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【新型コロナウイルス】PCR検査せず「保育園では感染広がらない」。断言する福島市長に批判噴出。保育園児の感染判明も、無症状理由に「濃厚接触者いない」とバッサリ

なぜ現時点で「感染の広がりが懸念される状況ではない」と断言出来るのか─。福島県福島市・木幡浩市長の言動に市民の批判が高まっている。12日夜の記者会見で、同市11例目(福島県内では38例目)となる保育園児の感染を公表したが、同じ保育園に通う他の園児や保育士へのPCR検査は行わないと明言したほか、同保育園での感染拡大の可能性を全否定するメッセージを発表したのだ。国は発症後の接触者を濃厚接触者と定義づけており、それに従った形だが、保護者などの不安は完全に無視された格好で、市民の生命を守るべき行政や首長の姿勢が問われている。
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【「男児からの感染リスク低い」】
 福島市民から驚きの声があがった。
 木幡市長は、12日夜の記者会見で市内に住む保育園児(同居している40代父親は二本松郵便局勤務)の感染を公表したが、他の園児約60人や保育士など職員については「当該園児に発熱や咳などの症状が見られない(無症状)」事を理由にPCR検査を実施しない事を繰り返し明言したのだ。
 男児の通う「福島わかば保育園」(福島市浜田町)は13日から16日までの4日間、休園するため、他の園児の中で仕事などで家族が面倒を見られない子どもは、わかば保育園を経営する社会福祉法人「福島福祉施設協会」の保育園で預かる。そこで新たな感染が生じないか、そもそも他の園児には感染していないのか。保護者が不安を抱くのは当然だ。二本松郵便局のように集団感染に発展する事への懸念もある。しかし福島市は「リスクはゼロでは無いが低い」として一切、調べない。
 福島市の公表資料によると、感染した園児は父親が発熱した今月3日(金)も登園。父親が味覚や嗅覚の異常を自覚した6日(月)から9日(木)まで4日続けて登園している。父親は10日(金)になって咳や息苦しさが悪化し、11日(土)のPCR検査で陽性と判明。父親と食事や入浴をともにしていた男児は無症状だが、父親の濃厚接触者であるためPCR検査を実施。12日(日)に陽性が判明している(他の同居家族2人は陰性)。
 木幡市長は、当該男児が無症状であるため他の園児や保育士などは濃厚接触者に該当しないと判断。そればかりか、12日夜に公表した「市長のメッセージ」の中で、こんな表現で不安を封じ込めて市民の怒りを買った。
 「感染の広がりが懸念される状況ではありません」
 神か預言者にでもなったつもりか。なぜこの時点で感染の広がりを全否定出来るのか。

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(上)木幡市長が12日夜に公表した「市長のメッセージ」。保育園での感染の広がりを全否定している(傍線は筆者)
(下)感染が判明した男児が通う「福島わかば保育園」。男児が無症状である事を理由に、他の園児や保育士などはPCR検査が行われない

【「他の園児も検査するべき」】
 木幡市長が強気の姿勢を見せる背景に、国立感染症研究所による濃厚接触者の定義がある。
 同研究所感染症疫学センターは「『濃厚接触者』とは、『患者(確定例)』が発病した日以降に接触した者のうち、次の範囲に該当する者である」として、「患者(確定例)と同居あるいは長時間の接触(車内、航空機内等を含む)があった者」など4点を挙げている。他の園児などにPCR検査を実施しない根拠がこれだ。
 一方で、今回の男児のように無症状ながら陽性と判定されたケースについては、「検体採取の時期や疫学的な情報に基づき、今後の発症の蓋然性(注:確実性の度合い)とともに、接触者に対して感染伝播をさせた場合の影響の大きさを評価し、接触者調査の実施について個別に判断する」と定めている。木幡市長がメッセージで記した「感染の広がりが懸念される状況ではありません」の根拠となり得る文言は無い。2週間にわたって健康観察を行った結果として発するならともかく、男児1人の感染が判明した段階で他の園児への感染を全否定する事など容認されていない。
 またNHKは今月2日、発症前でも新型コロナウイルスが別の人に感染するとのシンガポールの研究成果を報じている。
 福島市議会の小熊省三議員(日本共産党福島市議会議員団)は「この段階で『感染の広がりが懸念されるような状況では無い』などと誰が言えるのか。他の園児もPCR検査をするべきだ。発病しなければ濃厚接触者とみなさない国の定義が間違っているのではないか。まるでごまかしだ。市民の安全安心を守るのが行政の仕事だろう」と怒りを口にした。
 福島県議会の宮本しづえ議員(日本共産党福島県議会議員団)も「医療関係者の間では、PCR検査が増えると医療崩壊につながるのではないかとの懸念がある」と指摘した上で、「難しいし悩ましいが、濃厚接触の不安がある人の検査はするべきだろう。ましてや、市長が感染拡大の可能性を全否定するような事を言うべきでは無い」と木幡市長の姿勢を批判した。

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日本共産党福島市議会議員団は13日午後、福島市に対し、濃厚接触者に限らずPCR検査を行う事などについて、宮本しづえ県議とともに福島市に申し入れた。木幡市長は直接受け取らず、秘書課長が市役所廊下で受け取った

【発症前感染の報告も】
 福島市保健所総務課の本田博進課長は13日午後、取材に応じ、他の園児のPCR検査を行わない事について「今回のお子さんの健康状態がずっと良好である事、入浴をともにしたなど父親との接触状態、父親の感染が分かった後は部屋を分けている事などを総合的に勘案。ドクターである保健所長とも話をした中で、他の園児や職員については濃厚接触者に該当しないと判断した。同じ保育園に子どもを通わせている保護者の不安や心情は理解出来るし、ばっさり切り捨てるわけでは無いが、『大丈夫ですよ』という意味もこめている」と説明した。
 また、木幡市長が、感染の広がりを全否定している事についても「現状での見方、判断を言葉で表現したとお考えいただきたい」と〝擁護〟した。「市としての健康観察の対象にはしていないが、今後、他の園児の体調に異変が生じた場合にはすぐに報告が入るようになっている。また、感染者が出た場合には今回の男児との関係性を見ていく事になる」。
 また、福島県保健福祉部の三浦爾次長は「原子力災害と同じで、『安全』と『安心』は違うという事だ。われわれも正確に情報発信をするので、不安が正しくないという意味では無いし理解出来るが、県民には正しく理解していただきたい」と話した。
 PCR検査数を意図的に抑制しているのではないか、との指摘については「最大で120人くらい検査出来る体制にはあり、今のところ検査実績は最大で約70件なので、キャパシティの問題は無い。陽性者を増やさないために検査を行わないという事も無い」と答えた。木幡市長の発言については「市長にはお考えがあると思うので何とも言えない」と語るにとどまった。



(了)
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鈴木博喜

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