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【復興五輪と聖火リレー】「聖火リレーコースの7割近くが高濃度汚染」測定グループなどが日本外国特派員協会で会見。「被曝続いているのに五輪で〝復興〟などあり得ない」

原発事故後の福島県内で放射能測定を続けている市民グループや住民たち3人が3日午後、都内で会見し、今月26日に「Jヴィレッジ」(福島県双葉郡楢葉町)で始まる聖火リレーについて、測定結果を示しながら「リレーコースや周辺の放射能汚染は依然として解消されていない」と発表した。福島県は「問題無い」と公表しているが、聖火リレーコースの土壌汚染密度は7割近くが「チェルノブイリ法」での避難基準を上回るほどで、飯舘村では214万Bq/㎡に達した。3人は「原発事故はまだ終わっていない。せめて吸い込まないよう注意喚起を」と訴えている。
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【今なお続く土壌汚染】
 「日本外国特派員協会」で会見を開いたのは、青木一政さん(「市民放射能監視センター・ちくりん舎」副理事長)、中村順さん(「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」)、飯舘村民の伊藤延由さんの3人。青木さんがまず、調査の概要を説明した。
 「2019年12月16日から18日、2020年1月13、14日の5日間、原発事故による放射線影響が特に懸念される浜通り地域を中心に汚染状況を調査しました。69カ所に関して、地上1メートルの高さでの空間線量と土壌汚染密度を測りました。空間線量については日本政府が定めた除染特措法の基準(0・23μSv/h)によって、土壌汚染のレベルについては、チェルノブイリ法での指定基準に従って分類しました」
 その結果、放射能汚染が今も続いている実情が改めて分かったという。
 「土壌汚染密度は全69カ所のうち4%が『強制移住ゾーン』(148万Bq/㎡以上)のレベルに相当する事が分かりました。15%が『義務的移住ゾーン』(55万5000Bq/㎡以上)、36%が『移住の権利ゾーン』(18万5000Bq/㎡以上)、26%は『放射能管理強化ゾーン』(3万7000Bq/㎡以上)に相当しました。指定に該当しなかったのは、わずか19%でした。聖火リレーコース上の土壌(21カ所)に限定しても、指定基準以下の土壌は、わずか33%でした。空間線量は、全ての地点で除染が完了したとされているにもかかわらず、62%が0・23μSv/hを上回りました。聖火リレーコース上でも、52%で0・23μSv/hを超えました」
 「原発事故から立ち直った福島の姿」を国内外に発信する機会として使われる〝復興五輪〟と聖火リレー。しかし、被曝リスクは今なお存在している。中でも、飯舘村の土壌汚染密度は200万ベクレルを上回った。
 「飯舘村の聖火リレーコース上で、極めて高線量のホットスポットを発見しました。空間線量は0・85μSv/h、土壌汚染密度は214万Bq/㎡でした。この場所での年間被曝線量は、7・5mSvに相当します。年間1mSvの7倍を超えるレベルです」

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福島県は空間線量だけを測定し「安全」と結論付けている。しかし、「ふくいち周辺環境放射線モニタリングプロジェクト」が聖火リレーコースの土壌汚染密度を調べたところ、実に7割近くがチェルノブイリ法上の指定ゾーンに該当する結果になった。

【山木屋でも49万Bq/㎡】
 実際に測定した中村さんは、「〝復興五輪〟と名付けて、聖火リレーを福島県からスタートさせるのですから、きっと聖火リレーのコースは徹底的に除染されていて、その上で『安全』、『安心』、『復興』をアピールするのだろうと思いました。しかし測定してみると私たちの予想は大きく外れました」と語った。
 同プロジェクトは2012年10月から、主に福島県の浜通り地域で放射線測定を行っている60歳以上の市民グループ。原発事故後の浜通りを測定という形で見続けて来た。
 「聖火リレーコース上や周辺に、空間線量や土壌汚染密度の数値が高い地点が何カ所もありました。これらの場所は全て除染が完了し、住民の帰還政策が進められている場所です。(214万Bq/㎡が見つかった)飯舘村の場合、福島県も恐らく同じ地点を測定していて、空間線量を0・77μSv/hと発表しました。そして『応援する方が、今回測定した空間線量率の最大値0・77μSv/hの地点に4時間留まったとすると、追加被ばく線量は0・003mSvとなります』と公表しています。でも、福島県の調査は、なぜその場所の空間線量が高いのか疑問を抱いていないし、その場所は既に避難指示が解除され住民の方々が生活している場所であるという認識が欠落しています。その点で大きく間違っていると思います」
 汚染の現実は飯舘村だけでは無い。
 「飯舘村と同じく2017年春に避難指示が解除された川俣町山木屋地区では、国道114号線から山木屋中学校に上る道の除染が不十分であると分かりました。2018年に再開された小学校は生徒数がゼロになり休校中ですが、中学校には4人の生徒が通っています。教育の場であるだけに心配です。日本の法令では、放射線管理区域に指定しなければなりません(49万1000Bq/㎡)。私たちは山木屋地区を2018年に、飯舘村南部を2019年にメッシュ法により測定し、結果を可視化図にして役場や消防に届けましたが、改善された形跡は全くありません。非常に残念です」

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「外国特派員協会」で記者会見を開いた、上から青木さん、伊藤さん、中村さん。聖火リレーコースや周辺の放射能汚染の実態を実際に測り、その上で〝復興五輪〟や聖火リレーに疑問を投げかけた=東京都千代田区

【五輪の陰で続く被曝】
 伊藤さんは飯舘村の現状を話した。
 「国は村面積の約15%に対して3000~4000億円という巨費を投じて〝除染〟を行いました。しかし、現在でも1μSv/h(地上1メートル)を超える箇所が点在しています。国はこういう環境の村に戻りなさいといろいろな〝手当〟をつけていますが、1200人くらいしか戻っていません。それも73%が60歳以上の高齢者です」
 「村内の放射線環境は劣悪です。原発事故前は0・04~0・05μSv/hだったと言われていますから、現在でも村内は数倍から20倍以上高いのです。飯舘村など福島県内に存在する放射線は24時間365日発しています。村に帰った村民は24時間365日、被曝し続けます。聖火ランナーは一瞬かもしれませんが、こういう場所に住んでいる人がいるという事です。これは許し難いです」
 しかし、聖火ランナーの使命は〝復興〟を国内外にアピールする事だ。ランナーに選ばれた飯舘村の中学生を地元紙が大きく取り上げた。そこに「汚染」や「被曝リスク」は登場しない。触れられない。
 「原発事故はまだ終わっていません。福島県外に避難している人が、まだ3万人以上います。その方々の生活が原発事故前の状態に戻って、初めて『原発事故が終わった』と言えるのです。しかし、いかに多額の金をかけても復興は出来ません。これが原発事故の実態なのです。それなのに〝復興五輪〟に巨費を投じるのは誤りだと思います。私は新型コロナウイルスの問題が無くても反対です」
 年間被曝線量を1mSvから20mSvへ。放射性廃棄物の基準値も100Bq/kgから8000Bq/kgへ。福島だけは従来の基準値を捻じ曲げてまで偽りの〝復興〟が進められてきた。その頂点にあるのが聖火リレーであり五輪だ。
 質疑応答で、青木さんはこう答えた。
 「安倍首相は〝復興五輪〟と称して進めていますが、『クリーンで安全な福島』が実現しているとは言えないと思います。原発事故被害がほとんど解決されていないという実態を隠蔽して〝復興キャンペーン〟を行っているという事に、私たちは強い憤りを感じています。3月下旬は乾燥する時期で、舞い上がった汚染土壌を吸い込む危険があります。ランナーや沿道の子どもたちに注意喚起があって然るべきだと思います」
 聖火リレーまで20日を切った。



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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