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【原発避難者から住まいを奪うな】福島県が〝追い出し訴訟〟を福島地裁に提訴。五輪延期の陰で追い詰められる国家公務員宿舎の4世帯。被災県の暴挙に2団体が怒りの緊急要請

〝復興五輪〟が華々しく行われようとしていた陰で、原発事故の被災県がついに、避難した県民を住まいから追い出すための訴訟を福島地裁に起こした。提訴は25日付。都内の国家公務員宿舎に入居している4世帯に対して退去と未納家賃の支払いを求めている。福島県の内堀雅雄知事は要望を最大限に聞き入れて野球場を改修したが、原発避難者の声には耳を傾けない。五輪は延期されたが原発事故被害者切り捨ては延期されない。27日午後には避難当事者や支援者たちが福島県庁を訪れ、提訴の撤回などを求める緊急要請書を提出。前代未聞の異常事態に怒りをぶつけた。
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【机叩き「提訴やめよ」】
 緊急要請書を提出したのは、「福島原発事故被害者団体連絡会」(ひだんれん)と「『避難の権利』を求める全国避難者の会」の2団体。次の4項目を福島県の内堀知事に求めている。
 ①国家公務員宿舎入居者に対する「2倍家賃請求」を止めること
 ②国家公務員宿舎入居者に対する立ち退き提訴を止めること
 ③帰還困難区域からの避難者の住宅提供打ち切り通告を撤回し、すべての避難当事者の意向と生活実態に添った住宅確保を保障すること
 ④新型コロナウイルスによる経済状況が改善するまで避難者への立ち退き要求や未退去者への損害金請求を行わないよう、民間賃貸住宅の家主や避難先自治体に対し要請すること

 代表して要請書を県職員に手渡した村田弘さん(福島原発かながわ訴訟原告団長、南相馬市小高区から神奈川県横浜市に避難継続中)は、「まず抗議をしたい」と拳を強く握りしめながら怒りをぶつけた。
 「国家公務員宿舎から退去出来ない避難者に、県は1年間も『2倍家賃』の請求書を送り続けている。そして、何と原発事故の被害県である福島県が県民を裁判に訴えた。こんな前代未聞の事をしている。さらに、期間困難区域からの避難者に対する住宅提供も今月末で打ち切る(大熊町、双葉町は除外)。そういう大事な節目を迎えながら、1月からずっと求めているのに私たちと話し合おうとしない。県知事も一度も交渉の場に顔を出さない」
 村田さんは、拳で何度も机を叩きながら県職員に訴えた。
 「新型コロナウイルスの感染拡大という新たな災禍で、日本中が今日の生活をどうするか、今日の健康をどう守るかという緊急事態にある。それなのに、どうして退去出来ない人に対する提訴などという手段を選ぶのか」
 県職員は微動だにせず聞いていた。追い出し方針は変わらない。

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4項目の緊急要請書を提出した村田弘さん。「新型コロナウイルスの感染拡大という新たな災禍で、日本中が今日の生活をどうするか、今日の健康をどう守るかという緊急事態にある。それなのに、どうして退去出来ない人に対する提訴などという手段を選ぶのか」と強く抗議した

【追い打ちかけたコロナ禍】
 そもそも苦しい立場にある避難者に、追い打ちをかけたのがコロナ禍。「福島県は具体的な避難者支援策を検討するべきだ」と何度も口にしたのは瀬戸大作さん(「避難の協同センター」事務局長)。
 「帰還困難区域からの避難者にしても、住宅提供が打ち切られる事で権限が福島県から民間賃貸住宅の家主に移行する。それに伴って、実際に避難者が家主から退去を求められているという話も伝わって来ている。避難者が不利益を被るような事態は福島県の責任で食い止めて欲しい。転居費用を工面するのが本当に大変だという相談もある。福島県はただ退去を求めるのではなくて、転居費用を援助するくらいの事をやって欲しい。それをやらないで避難者を追い出すのは政策としてあまりにも不十分だ。今は非常事態なのだから、具体的に避難者に対して出来る事はしっかりとやって欲しい」
 瀬戸さんは昨年6月の講演で「〝自主避難者〟は約1万2000世帯という推計データがある。そのうち約半分が民間賃貸住宅に入居。そのさらに3分の1の約2000世帯を対象に、今年3月末まで家賃一部補助制度があった。国家公務員宿舎からの退去に応じない避難者に対しては、間もなく家賃の2倍請求が始まる。東京・東雲住宅では8割がまだ退去出来る状態に無い」と語っていた。
 避難者は決して、遊んで暮らしているわけでは無い。
 「避難の協同センター」世話人の熊本美彌子さん(福島県田村市から都内に避難継続中)は、「非正規で働いている避難者は雇い止めや収入減に直面しているのに、福島県から2倍の家賃を請求され続けている。避難者に寄り添うどころか窮状をさらに深めている」と訴えた。記者会見では「なぜ東京地裁でなく福島地裁に提訴したのか。避難者は交通費をねん出するのも難しいのに」と県の姿勢を批判した。出廷のために新幹線で往復すると2万円近くかかる。
 福島県生活拠点課の担当者は、これらの声には直接答えず「解決の道を探って来たが、話し合いでの解決は難しいと判断したので訴訟となった」とだけ述べた。

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(上)熊本美彌子さんは「福島県は避難者に寄り添うどころか窮状をさらに深めている」と抗議した
(下)緊急要請書を受け取った福島県生活拠点課の担当者(右)は多くを語らず「解決の道を探って来たが、話し合いでは難しいと判断したので訴訟となった」とだけ述べた=福島県庁

【「話し合い解決見込めぬ」】
 福島県生活拠点課によると、訴状は今月25日夕方、福島地裁に提出されたという。国家公務員宿舎「東雲住宅」(東京都江東区)に入居している4世帯が対象で、「『被告となるべき者が住宅の明け渡しおよび明け渡しまでに要した賃料相当額を支払う事』、『訴訟費用は被告となるべき者の負担とする事』との判決ならびに仮執行の宣言を求める」が請求の趣旨。東京五輪が延期されなければ翌26日から聖火リレーが始まり、福島県内での報道は〝お祭りムード〟に包まれるはずだった。
 福島県は2019年9月、東雲住宅に入居する5世帯を被告とする〝追い出し訴訟議案〟を県議会に提出。10月3日の本会議で、賛成多数で可決されていた。「日本共産党福島県議会議員団」の5人が起立せず反対。「福島県議会県民連合議員会」の古市三久県議は退席し、採決に加わらなかった。
 生活拠点課の大橋雅人課長は9月20日の企画環境常任委員会で「いわゆる〝自主避難者〟に対する平成29年(2017年)3月末の応急仮設住宅の供与終了後、2年間の経過措置として『国家公務員宿舎セーフティネット使用貸し付け』を実施した。5世帯は申し込みがあったものの、契約いただけないままの入居が続いていた。何とか話し合いにより解決を図りたいと考え、契約締結および賃料相当額の支払いを求める調停を東京地裁で行ってきた。2018年度、それぞれ1回から5回の調停により話し合いでの解決を目指して来たが、裁判官、調停委員2名により構成される調停委員会から『調停不成立』とされた。話し合いによる解決が見込めない状況である事から、明け渡しおよび賃料相当額の支払いを求める訴えの提起もやむを得ないとの判断に至った」と説明している。
 議案では5世帯だったが、訴えられたのは4世帯。生活拠点課によると1世帯は今年1月に国家公務員宿舎を退去したという。「未納家賃の支払いに関しても合意が得られている」と担当者。避難者が、分納での支払いに関する誓約書にサインしたとの情報もある。



(了)
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鈴木博喜

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