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【風評払拭と聖火リレー】福島県のPRランナーにTOKIOら著名人6人1組。内堀知事は「復興PR」に期待寄せるが、組織委が禁じる「政治利用」にはあたらないのか?

3月26日から始まる東京五輪の聖火リレーについて、福島県の内堀雅雄知事は27日午前の定例会見で、TOKIOやしずちゃんなど6人1組の「PRランナー」を公表した。内堀知事は復興PRや風評払拭への効果に期待を寄せるが、原発事故による「影」を覆い隠したままの聖火リレーで果たして本当の福島の姿が伝わるのか。そもそも、組織委員会が禁じる「政治利用」にはあたらないのか。帰還困難区域からの原発事故被害者への住宅提供が打ち切られるなど被害者切り捨てが着々と進む中での著名人を使った復興PR。いよいよ〝復興五輪〟の全容が見えてきた。
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【「福島の現状や魅力を発信」】
 内堀知事が公表した同県のPRランナーは、しずちゃんやTOKIOなど6人1組(写真参照)。会見場に用意されたモニターも使いながら、1人ずつ、福島県とどのような関係があるのかも含めて名前を読み上げた。
 「いずれも県民に夢や希望、元気を与えてくださる顕著な功績があり、本県の現状や魅力を発信するPRランナーとして相応しい方々であります。聖火リレーのグランドスタートまで、いよいよ2カ月を切りました。聖火リレーでは多くの県民の皆さんが一体となって沿道等でランナーを応援する事で、その盛り上がりの輪が県内全域へと広がる事を期待しております。県と致しましては、多くの地域、県民がかかわり、〝復興五輪〟のスタートにふさわしい聖火リレーとなるよう、引き続き準備を進めてまいります」
 特にTOKIOについては、読売新聞の記者が「知事として、TOKIOのメンバーが走る事によってどのような効果を期待するのか」と質問した。
 内堀知事は「県産農産物のCM等で福島県の風評払拭に御尽力いただいております。グループランナーとして4名全員で走っていただきます」としたうえで、「TOKIOの皆さんは震災・原発事故前からテレビ番組の関係もございましたが、福島県に対して非常に積極的にかかわっていただいた方々でございます。特に福島県の農林水産物について熱い情熱、想いを持っていただいております。そして震災・原発事故後においても、風評をはじめ本当に厳しい状況に置かれている福島県産の農林水産物をぜひ応援したいという事で、テレビCMをはじめ様々な場面で積極的に情熱をもって応援をしていただきました。こういったメンバーに聖火リレーのPRランナーとして走っていただく事が福島県の現在の復興の歩み、あるいは県産農林水産物が美味しくて品質が高いよという事を訴える1つの大切な契機になろうかと考えております」と答えた。

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福島県のPRランナーに選ばれた7人。内堀知事は、著名人が聖火リレーに加わる事で震災・原発事故に伴う〝風評〟の払拭や復興のPR効果をより高めたいと考えている

【福島県「政治利用にあたらぬ」】
 6人1組がどの市町村を走るかは「2月下旬以降に、組織委員会からランナーに伝えられるため、現時点では決まっていない」(県担当者)。しずちゃんは映画「フラガール」の舞台となったいわき市、TOKIOは原発事故で避難指示の出された富岡町や大熊町、双葉町、浪江町のいずれかを走ると思われる。福島県の聖火ランナーは最終的に260人規模になる見込みで、PRランナーも他のランナーと同様、トーチを手に200メートルを走る。
  そもそも聖火ランナーに対しては、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」がホームページ上で「聖⽕ランナーとして⾛ることを宗教的・政治的な⽬的に利⽤することはできません」と注意喚起している。福島県オリンピック・パラリンピック推進室は「聖火リレーを風評払拭や復興PRの一助とする事は、組織委員会が禁じている『政治的な目的の利用』にはあたらないと考えています。だから今回、このような方々を『東京2020オリンピック聖火リレーふくしま実行委員会』はPRランナーとして組織委員会に推薦したんです」との認識だ。
 しかも、なぜ6人1組が選ばれたのか、実行委員会ではどのような意見があったのか、他にはどのような著名人が候補として上げられていたのか、などについて福島県は一切を公表していない。今回選ばれたPRランナーの所属事務所などへの打診についても「昨年末に今回の6人1組を含めた聖火ランナー66人(公募枠とPRランナーを合計した組織委員会枠)のリストを組織委員会に提出した。少なくともその時点で所属事務所などの内諾は得ている」と説明するばかり。組織委員会から〝口止め〟されているのだという。
 「いつ、最終的にこの6人1組に決まったのか、どのような議論があったかなどについて、組織委員会が全国統一で議論の過程は公表しないようにお願いしていると聞いています。その〝お願い〟にどこまで強制力があるかは、各都道府県の受け止め方によると思います。特に文書はいただいていません。県実行委の議論の中身については、大会終了後どのタイミングで全国的にオープンに出来るのか。そこも組織委員会に伺ってみたいと考えています」(福島県オリンピック・パラリンピック推進室)

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「東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」は聖火ランナーに対し「政治利用」を禁じている。内堀知事は著名人が走る事で風評払拭につなげたいと公言しているが、福島県オリンピック・パラリンピック推進室の担当者は「政治利用にはあたらないという認識だ」と話す

【TOKIO「頑張る姿を全世界に」】
 内堀知事のTOKIOへの想いは並々ならぬものがある。
 2018年にメンバーの1人が刑事事件で脱退をした際も、ゴールデンウィーク中にもかかわらずCMへの継続利用をジャニーズ事務所に伝えるなど素早い対応で決着を図った。
 今回、選ばれた6人1組に関して、福島県は「直接取材は御遠慮いただきたい。代わりにコメントを出してもらった」として記者クラブに配布した。そこでTOKIOの4人は内堀知事の期待に応えるように「TOKIOにとって、福島は『心のふるさと』です。福島の皆さんに支えられたからこそ、今のTOKIOがあります。自分たちなりの福島への恩返しの気持ちを込めて、聖火ランナーとして走り、復興に向けて頑張る福島の姿を全世界に発信したいと思います」とのコメントを寄せている。
 聖火リレーの初日まで59日。避難指示区域の部分解除にJR常磐線の全線開通、そして著名人による聖火リレー。〝復興五輪〟の全容が見えてきた。
 もちろん、震災・原発事故からの復興は福島にとっても重要な歩みだ。しかし、聖火リレーを露払いとする〝復興五輪〟で国内外に発信される「福島の今」には、点在する汚染や被曝リスクは含まれない。本当に地場産の食べ物を子や孫に食べさせて良いのか、日々苦悩する県民の心など表現されない。住み慣れた故郷を奪われた怒りや哀しみ、悔しさは伝わらない。〝自主避難者〟は言うまでも無く、帰還困難区域からの避難者に対する住宅提供も打ち切られる事など、誰が知り得ようか。
 福島市内で23日夜に開かれたシンポジウムでは、参加者から「原発事故はまだまだ終わっていない」、「国に『10年の節目』だなどと言わせてはいけない」との声が聞かれた。芸能人たちの聖火リレーが盛り上がるのが本当に目指すべき「復興」の姿なのか。そもそも五輪や聖火リレーを復興PRに利用して良いのか。立ち止まって考える必要がある。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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