すると言っていますね。自衛隊も憲法違反だと言っている。東日本大震災であんなに頑張ってくれた自衛隊を憲法違反だと言っている。この共産党に支援されているのが相手の候補です」
 改憲論議に関しては、「私たちのようにしっかりと国会議員としての責任を果たし議論をする候補者、政党を選ぶのか。議員としての責任を果たさず、審議を全くしない政党や候補者を選ぶのか」と呼びかけた。年金問題も「野党は財源に裏打ちをされた具体的な提案は何もせずに不安ばかりをあおっています」、「私たちが正しい政策を進めていけば、年金を増やす事もできます」と語気を強めた。保育士や介護士の待遇や少子化対策でも、旧民主党政権の批判に終始した。
 「来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、聖火リレーはこの福島県のJビレッジからスタートします。初めての競技も福島県から始まる。まさに世界の真ん中で福島県が輝くんですよ。復興は次のステージに入っていく」と締めくくった安倍首相。集まった支持者とハイタッチをし、足早に郡山市に移動した。動員されたJA福島中央会の関係者も、用意されたバスで職場に戻って行った。






(上)自民党総裁として今回も福島で第一声を行った安倍晋三首相。「来年の東京オリンピック・パラリンピックでは、聖火リレーはこの福島県のJビレッジからスタートします。まさに世界の真ん中で福島県が輝くんですよ」などと話して支持者を喜ばせた
(中)2017年の総選挙では田んぼをバックに、今回は桃畑の前で演説した安倍首相。九州豪雨対応で予定より遅れて果樹園に到着。さっそく早生桃を頬張ってみせた=福島県福島市・あづま果樹園
(下)森まさこ候補の演説会場では、20代女性が「信じてます子ども被災者支援法」と書かれたプラカードを掲げた。森候補は、同法の共同提案者の1人だった

【「復興の前進」「避難者への寄り添い」】
 福島選挙区は、2016年6月の参院選に続いて〝一騎打ち〟となった。2017年10月の総選挙でも自民党候補が野党統一候補に敗れているだけに、福島市の「こむこむ館」前で第一声を行った現職・森まさこ候補(54)=いわき市=は「本当に厳しい選挙」、「最後まで死ぬ気で頑張ります」と繰り返した。
 「復興の前進」、「生活の安心」、「その先の未来」を強調。「皆様の生活の再建、地域の再生、農林水産業、観光業をはじめとする風評被害の払拭」を課題に挙げ、2年後に発足するとみられる復興庁の後継組織に盛り込んでいくと訴えた。しかし、「福島の復興を必ず成し遂げます」と繰り返したものの、原発事故による汚染、被曝リスク、避難については触れなかった。
 あづま果樹園でも「自民党復興加速化本部の副本部長として、果樹園の皆様、福島の農業者の皆様、全ての皆様のご要望をしっかり取り入れて福島県の復興を進めて参ります。しっかりと予算を獲得して参りたい」、「福島県内原発の全機廃炉を目指して、しっかりと頑張って参りたい」と声を張り上げた。
 野党が統一候補として擁立した新人・水野さちこ候補(57)=会津若松市=も福島市のMAX前で第一声を行った後、郡山市へ移動。駅前で演説した。
 保育士、FMラジオのパーソナリティを経て2011年11月の福島県議選で初当選。会派は旧民主党系の「県民連合議員会」に所属した。2015年12月の県議会では、一般質問で「避難指示区域外から避難されている方々への応急仮設住宅の供与期間について、平成29(2017)年3月で終了することとし、県独自の取り組みにより、新たな生活への円滑な移行を支援することが発表されました。今後、避難されている方々にとっては多種多様な悩みや不安、課題を抱えながらも、みずからの将来設計を描いていかなければならない重要な局面に差しかかっているものと思います」と発言している。
 郡山駅前での演説では「なぜ10月に消費税率を上げるのか、国民が疑問を抱くのは当然だ。『消費税率を上げなければと保育は無償化は進めないぞ』などと脅しの言葉があるようだが、私は預ける立場も預かる立場も分かる。まずは保育士の処遇改善。賃金を挙げて保育の質を高めるのが一番だ」と訴えた。「安心出来る年金にするよう、国政の場で訴えていかなければならない」。
 原発事故については「いまだに避難生活を続けている人が多くいる。帰りたくても帰れない。廃炉作業の道筋がしっかりと示されていない中で、本当に帰る事など出来るのでしょうか。安倍政権は本当に避難者に寄り添っているのか」と語気を強めたが、〝自主避難者〟に関する言及は無かった。
 選対本部長を務める増子輝彦参院議員(国民民主党)は、取材に対し「〝自主避難者〟の人を応援、生活支援していくのが我々の仕事。『もう福島に帰ってくれば良い』などとは全く言わない」と話した。






(上)激しい雨の中、拳を振り上げる森まさこ候補。「復興の前進」を強調した=福島市の「こむこむ館」前
(中)「ガンバロー」三唱で拳を突き上げる水野さちこ候補。「安倍政権は本当に原発避難者に寄り添っているのか」と力をこめた=郡山駅前
(下)福島選挙区は事実上の一騎打ち。共産党は予定していた独自候補の擁立を取りやめ、水野候補の支援に回った

【どこ行った「支援法」の理念】
 「信じてます 子ども被災者支援法」
 森候補が演説した「こむこむ館」前、「あづま果樹園」のどちらにも、1枚のプラカードを掲げる女性の姿があった。
 福島県須賀川市の20代女性。排除される事は無かったものの、SPや自民党関係者の有形無形の圧力を受けながら、森候補や安倍首相に向けて最後までプラカードを掲げ続けた。
 「森さんが野党時代に立法に関わったにもかかわらず、与党議員になった途端に関係ないかのようになってしまっています。私たちは覚えてるぞというのを示したかった。森さんにとっては過去の事なのかも知れませんけど、骨抜きにされて効力を発揮していない法律の事を忘れていませんという事を伝えたかったんです」
 「子ども被災者支援法」は超党派の議員によって提案され2012年6月に成立。森まさこ候補も共同提案者に名を連ねている。2012年6月19日の衆議院東日本大震災復興特別委員会では「提案者の一人であります私個人の意見でございますけれども、(支援対象地域には)福島県は全地域含まれるという考えでございます。さらには、福島県の外、他県につきましても、放射線の非常に濃い地域もございますし、さまざまな状況を勘案して含まれていくべきという希望を持っております」、「当時子供だった方々が将来大人になった場合も含めて、結婚するときも、就職するときも、その後も、一生医療費を無償または減額していただける。そのときに、病気になりましたよ、けがをしましたよ、それがこの原発事故に起因するものだということを自分が立証しなくてもいいんです」などと答弁していた。
 しかし、自民党が旧民主党から政権を取り戻して与党に転じ、「手のひらを返した」との批判もある。支持者との握手に忙しい森候補には直接、話を聴けなかったが、応援に駆け付けた吉野正芳前復興大臣が次のように〝代弁〟した。
 「我々野党の時に作ったから、与党になるとやっぱりね…。放射線量でランクをつけるという気持ちで作ったんだけど、線量だとどうしても差別化しちゃうんで…。でも、どこかで線引きしなければいけない。そうしたら地域で線引きするしかなかった。これをやってくれたのは根本(匠)大臣。福島県の子どもたちは全員、法の対象になっている」
 来年の東京五輪に向けて〝自主避難者〟への住宅無償提供は早々と打ち切られ、避難指示区域からの避難者に対する住宅提供も終わろうとしている。この点について、吉野前復興大臣は「無料の住宅支援は打ち切ったけど、復興庁はきちんとお世話をしているよ。『俺はここさ居座るんだ』という〝確信犯〟は別にしてね」と胸を張った。
 原発事故問題はあまり語られないまま、選挙戦は始まった。自公政権による「復興」を進めるのか、少しでも原発事故被害者に寄り添った議員を国会に送り込むのか。福島県民は選択を迫られている。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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