【新型コロナウイルス】発言が二転三転、挙げ句に高校休校問題では「回答を控えさせていただく」。逃げに転じた金光教授に県アドバイザーの資格はあるか?
- 2020/04/11
- 23:57
二本松郵便局での集団感染もあって37人の感染者が確認されている福島県。県の感染症対策アドバイザーを務める福島県立医科大学の金光敬二教授の資質に疑問の声があがっている。毎回、記者会見に出席。「いつまでも休校にしておくわけにもいきません」などと県教委の判断を後押しして来たが、11日夜の会見では県立高校の休校問題を問われ「お答えする立場に無い」と回答を拒否。無責任な姿勢に現役高校生も「呆れました」と語る。「倍加時間」を巡る発言も二転三転するなど迷走気味で、金光教授は何のための、誰を守るためのアドバイザーなのだろうか。

【「お答えする立場に無い」】
福島県内37例目の感染者が判明した事を受けて11日夜に開かれた記者会見。テレビユー福島の男性記者が福島県感染症対策アドバイザーを務める福島県立医科大学の金光敬二教授(感染制御学)に質した。
「これまで新型コロナウイルスの影響で、福島市の小中学校や特別支援学校、須賀川市の小中学校、そして今日、二本松市も小中学校を休校としました。何で高校だけは休校にしないのか。生徒さんはもちろんですけれども、高校生を持つ保護者で不安に思う方も多くいらっしゃると思います。この点についてはどうお考えでしょうか?」
休校を求めるネット署名運動が続く中、ようやく高校生や保護者の気持ちを代弁するような質問が出た。しかし、これに対する金光教授の答えはあまりにも無責任だった。逃げたのだ。
「えーとですね、これちょっと、なかなか私が…。今言われたですね、当然、高校生の親御さんとか不安に思う気持ちも分かりますけれども、それはちょっとあのー、私の方からお答えする立場では無いので、申し訳ないですけれども…」
そして「他に県の方から何かコメントございます?」と福島県保健福祉部の担当者の方に顔を向けた後に、改めて「これは私の方から申し上げるのは控えさせていただきます」と繰り返した。
水を向けられた格好の保健福祉部の担当者も「県と致しましても、そちらにつきましては教育長の案件でございますので、この場でお答えというのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。申し訳ございません」。まるで責任のなすりつけ合い。そして高校生や保護者の不安だけが残った。

37例目の感染者について行われた記者会見。県のアドバイザーでもある福島県立医大の金光教授はこれまで、県立高校の休校問題について「いつまでも休校に出来ない」などと発言していたが、この日は一転、ノーコメントを貫いた
【「〝自主休校〟は難しい」】
「もはや呆れた、という感じです。県に期待することはもう、やめました」
インターネット中継で記者会見を観た県立高校3年生の女子生徒(会津若松市在住)は、金光教授や県職員の発言に対する感想を寄せた。高校生が怒りや落胆を通り越して呆れてしまっている。感染リスクを少しでも下げるために休校にして欲しいと願っているが、大人たちは全く動いてくれない。自主的に登校しないという選択肢もあるが、周囲の目も気になる。女子生徒は取材に対し、こんな言葉で不安や葛藤を綴った。
「自分の身を守るために、とりあえずマスクをして学校に通っています。いくら出席停止扱いになる(学校長の裁量で、感染への不安を理由に休んでも欠席扱いにはならない)とはいえ、自主休校するには大変な勇気が要ります。周りに休んでいる人はいないですから…。『休んでも良いんだよ』と言われても、なかなか自主休校出来ないのが現状です」
「それに私も受験生。もし県教委が休校を決めたとして、それで授業が止まってしまうのは正直困るし、学習面への不安は残ります。でも、やっぱり今はそれ以上に感染拡大を防ぎ、命を守ることが大切だと思います。だから休校を求めているのです」
原発事故後、学校給食による内部被曝への不安が高まり、弁当持参を認めた学校もあった。しかし、実際には大半の子どもが給食を食べる中で、弁当を持参した子どもは〝少数派〟となってしまい、非常に肩身の狭い想いをした。「お母さん、僕も皆と同じように給食を食べたいよ」と泣いて訴えた子どももいたと聞く。今回の〝自主休校〟はそれと似ている。子どもに判断を委ねるのは酷であり、大人の怠慢ではないのか。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、福島市役所でも受付や各部署にビニールカーテンが設置された。コンビニも感染拡大防止の取り組みを始めた。しかし、休校して欲しいという高校生の願いは聞き入れられない
【「東京より悪い」から後退】
金光教授の発言は二転三転している。
3月31日の囲み取材では、筆者の質問に対し「現時点でですね、2人の患者さんしかいらっしゃらないという事ですよね。学校もいつまでも休校にしておくわけにもいきませんし、国もそれをですね、状況を見ながら各地方自治体で考えなさいという風に言っています」、「感染がもっと拡がる、あるいは学生、あるいは教職員のなかで感染者が出るという事になれば当然、再考していかなければいけないと思います。けれども、この2例をもってですね、学校再開が出来ないという状況では無いという事だと思います」と答えている。
その後も同様の発言が続いたが、9日の記者会見で一変する。二本松郵便局での集団感染が拡がる中で、こう語っていた。
「いま東京で患者さんたくさん出ていますというふうに言われてますけれども、『倍加時間』って皆さん、お聞きになった事があるかと思いますが、例えば100人が200人になるまでに必要な時間という事ですね。東京は、累積の感染者数が倍になるのが5日から6日の間なんですよ。これが短ければ短いほど状況が悪いという事ですよね。倍になる日数が短いんですから。昨日の時点で福島の状況を計算したら、3日から4日の間ですから。東京より状況が悪いって事なんですね。この『ダブリングタイム』というのはですね、短ければ短いほど感染が急速に拡がっているという事なんですね」
一方で「ちょっと現場(二本松郵便局)を私見ておりません」と話すなど、アドバイザーとしての資質に疑問も生じさせた。そして10日夜の記者会見では、自身の「東京より状況は悪い」とした発言を、次のような表現で後退させている。
「総合的に判断すると、福島は東京のようでは無いと。あるいは東京よりまだ良いと言いますか、患者さんも少ないし、それほどでも無い。たった1つのパラメータを見たらそうですよという事です」
そして11日夜の会見ではとうとう、県立高校の休校問題に関して「お答えする立場では無い」として逃げてしまった。
「学校もいつまでも休校にしておくわけにもいきません」、「学校再開が出来ないという状況では無い」という発言は何だったのか。何のためのアドバイザーなのか。誰を守ろうとしているのか。金光教授は本当にアドバイザーとして適任なのだろうか。
(了)

【「お答えする立場に無い」】
福島県内37例目の感染者が判明した事を受けて11日夜に開かれた記者会見。テレビユー福島の男性記者が福島県感染症対策アドバイザーを務める福島県立医科大学の金光敬二教授(感染制御学)に質した。
「これまで新型コロナウイルスの影響で、福島市の小中学校や特別支援学校、須賀川市の小中学校、そして今日、二本松市も小中学校を休校としました。何で高校だけは休校にしないのか。生徒さんはもちろんですけれども、高校生を持つ保護者で不安に思う方も多くいらっしゃると思います。この点についてはどうお考えでしょうか?」
休校を求めるネット署名運動が続く中、ようやく高校生や保護者の気持ちを代弁するような質問が出た。しかし、これに対する金光教授の答えはあまりにも無責任だった。逃げたのだ。
「えーとですね、これちょっと、なかなか私が…。今言われたですね、当然、高校生の親御さんとか不安に思う気持ちも分かりますけれども、それはちょっとあのー、私の方からお答えする立場では無いので、申し訳ないですけれども…」
そして「他に県の方から何かコメントございます?」と福島県保健福祉部の担当者の方に顔を向けた後に、改めて「これは私の方から申し上げるのは控えさせていただきます」と繰り返した。
水を向けられた格好の保健福祉部の担当者も「県と致しましても、そちらにつきましては教育長の案件でございますので、この場でお答えというのはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。申し訳ございません」。まるで責任のなすりつけ合い。そして高校生や保護者の不安だけが残った。

37例目の感染者について行われた記者会見。県のアドバイザーでもある福島県立医大の金光教授はこれまで、県立高校の休校問題について「いつまでも休校に出来ない」などと発言していたが、この日は一転、ノーコメントを貫いた
【「〝自主休校〟は難しい」】
「もはや呆れた、という感じです。県に期待することはもう、やめました」
インターネット中継で記者会見を観た県立高校3年生の女子生徒(会津若松市在住)は、金光教授や県職員の発言に対する感想を寄せた。高校生が怒りや落胆を通り越して呆れてしまっている。感染リスクを少しでも下げるために休校にして欲しいと願っているが、大人たちは全く動いてくれない。自主的に登校しないという選択肢もあるが、周囲の目も気になる。女子生徒は取材に対し、こんな言葉で不安や葛藤を綴った。
「自分の身を守るために、とりあえずマスクをして学校に通っています。いくら出席停止扱いになる(学校長の裁量で、感染への不安を理由に休んでも欠席扱いにはならない)とはいえ、自主休校するには大変な勇気が要ります。周りに休んでいる人はいないですから…。『休んでも良いんだよ』と言われても、なかなか自主休校出来ないのが現状です」
「それに私も受験生。もし県教委が休校を決めたとして、それで授業が止まってしまうのは正直困るし、学習面への不安は残ります。でも、やっぱり今はそれ以上に感染拡大を防ぎ、命を守ることが大切だと思います。だから休校を求めているのです」
原発事故後、学校給食による内部被曝への不安が高まり、弁当持参を認めた学校もあった。しかし、実際には大半の子どもが給食を食べる中で、弁当を持参した子どもは〝少数派〟となってしまい、非常に肩身の狭い想いをした。「お母さん、僕も皆と同じように給食を食べたいよ」と泣いて訴えた子どももいたと聞く。今回の〝自主休校〟はそれと似ている。子どもに判断を委ねるのは酷であり、大人の怠慢ではないのか。

新型コロナウイルスの感染拡大を受け、福島市役所でも受付や各部署にビニールカーテンが設置された。コンビニも感染拡大防止の取り組みを始めた。しかし、休校して欲しいという高校生の願いは聞き入れられない
【「東京より悪い」から後退】
金光教授の発言は二転三転している。
3月31日の囲み取材では、筆者の質問に対し「現時点でですね、2人の患者さんしかいらっしゃらないという事ですよね。学校もいつまでも休校にしておくわけにもいきませんし、国もそれをですね、状況を見ながら各地方自治体で考えなさいという風に言っています」、「感染がもっと拡がる、あるいは学生、あるいは教職員のなかで感染者が出るという事になれば当然、再考していかなければいけないと思います。けれども、この2例をもってですね、学校再開が出来ないという状況では無いという事だと思います」と答えている。
その後も同様の発言が続いたが、9日の記者会見で一変する。二本松郵便局での集団感染が拡がる中で、こう語っていた。
「いま東京で患者さんたくさん出ていますというふうに言われてますけれども、『倍加時間』って皆さん、お聞きになった事があるかと思いますが、例えば100人が200人になるまでに必要な時間という事ですね。東京は、累積の感染者数が倍になるのが5日から6日の間なんですよ。これが短ければ短いほど状況が悪いという事ですよね。倍になる日数が短いんですから。昨日の時点で福島の状況を計算したら、3日から4日の間ですから。東京より状況が悪いって事なんですね。この『ダブリングタイム』というのはですね、短ければ短いほど感染が急速に拡がっているという事なんですね」
一方で「ちょっと現場(二本松郵便局)を私見ておりません」と話すなど、アドバイザーとしての資質に疑問も生じさせた。そして10日夜の記者会見では、自身の「東京より状況は悪い」とした発言を、次のような表現で後退させている。
「総合的に判断すると、福島は東京のようでは無いと。あるいは東京よりまだ良いと言いますか、患者さんも少ないし、それほどでも無い。たった1つのパラメータを見たらそうですよという事です」
そして11日夜の会見ではとうとう、県立高校の休校問題に関して「お答えする立場では無い」として逃げてしまった。
「学校もいつまでも休校にしておくわけにもいきません」、「学校再開が出来ないという状況では無い」という発言は何だったのか。何のためのアドバイザーなのか。誰を守ろうとしているのか。金光教授は本当にアドバイザーとして適任なのだろうか。
(了)
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