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【107カ月目の汚染水はいま】もの申せない内堀県政。「幅広い意見聴いて検討を」も地上保管継続には言及せずゼロ回答。茨城県と異なり海洋放出容認?

内堀雅雄知事は相変わらず〝ゼロ回答〟だった。福島県議会の代表質問で、宮本しづえ議員(日本共産党福島県議会議員団)や古市三久議員(福島県議会県民連合議員会)が相次いで汚染水処理に関して福島県の姿勢を質したが、従来の答弁を繰り返すばかり。明確に海洋放出に反対している茨城県知事との連携には答弁すらしなかった。福島県民からは地上保管継続を求める意見もあるが、答弁では知事も部長も一切言及せず。これでは海洋放出を容認していると考えられても仕方ない。国にもの申せない内堀県政が改めて浮き彫りになった。
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【公聴会の開催求めず】
 何を質しても、まともな答弁を得られない。自身のスタンスを明確に示さないのが「内堀スタイル」という事か。国にもの申せない知事の姿勢は、県議会でも同じだった。
 28日午後の本会議。代表質問に立った古市三久県議(いわき市)が汚染水問題に関するだけで13項目にわたって県の姿勢を質した。しかし、内堀知事は「県と致しましては、国および東京電力に対し、小委員会の提言内容をふまえ引き続き幅広い関係者の意見をていねいに聴きながら慎重に対応方針を検討するよう求めて参ります」と答弁するばかりで、地上保管への言及は無かった。
 「汚染水」とはそもそも、「燃料デブリを冷却するために注入した水が放射性物質に汚染され、雨水や地下水と混ざる事により発生するもの」(成田良洋危機管理部長)を指す。現在、多核種除去設備を通した「ALPS処理水」と呼ばれるが約111万トン、浄化処理前の「ストロンチウム処理水」が約7万トン貯蔵されている。今も日々、約170立方メートル増えているという。成田部長によると、トリチウムの年間発生量は約60兆ベクレルに達する。これらを原発事故前の管理目標値に従って放出した場合「約33年を要すると推定されている」という。
 成田部長は現況や数値に関しては具体的に答弁したが、福島県の言う「幅広い関係者」の定義については「国および東京電力の責任において、県内に限らず広く意見を聴くべきものと考えている」。公聴会の開催についても「国および東京電力の責任において検討されるべき」と答えるにとどまった。
 ちなみに、原子力規制委員会の前委員長・田中俊一氏は2019年9月の講演で「そもそも海洋放出以外に方法が無い」と語っている。福島県漁連は魚介類への影響や風評被害を理由に海洋放出には反対している。
 しかし、首長は自身の考えを語らない。明確に反対の意思を示さないのであれば、環境中への放出を容認していると考えられてもやむを得ない。国にもはっきりと物申さない。これが原発事故被災県の姿勢なのだ。

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答弁に立った内堀知事(上)も成田危機管理部長(下)も具体的な内容には言及せず。茨城県と異なり、国にもの申せない内堀県政が改めて浮き彫りになった

【茨城県知事は反対の談話】
 26日午後の代表質問では、宮本しづえ県議(福島市)が汚染水問題を取り上げた。
 ここでも危機管理部長は同じ答弁に終始。「多核種除去設備で処理した汚染水の取扱いにつきましては、これまで国の小委員会において社会的影響もふまえ様々な観点から議論が進められ、今月10日には検討結果を取りまとめた報告書が公表されたところであります。県と致しましては、国および東京電力に対し、小委員会の提言内容をふまえ引き続き幅広い関係者の意見をていねいに聴きながら慎重に対応方針を検討するよう求めて参ります」と述べた。
 2018年8月に開かれた「多核種除去設備等処理水の取扱いに係る説明・公聴会」では、「タンクへの貯蔵の継続を含めて検討されるべき」、「当分の間、保管を行い、分離技術など新しい技術を開発促進する時間を確保すべき」、「長期保管を行えば、減衰により処分量を減らすことが出来る。仮に120年待てば処分量は1000分の1になる」など環境中への放出に反対する意見も出された。
 茨城県の大井川和彦知事も今月4日、談話を発表し「これまでの関係者の努力を慮ることなく結論ありきの取りまとめを行うことは容認できるものではない」、「より影響の出ない方法がないか、さらなる検討を強く期待する」と批判している。
 しかし、「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」が取りまとめた報告書は、「技術的には、実績のある水蒸気放出及び海洋放出が現実的な選択肢」、「海洋放出、水蒸気放出のいずれも放射線による影響は自然被ばくと比較して十分に小さい」と結論付けている。共同通信によると、来日している国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は、汚染水の海洋放出について「他国でも行われているが魚や海底土に大きな問題を起こしていない。合理的だ」と語ったという。 
 宮本県議は「茨城県知事は単に談話を発表しただけでは無く、国の担当者を県庁に呼んで白紙検討を求めたと聞いている。これは本来、福島県がやるべき事」と再質問。古市県議も「茨城県と連携して海洋放出に反対するべき」と質したが、成田部長は「県と致しましては、国および東京電力に対し、小委員会の提言内容をふまえ引き続き幅広い関係者の意見をていねいに聴きながら慎重に対応方針を検討するよう求めて参ります」と全く同じ答弁を繰り返すばかりで触れる事すらしなかった。

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「汚染水問題」に関して福島県当局の考えを質した古市県議(上)と宮本県議(下)。しかし、中身の無い答弁が繰り返されるばかりだった=福島県議会

【市民団体「放出するな」】
 実は汚染水問題に関して、河北新報の記者も今月10日午前に開かれた知事定例会見で、「海洋放出と水蒸気放出が現実的な選択肢と絞り込んだ今回の小委員会の提言内容を、この先の議論のスタート地点として認めているということでしょうか」と質している。しかし、内堀知事はこの時も具体的には答えなかった。
 「県としての考え方を改めてお話しさせていただきます。トリチウムを含む処理水の取扱いについては、先月、国の小委員会が開催され、専門家による議論の取りまとめが行われました。国および東京電力においては小委員会の提言内容を踏まえ、引き続き幅広い関係者の意見をていねいに伺いながら、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております」
 「県としては、小委員会の提言内容を踏まえ国および東京電力において、慎重に対応方針を検討していただきたいと考えております」
 河北新報の記者は「福島県内では、地上保管を継続して欲しいという意見を持っている方もいらっしゃいます。そういった意見は報告書の中から落ちているのですが、保管継続の意見などを落としている報告書の提言をもって、この先の議論をするということでよろしいか」と食い下がった。だが、内堀知事は正面から答えず、あいまいな答えを繰り返すばかりだった。
 「小委員会の報告提言については、様々な内容が含まれているかと思います。そういったものを踏まえた上で、国、東京電力に慎重に検討を進めていただきたいということでございます」
 「原発事故被害者団体連絡会」(ひだんれん)などは1月22日、小委員会事務局に対し要請書を提出。①拙速なとりまとめをせず、ALPS処理汚染水の長期保管について十分な審議・議論を行うこと②処理によってもトリチウム以外の核種が除去できず残留している状態では、希釈の有無に関わらず環境中へは放出しないこと③「説明・公聴会」を福島県に限らず全国各地で行ない、広く国民の意見を聞くこと─などを求めた。文書による回答も求めたが、現時点で届いていないという。



(了)
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鈴木博喜

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