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【原発事故と甲状腺ガン】「集計漏れ」可能性18人も。「3・11甲状腺がん子ども基金」の療養費給付で判明。取りこぼされる患者数。「実数把握して因果関係を議論して」

「3・11甲状腺がん子ども基金」が24日午後、福島県庁で記者会見し、福島県の「県民健康調査」の集計から漏れている可能性のある小児甲状腺ガン患者が、これまでに18人いると明らかにした。同基金は2017年に、原発事故当時4歳だった子どもの甲状腺ガンが「県民健康調査」の集計から漏れていると発表しているが、2年間で大幅に増えた形だ。「県民健康調査」で甲状腺ガンが確定した患者は現在173人とされている。基金の崎山比早子代表理事は「甲状腺ガンに罹患されている方の一部でも取りこぼしたまま、原発事故との因果関係が評価されることの無いよう強く要望したい」と訴えた。


【集計されない「保険診療」での症例】
 「基金」の吉田由布子理事によると、福島第一原発事故後に甲状腺ガンと診断された25歳以下の患者(事故当時の年齢、現在は18歳以下の患者に拡充)に10万円の療養費を給付する「手のひらサポート事業」を2016年12月から続けており、これまでに153人(うち福島県外在住者52人)に対して給付してきた。
 その中で、福島県の県民健康調査には集計されていない可能性のある18人の甲状腺ガン患者が見つかった。今年4月に始まった第4期給付では、原発事故当時4歳だった2人が、「県民健康調査」では甲状腺ガンと診断されなかったものの、保険診療の中でガンと確定し、今年3月末までに既に手術を終えている。
 新たに判明した「集計漏れ」の患者のうち、原発事故当時4歳だった男性の場合は次のような流れで甲状腺ガンと診断された。
 県民健康調査の1巡目、2巡目では「A1判定」(超音波検査によって、のう胞、結節ともに存在が認められなかった状態)だったが、2017年度末に受けた3巡目の検査で「B判定」となり、二次検査が必要だと診断された。2018年後半に福島県立医大で穿刺細胞診を2回受けたが甲状腺ガンの確定には至らず、「県民健康調査」の枠から外れる経過観察の「保険診療」に移行。2カ月後に同大で受けた穿刺細胞診で甲状腺ガンが確定したという。
 今月8日の第35回検討委員会では3巡目の甲状腺検査で「悪性ないし悪性疑い」と診断されたのは24人(原発事故当時5歳から16歳)、4巡目では5人(同4歳から12歳)と報告されたが、基金が療養費を給付した男性(3巡目)は集計から完全に漏れている。4巡目の集計には事故当時4歳だった子どもが含まれているが、基金が確認した子どもと一致するかは「まだ分からない」としている。
 放射線医学県民健康管理センターのホームページには、「甲状腺検査についてのQ&A」として、今回のようなケースについて「二次検査で経過観察となり、保険診療を受けていた方が、経過観察中に甲状腺がんと診断されて手術を受けた場合、さかのぼって県民健康調査の『悪性ないし悪性疑い』の数に反映されたり、手術症例数に加えられたりしない」と明記されている。




記者会見で、甲状腺ガンが現行の「県民健康調査」では把握しきれていないと改めて問題提起した「3・11甲状腺がん子ども基金」=福島県庁内の県政記者クラブ

【「一部であっても取りこぼさないで」】
 小児甲状腺ガンの「集計漏れ」問題は、「県民健康調査」検討委員会でも問題視されてきた。
 2017年12月の第29回検討委員会では、清水一雄委員(医師、金地病院名誉院長)が「私の働いている病院で、甲状腺ガンと診断されて手術をした患者がいた。入院して、手術をする前日に福島の被災者である事が分かった。県民健康調査の甲状腺検査を受けているかどうかお聞きしたところ、一巡目だけ受けたが、中通りに避難してしまったので本格検査は受けていないという事だった。手術後、所見も含めて福島県立医大には報告してある。こういう症例は登録(集計に含まれている)のか。別枠なのか。そこのところをお聞きしたい」と発言。
 これに対し、福島県立医大の大津留晶教授は閉会後の記者会見で「県民健康調査で『悪性ないし悪性疑い』としているものは、一次検査二次検査を受けていただいた中で甲状腺ガンと診断され、紹介した医療機関から手術の結果を提供いただいているもののみ報告している。清水先生から報告のあった『本格検査を受けない例』に関しては『悪性ないし悪性の疑い』には入らないということだ」と回答。「集計されない甲状腺ガン患者」の存在を認めていた。
 2018年3月には、同基金が療養費を給付した甲状腺ガン患者のうち、約1割で再発・転移が見つかり再給付した事を公表。吉田理事は当時「県民健康調査の検討委員会で『一生涯、見つからなかったガンを見つけているのではないか』というような声もあり、甲状腺検査を縮小した方が良いのではないかという事が議論となっている。では実際、本当にそのような臨床症状も現れないようなガンなのか。療養費の給付者の中に再発した人がいるという事を考えると、そうは言えないのではないか。若い人ほど甲状腺ガンの進行が速いという論文も発表されている」と指摘した。再発症例も「県民健康調査」では把握されていない。
 24日午後の記者会見で、基金の崎山比早子代表理事は「東電原発事故後、福島県内で何人が甲状腺ガンを発症したか、実数が分かっていないという事が根本的な問題だ。分からない数を基にして放射線との影響(因果関係)を検討しているのは非常に問題だと思う。私たちは、甲状腺ガンと診断された実数をきちんと把握して欲しいと福島県に要望してきた。しかし、状況は全く改善されていない。科学的に正しい結果を出すためにも、甲状腺ガンに罹患されている方の一部でも取りこぼしたまま評価されることの無いように、強く要望したい」と語った。




「3・11甲状腺がん子ども基金」が記者会見で配った資料の一部。代表理事の崎山比早子さんは「分からない数を基にして放射線との因果関係を検討しているのは非常に問題だと思う。科学的に正しい結果を出すためにも、甲状腺ガンに罹患されている方の一部でも取りこぼしたまま評価されることの無いように、強く要望したい」と語る

【「過剰診断だとしても検査継続を」】
 会見では、これまでに療養費の給付されたうち87人(本人、もしくは保護者)から得られたアンケート結果で「甲状腺検査をやめた方が良い」という回答は無かった事も明らかにされた。
 基金によると「一度診断(検査)を受けてみた方が良い」、「ガンには変わりないので早めに処置した方が良いと思う」、「過剰診断になったとしても、(原発事故による)放射線の影響では無いと断定されるまでは検査を続けて欲しい」、「なぜ病気を見つけるのに『過剰』という言葉が出るのか」、「過剰診断の可能性もあるが、地域での甲状腺検査は今後も行うべきだと思う」などの意見が寄せられたという。
 「検討委員会を傍聴し、集計結果の中にわが子が含まれていない事に驚きました。原発事故当時の年齢が低いために、すぐに分かりました。その事を『県民健康調査』のコールセンターに電話で問い合わせたところ、『二次検査で経過観察中に甲状腺ガンが見つかった場合はカウントされない』とのことでした。いくら経過観察中に見つかったとはいえ、『県民健康調査』をしなければ分からなかったのだから、カウントされても良いのではないでしょうか。『甲状腺ガンで治療を受けた方の症例については、より高い精度で情報収集・公表していく制度が県民健康調査とは別に存在しております』とも説明されました。それでは、『県民健康調査』の意義とは何なのか。甲状腺検査をやめた方が良いとの意見もあるようですが、症例を探るためにも必要な調査だと思います」という母親のメッセージも代読された。
 なお、今月8日の検討委員会で異論が噴出した甲状腺検査評価部会による「甲状腺検査本格検査(検査2回目)結果に対する部会まとめ」について、ホームページに突然「多くの委員の賛成のもと、検討委員会としては了承するものである」などとする検討委員会名の文書が掲載された。
 公表された文書は「部会まとめは、『甲状腺検査本格検査(検査2回目)に発見された甲状腺がんと放射線被ばくの間の関連は認められない』とした。これは、報告中にあるように、『現時点において』『検査2回目の結果に限定』されたものであること、将来的な見通しに言及したものではない点に留意する必要がある」として、委員から出された意見も付記している。しかし、原発事故との因果関係を否定する結論は変わっていない。検討委員会後にどのようなやり取りを各委員としたのかも、全く分からない。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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