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【参院選2019】「風評では無く実害だ」。〝原点〟福島で「れいわ新選組」の山本太郎代表が街頭演説。聴衆の否定的意見も受け止め対話。「土壌も測って情報提供すべき」

「れいわ新選組」を新たに旗揚げし、参議院での議席獲得を目指している山本太郎代表(44)=現職、比例代表=が18日、福島入り。JR福島駅前で街頭演説を行った。芸能人だった山本代表は原発事故で社会問題に目覚め、2013年の参院選で初当選した。山本太郎代表は〝原点の地〟とも言える福島で何を伝えたかったのか。原発事故・被曝問題に絞って振り返りたい。予定時間を大幅に超えて聴衆と対話した山本代表。「原発事故被害は風評では無く実害」、「国や東電には加害者意識に欠ける」、「初動の誤りが混乱・分断を招いた」などと力をこめた。


【聴衆「風評を煽るのが政治家の役目か」】
 「どうぞ御発言ください。考え方が違ったとしても、どこか一致点があるはずです。コミュニケーションさせてください」
 山本代表は街頭演説の終盤、聴衆との対話の時間を設けた。福島に建設された原発で起きた爆発事故が政治家を志す原点となった。一方で「福島を貶めている」、「歩く風評被害」と否定的な言葉も浴び続けている。原発事故や被曝問題を巡って厳しい意見が出る事は承知の上。他県での街頭演説より長い時間を用意して、聴衆との対話を試みた。
 マイクを握ったのは、福島県相馬市で金融業を営む50代の男性だった。「ようこそ福島へ。山本太郎さん、今怖いですか?ここに居るの」。そんな問いかけから始まった男性の発言は怒りに満ちていた。原発事故から100カ月が経過した今でも、福島県を訪れるのが怖いか。そういう問いだった。山本代表は首を振った。
 「福島は、東京や大阪や名古屋と一緒ですよ。189万の県民、真面目に物を作って、真面目に米を作って。でも、米売れないんですよ。風評被害があるからですよ。避難してる、裁判してる人間のおかげ、それのおかげでですね…」
 「原発事故が起きた事も、悲惨な目に遭った人がいるのも事実。でも、それだけを取り上げるのが政治家ですか?違うでしょ。ガスマスクなんかしなくたって毎日生活出来るんですよ。福島は。大部分の県民は、放射能なんか毎日気にして生きてないですよ。意識しないで生きているんです。危ない、危ないと風評被害を煽る事が政治家の役目ですか?違うでしょ。結局、原発事故をネタに福島県から票を取りましょうとしているようにしか見えないんですよ」
 支持者が男性に野次を浴びせると、山本代表は「どんな意見でも聴きましょう」と促した。一通り男性の発言に耳を傾けたところで、原発事故問題に対する現在の想いを明確に口にした。 「確かに『風評』ならば、煽るべきでは無いと思っています。ただ、原発事故によって起こった福島の状況は『風評被害』ではなく『実害』なんですよ」。
 「もう国会の中で、原発の事も被曝の事も語られなくなって来ているんですよ。私は『泣き寝入り』させたくないんです。だって、皆さんが起こした事故じゃ無いんですよ。安全だって言われてたんです。五重の壁で守ってると言われてたんです」
 「確かに福島県の農民連の皆さんは土壌も調べてる。『放射線管理区域』を上回るような土壌も計測されている。ただ、食べ物には移行しないように、さまざまな施策をされていますよ。一生懸命。食べ物には移行しないけれども、でも土には(放射性物質が)残ってて、土をいじっている農家の方々は被曝してるんです。でも、農家の方々を被曝から守るものは何も無いですよ。だって農家は個人で営農してるから。どうして国は補償・賠償しないの。おかしいじゃないですか」






(上)福島駅前で選挙演説を行った「れいわ新選組」の山本太郎代表。野次を封じる為政者と異なり、自身に否定的な意見にも耳を傾けた上で考えを示した=福島県福島市
(中)「れいわ新選組」の比例候補・蓮池透さんも演説。「許してもらえるか分かりませんが、皆様の声を代弁する事によって、本当の意味での復興を目指して行きたい」と語った
(下)正午に始まった街頭演説。蒸し暑さの中、老若男女が足を止めて山本代表の言葉に耳を傾けた

【山本「初動の誤りが混乱・分断招いた」】
 「2011年当時の自分は未熟だった」、「空回りしていた」と詫びる事も忘れなかった。
 「原発事故で目が覚めた。このままじゃ、東電と国が逃げ切る事になるだろうって焦りまくったんですよ。間違いなく泣き寝入りさせられるコースだって。でも、その時の私には皆を束ねるとか合意形成する知識なんて全く無い。自分の中で空回りして精一杯の中で『逃げてください』って話をしちゃった。でも、逃げられる人もいれば逃げられない人もいる。私が政府の中にいたら、一時であろうと全国に分散避難していただいて、放射線量下がった段階で情報を提示する。戻る方戻らない方、それぞれが個人で決められるような具体的な情報を提示します。それを当時の政府にやって欲しかった」
 「少しでもそれを動かせないかと空回りしちゃった。それによって傷付けた人もいる。言葉をもっと選べば良かった。もっと違うアプローチがあったんじゃないかって今だから思える。未熟でした。今も未熟です。粗削りです。でも、私が国会で発言している内容は、申し訳ないけど『風評』では無い。『実害』に対して(〝加害者〟を)逃がさない。それをどうするのかというのをやっているんです。なぜ空間線量だけで避難指示が解除されるのか。土壌もセットで測らなきゃ駄目です。航空機モニタリングでは無く、畑を一反一反全て測るのが事故を起こした〝加害者〟のやるべき事なんです」
 言葉を選んでいたのだろうか。山本代表は何秒間か「んー」と考えた上で「初動があまりにも間違っていたという事です」と続けた。
 「民主党政権であっても自民党政権であっても、恐らくやってた事は一緒だと思う。初動が明らかに違う。いったんは避難していただくという事を広範囲にわたってやるべきだったと思う。初動を間違えたから、これだけの混乱が生まれ、福島県内にお住いの方の中にも分断が生まれているんですよ」
 「全ての基準は、原発事故前に採用されていた基準なんです。そうでなければ命は守れない。避難指示を解除する時も、土壌もセットで情報提供されなければならない。呼吸しますよ、子どもは土を口に入れますよ。事故が上がって基準値を引き上げて『安全だ』と言うのは、ただ数字をいじっただけじゃないですか」
 「レベル4のJCO事故が起きた茨城県東海村。生涯の健康診断、ガン検診付きを保障してます。福島も同じにしませんか。心配していないという方は良い。だけど心配を抱いている人がしっかり検診を受けられる制度は必要だ。そういうものに対して、未来永劫支払い続けなければならないのが加害者側の責任なんですよ。それを求めてます」
 福島県外では多くの人々が原告となって国や東電と争っている。被害者が時間も金も使って闘わなけばならない現状にも、山本代表は言及した。
 「どうして裁判を起こさなければいけないんですか。こんな裁判を起こさせるなよ。被害者に忖度しろよって話ですよ」 






(上)避難先の山形県米沢市で雇用促進住宅からの退去を求められて「米沢追い出し訴訟」の被告となってしまった武田徹さんも駆け付けた
(中)演説が始まる1時間以上前から、福島駅前ではボランティアスタッフがチラシを配った
(下)車いすを利用している男性も山本代表の言葉を聴きに訪れた。「れいわ新選組」は難病ALSを患う舩後靖彦さんを擁立。比例代表の特定枠に据えた

【蓮池「本当の復興目指したい」】
 「ADR逃げまくってんじゃないよ。何様のつもりだ。加害者である事を全く認識していないのが東電であり国だ」
 そう語る山本代表の隣には、比例候補の蓮池透さん(64)も立っていた。東電で30年以上、原発部門に従事した。「加害者側におりました。あり得ない事故を起こしてしまい、皆さんにご迷惑をおかけして、心からお詫び申し上げたい」と頭を下げた。
 東電で同期だった石崎芳行氏(元福島復興本社代表)は今年3月、福島県二本松市で行われた講演会で「今の日本には当面は原発は必要悪」などと語った。「それは違います。原発は絶対悪です。『二度と事故は起こさない』、『賠償は真摯に対応する』と東電のホームページに書いてあるが、みんな嘘じゃないか」。 
 「自民党の安倍総裁が福島で第一声を行ったが、選挙の時だけ『復興』ですか?常磐線開通、国道6号線を通した、常磐道も通した。それが本当の復興ですか?避難者への支援を次々と打ち切る。避難指示を解除して帰れと言い、避難者数を減らしていく。こんなやり方が果たして復興なのでしょうか。Jヴィレッジを聖火リレーの出発点にする。それだけをアピールして復興ですか?」
 「私は、本当に、加害者として…」。そこまで言うと、蓮池候補は言葉に詰まった。聴衆も涙を流していた。「許してもらえるか分かりませんが、皆様の声を代弁する事によって、本当の意味での復興を目指して行きたい」。
 「東電、ふざけるなですよ。新潟で放送しているCMを福島でやれって。まだ避難している方がいるんですよ。皆さんに迷惑をかけて、原発事故でたくさんお金がかかった。国からお金を借りて賠償金を支払っている。借りたお金をまた原発で稼いで返すって、こんなのブラックジョークでしょう。あり得ないですよ」
 演説会は当初の90分を大幅に超え、2時間近くにわたって続いた。山本代表と対話をした相馬市の男性は、考え方があまりにも異なったため一致点を見出すまでは至らなかった。「返し方がうまいね。政治家というより宗教家のようだ」と男性は苦笑したが「確かに彼は自分と異なる意見も排除せず耳を傾けたね」とも評価した。男性は極端な発言もあったが、「放射能」、「被曝リスク」があまり語られなくなった福島にあって、結果として中身の濃い対話になったのは事実だった。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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