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【新型コロナウイルス】「電車通学怖い」 福島の若者たちが訴える切実な窮状 「バイト収入半減」

福島の若者たちも切実な叫び声をあげている。4月30日に福島県知事あてに提出された9つの要請には、新型コロナウイルスの感染拡大により窮状に追い込まれた若者たちの苦しい生活が凝縮されていた。一緒に提出されたアンケート結果にも、高校生や大学生たちの感染リスクへの不安や生活苦に関する言葉が並ぶ。しかし、受け取った県職員からは前向きな発言が無く、参加者たちをがっかりさせた。緊急事態宣言の適用が解除され、6月1日から県立高校の通常授業が再開される福島県。しかし、若者たちの現状は急に好転するわけではない。
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【「授業料支払い猶予を」】
 4月30日。福島県庁内の会議室に若者たちが集まった。県職員を前に福島大学の男子学生が窮状を訴えた。口調こそ穏やかだったが、内容は切実だった。
 「授業料支払い猶予の申請をしていて、それが認められなかったら休学せざるを得ない友人がいます。身近にそういう人がいるのが現実なのです。福島大学ではノートパソコンを貸与する制度を設けたようですが、大学によって支援策にばらつきがあります。オンライン授業の機会は平等に保障されるべきです」
 日本民主青年同盟の福島県委員会が中心となって提出された要請書。そこには新型コロナウイルスの感染拡大により苦境に追い込まれた若者たちの叫び声が凝縮されていた。
 福島県・内堀雅雄知事への要請項目は次の9点。
 ①休校やキャンパスへの立ち入り禁止期間中の学費(授業料)は国が全額補填し、学生に返還するよう政府に求めること
 ②国の授業料減免や給付型奨学金の制度について、収入要件を大幅に緩和するよう国に求めること
 ③入学金や授業料の納付が困難になっている学生に対して、納付の猶予期間を十分に設けるよう政府に求めること
 ④オンライン授業では、インターネット環境やパソコン保有の有無によって受講が左右されないよう、ノートパソコンの貸与や購入費用の補助などを行い、新たな学生負担が生まれないよう政府に求めること
 ⑤いくつかの大学では、感染拡大防止の観点から学生に「アルバイトの自粛」を求めている。その場合、現在の制度でも学生アルバイトが休業手当を受け取れる権利があることを学生にわかりやすく周知するよう各大学に県として要請すること。また企業に対しては、アルバイトへの休業手当ができるよう雇用調整助成金など制度の周知、活用を呼びかけること
 ⑥新型コロナウイルスの影響による減収などで困窮している福島県内の学生に、県として応急奨学金を給付すること
 ⑦雇用調整助成金の制度は、事業主が労働者に休業手当を支払う前でも申請可能にするなど、使いやすい制度に改善するよう国に求めること
 ⑧アンケートに取り組み始めた当初、通学や学校生活の中での感染リスクへの不安とともに、高校の休校延長を求める声が多くの高校生から寄せられた。高校生が自ら署名運動を起こし自治体に働きかけるなど、県内の高校生は自分たちの声が学校教育運営に活かされることを強く望んでいる。そのことを踏まえ、これから高校の授業を再開する際、県は高校生の声をよく聞き、その意見が活かされるようにすること
 ⑨臨時休校に伴い、学童保育へ大きな負担がかかっている。5月以降も臨時休校が延長された場合、それに対応する学童保育への補助を引き続き国が行うよう、県として求めること。また、学童保育においてアルコール消毒液やマスクが手に入らず児童の感染予防対策が十分に取れないところもあることから、配給など市町村が十分な支援を行えるよう、県としても援助すること

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(上)福島県知事宛てに提出された要請書。9項目にわたって求めている
(下)新型コロナウイルスの感染拡大で居酒屋やカラオケ店などが軒並み休業。それに伴って学生のアルバイト機会も激減し、深刻な影響が生じている

【無視された高校生の声】
 要請書と一緒に提出されたアンケート結果には、10代から40代までの切実な生の声が綴られている。4月にツイッターで意見を募ったほか、福島大学周辺のアパートにアンケート用紙を配って回答を得た。
 まずは高校生。福島県教委は3月2日から県立学校を臨時休業したが、4月1日に再開。部活動も始まった。そこで、いわき市の男子高校生がインターネット上で休校延長を求める署名運動を開始。学校が再開された後の4月7日に署名簿をメールで県教委に提出し、電話でも連絡したが、県教委は「今回の新型コロナウイルスへ対応についての県内外からのメールが300件以上、寄せられておりまして、(署名簿を添付した)メールが届いているかどうかも含めて確認出来ない状態」としてまともに取り合わず、事実上〝黙殺〟した。
 最終的に2800人を超える賛同者が集まったが、無視されたのだ。だから、アンケートで「どうかこれ以上感染を広げないためにも、福島県内の高校生やその家族の声に今一度耳を傾けてください」(福島市の17歳女性)という声が寄せられたのも当然だった。
 ・「公共交通機関を使うので感染しないか不安」(南相馬市の16歳男性)
 ・「近くの地域でクラスター感染が起きています。親の職場が近く、また須賀川市にある学校に通学しているのでとても怖いです」(大玉村の17歳男性)
 ・「高校まで電車で通学しているので余計に怖い。教育委員会が休校にしない理由をきちんと説明してほしい」(石川町の17歳女性)
 ・「自分が誰かに移してしまうのではないか。集団感染が起こってしまうのではないかと考えてしまい不安で涙が出てしまっています」(石川郡の17歳女性)
 ・「登校する時に電車に乗るんですが毎日満員で、国の言う3密をきっちり満たしていて怖いです学校でも窓は開けているんですが、生徒の一部はマスクをしない。挙げ句の果てに先生すらマスクをしない」(北塩原村の17歳男性)
 ・「通学時に密閉・密集空間を避けるために他の手段を取らざるを得なくなっている」(いわき市の16歳男性)

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(上)(中)民青同盟のアンケートに寄せられた切実な声。高校生から大人まで、悲痛な叫び声が綴られている
(下)民青同盟福島県委員長の久保田亮さん。福島県職員の反応に「冷たい県政だ」と肩を落とした

【県に実態調査求める】
 これが大学生になると、アルバイトや就活など、生活に直結した問題になる。

 ・「就職活動での企業説明会などのイベントが中止になった。感染が怖いのでアルバイトを辞めざるを得なくなった」(福島市の21歳男性)
 ・「アルバイトが減ってしまい外出もままならないので、生活が成り立っていません」(福島市の20歳女性)
 ・「アルバイトを2つ掛け持ちしていましたが、個人経営のバイト先は経営が難しくなっているらしく、1カ月近くシフトに入れていません。チェーン店の方は、営業時間が短縮された影響でシフトが削られる予定です。バイトの収入が半分ほどになり、このままの状況が続くと奨学金だけでは生活が難しくなりそうです」(福島市の20歳女性)
 
 要請書の提出を受けて、福島県企画調整課の担当者は「アンケートにも目を通させていただいて、必要な部署につながせていただく」とは答えたものの、一方でこうも述べた。
 「これは気分を害さないで聞いていただきたいのですが、われわれは県という立場なので、県がやるべき事と国や大学が判断する事、それぞれ責任者としてあります。ただ、国にこういう想いを届ける事は出来ますので、なので必ずしも縦割りだから出来ないという話では無いのですが、そういうような説明も入って来る事を御許しいただければと思います」
 集まった若者たちもそんな事は分かっていて、だから要請書の文面は全て「政府に求める」、「各大学に要請する」となっているのだが、残念ながら県職員はまず「これとこれは国や大学が判断する事だ」と説明するところから始まってしまった。このあたりにも、県民に冷たい内堀県政の一端が如実に表れている。日本民主青年同盟福島県委員会委員長の久保田亮さん(31)は「学生に対する県独自の支援策は全くありません。改めて学生に冷たい県政だなと感じています」と話した。
 同席した吉田英策県議(日本共産党福島県議会議員団)は「学生が学業を断念せざるを得なかったり仕事を辞めたりしなければならない実情を県は把握する必要があると思う。若者へのアンケート調査など、本来は県がやるべき事だ。国に対してなかなか言えないでは無くて、県は若者救済の先頭に立つべきだ」と求めた。
 大橋沙織県議(同)も「県として学生の生活実態調査を行うべきだ。そもそも学費が高く、アルバイトをして奨学金を借りてでないと通えない学生が多い中で、アルバイトが出来ないので生活そのものが行き詰っている。学生がどういう状況で暮らしているのか、県として受け止める必要があると思う」と訴えた。
 これに対し、県側は「やれる事とやれない事がありますが、しっかりと対応したい」と答えるばかり。そして、感染拡大が止まったとして緊急事態宣言の適用が解除された。しかし、苦しい生活が急に好転するわけでは無い。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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