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【れいわ新選組】殺到するカメラマンに飛び交う怒号、混乱極めた国会議事堂前。「われ先に」の取材姿勢も2人には「障壁」か~舩後さん、木村さんが車いすで炎天下の初登院

「少し下がれ!」。怒号が飛び交った。それでもカメラマンは歩みを止めない。「マスコミは下がれ!」。再び怒号が飛んだ。それでも取材陣は木村さん目がけて突進した─。混乱を極めた酷暑の国会議事堂前。主役は、先の参院選で当選した舩後靖彦さん(61)と木村英子さん(54)。2人の新人議員を少しでも〝良い位置〟で撮影しようと、カメラマンの群れが右往左往した。取り巻く物理的な障壁、制度上の障壁が議論になっているが、その前に私たち「メディア」が殺到する事も障壁の1つなのかもしれない。山本太郎代表(44)も記者会見で苦言を呈した。反省をこめて今朝の大混乱を振り返りたい。


「れいわ新選組」から当選した2人の新人議員の初登院を取材しようと、多くの記者やカメラマンが殺到した

【混乱の中「国会の中で頑張る」】
 「おっ木村さんが着いたぞ!」
 誰かが口にするや否や、木村さんを乗せたワゴン車にカメラマンが一斉に押しかけた。慌てて守衛が割って入ろうとするが、もはや無法地帯。「下がって!」。スタッフが何度も叫ぶが、木村さんを中心に出来上がった群れは崩れない。ようやく車から降り、早朝から集まった支援者に挨拶をしようとするが、全く進めない。「道を開けて!」。再びスタッフが叫ぶ。集まった人々は木村さんの姿が全く見えないまま、スタッフの怒声だけが響いている状態だった。支援者が突き飛ばされたとの情報もある。
 門扉の前でマイクを手に待機していた男性が、少しでも通路を確保しようと木村さんの方に近づいた。何分が経過しただろうか。支援者や守衛など大勢の人に囲まれながら、木村さんが挨拶した。
 「皆さんのおかげで私は参議院議員になる事が出来ました。本当にありがとうございました。国会議員になるにあたって、重度障害者が初めて当選したという事で、いくつかの問題に直面しました。参議院の皆様には、迅速に対応していただき、物理的な障壁を取り除いていただいて本当に感謝しています」
 「しかし、私たち障害者にとって最も重要な介助の問題が置き去りにされてしまいました。私たちは介助者がいなければ生きていく事が出来ません。既に報道されているように、議員活動に必要な介助費用については参議院が当面、負担する事になり、それ以外については厚労省が負担する事になりました」
 「私たちが求めてきた『介助を必要とする障害者が重度訪問介護制度を使って就労する』という要望は認められませんでした。制度の改正には時間がかかります。大きな問題を改善していくために、私たちはこれから、国会の中で頑張って取り組んでいきたいと思います。これからもよろしくお願いします」






(上)カメラとマイクの〝集中砲火〟を浴びた木村英子さん
(中)舩後さんの介助者が代わりに登院ボタンを押すと、一斉にカメラのフラッシュが焚かれた
(下)支援者への挨拶を終えた木村さんだが、取材陣に囲まれて一向に動けなかった

【木村代表「人工呼吸器外れたら危ない」】
 木村さんが話す間も、取材者同士の小競り合いが起きていた。
 「下がれよ!」、「押すなよ!」、「うるさいな、聞こえないだろ」
 挨拶を終えた木村さんは議事堂に移動したいが、それにもかなりの時間を要した。その間も、真夏の太陽は、車いすに乗った木村さんや介助者に容赦なく陽射しを浴びせてくる。カメラマンは、どうしても議事堂をバックに写真を撮りたい。記者は、移動の間に一言でも言葉をとりたい。木村さんを取り巻く人の群れは一向に減らなかった。
 「押さないでください!危ないから押さないで!」、「一歩ずつ下がってください!」
 ようやく〝撮影会〟から解放された木村さんは、スロープを使って議事堂前に移動した。段差を無くすための板を利用して中に入る。介助者の女性が代わりに登院ボタンを押すと、カメラのフラッシュが一斉に焚かれた。しかし、議場内に入るには、赤い絨毯が敷かれた何段もの階段が立ちはだかる。木村さんは横づけされたワゴン車に再び乗り、別の入り口から議場へと向かった。
 しばらくして、今度は舩後さんが介助者の女性とともにスロープを上がって来た。木村さんと同じように板を利用して中に入り、介助者の女性が代わりに登院ボタンを押した。そして、舩後さんもワゴン車に乗って別の入り口に移動した。2人以外の議員は階段を上って議場内に入って行く。まだまだ無くすべき障壁は山ほどある。今日はその第一歩。舩後さんがいなくなった議事堂内では、立花孝志議員がカメラマンの求めに応じて何度も「NHKをぶっ壊す」とガッツポーズをとっていた。
 2人を見送った記者たちは、シャツやジャケットを汗で濡らしながら記事や写真の送信に取り掛かった。1人が倒れて救急搬送された。山本太郎代表は、本会議後に院内で開いた記者会見の冒頭、記者たちに対して「万が一、人工呼吸器が外れたりしたら、かなり危険な状況になる。写真を撮る時間は必ず設けるので、合理的配慮をお願いしたい」と求めた。それだけ混乱を極めた初登院だった。






(上)介助者とともにトレードマークの帽子をかぶって初登院した舩後康彦さん
(中)段差を無くす板を利用して議事堂内に入った木村英子さん。階段を上る事は出来ないので、別の入り口に移動して議場内に向かった
(下)2人の初登院を見届けようと、車いすを利用する女性も国会議事堂前に駆け付けた

【SNSには「炎天下でインタビューするな」】
 2人の初登院には、共に選挙を戦った辻村ちひろさん(51)も駆け付けた。
 大阪市の松井一郎市長は、舩後さんたちの介助費用を参議院が支払う事について、「どなたにも適用できるよう制度全体を変えるならいいが、国会議員だからといって特別扱いするのは違う」、「議員だろうと一般の人だろうと公平に支援を受けられる制度にすべきだ。感情的になって、一部の人だけが優遇されるような制度を国会議員がつくるのは大問題だ」などと、参議院の対応を批判している。
 これについて、辻村さんは「いろいろなタイプの障害者がいて、それぞれに対応していかなければいけないんです。単純な話、無知・無恥です。知識も無いし、恥も無い。論評するに値しないです。そういう人が首長でいるというのは恐ろしい世の中だなと思います」と厳しい言葉で逆批判した。
 一方、舩後さんや木村さんの初登院を巡る取材に対しては、次のような意見もあった。
 「こんな暑いときに外でインタビューしてんじゃないよ。早く(中に)入れてあげなさい。気配りないんだね」
 「国会議員なので逃げることなく入館されるのですから、車椅子が円滑に通行出来る様に(通路の)両脇で撮影や取材をすれば良いのに、と思いました。あれではパパラッチと変わらないです」
 初登院を見届けた山本代表は夜、新宿駅西口で「街頭記者会見」を開いた。歩道だけでは群衆は収まらず、歩道橋や駅ビルの中にまで多くの人が集まって山本代表の話に耳を傾けた。テレビカメラも多数、撮影に訪れた。あるテレビ局のアナウンサーは「『政党』になりましたからね」と苦笑した。歴史に残る「2019・08・01」は大混乱と熱気のうちに終わった。これからも、2人の動きを取材しようと多くのメディアが殺到する。取材者が2人の「障壁」になってはいけない。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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