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【県民健康調査】学校での甲状腺検査廃止への地ならし? 20校で検査視察と聴き取り調査実施 星座長は非公開での「保護者らに聴き取り」別途実施を提案

原発事故後、福島県が実施している「県民健康調査」の第39回検討委員会が8月31日午後、福島市内のホテルで開かれた。今年3月31日までに「悪性ないし悪性疑い」と判定されたのは246人、そのうち手術を受けた人は200人に達した事が報告された。また、学校での甲状腺検査について、県職員が実際に20校を訪れて視察し、教頭や養護教諭から聴き取り調査を実施する事が決まった。さらに、星座長が「非公開で保護者などから聴き取りをする会」を別途実施したいと提案。次回委員会で具体的な内容が示される。委員の1人からは「学校での甲状腺検査を終わらせるための地ならしだ」との声があがっている。
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【「本音聴き出す調査を」】
 学校での甲状腺検査視察と聴き取りは、検査が再開される今月から11月中旬にかけて、福島県内の20校に県職員が訪問して行う。
 「学校での検査が現場ではどのような流れで実施され、また、学校が甲状腺検査についてどのように認識しているのか、どのような意見を持っているのか」を把握するのが目的で、①甲状腺検査当日に訪問して視察②検査日とは別の日に訪問して教頭や養護教諭などから聴き取り③甲状腺検査の事前打ち合わせの際に聴き取り④今年度は甲状腺検査を実施しない学校にも訪問して聴き取り─の4つの方法が県側から提示された。具体的に訪れる学校は「地域や規模などバランスを考慮して選ぶ」という。
 聴き取る内容は「学校の何の時間(授業)を甲状腺検査に充てているのか」、「検査実施中、検査を受診するまたは受診しない生徒については、それぞれどのように対応すしているのか」、「甲状腺検査を学校で実施することについて、生徒、保護者はどのように受け止めていると考えているか」などで、聴き取った結果は取りまとめが出来次第、検討委員会に報告されるという。
 委員からは「生徒、保護者はいろいろな受け止め方をしていると思う。どのように受け止めているかを尋ねるには、人数を増やさないと分からないと思う。また、質問する対象は責任ある人に絞るべきだ」(津金昌一郎委員)、「生徒や保護者に直接、アンケート調査をするものだと受け取っていた。県民が甲状腺検査に対してどのようなイメージを持っているかは、第三社では無く本人たちの意見を調べるしか無いのではないか」(鈴木元甲状腺検査評価部会長)、「強制性の問題に踏み込むものであると理解していたが、そういう観点が抜け落ちている」(稲葉俊哉委員)、「本音を聴き出すような調査をしていただきたい。学校の管理職では、問題にならないような形式的な答えをしてしまうだろう。養護教諭を中心に調査するのが望ましい」(委員)などの意見が出された。

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二学期から学校での甲状腺検査が再開されるのに合わせて、県職員が20校を訪れて聴き取り調査を実施する事になった

【「匿名性を完全に担保」】
 富田委員の意見に対し、星北斗座長が強い言葉で発言する場面があった。
 「まずやってみましょう。そういう事を言い始めると前に進めませんのでね。とにかくやってみましょう。それで出てきた答えが画一的で、歯に衣着せて良く分からないような事が出て来たとすれば、その次に考えれば良い事だと私は考えます。具体的にどうなっているかを知らないのに、きっと学校というのはこうだろうというのはやめて。そういう事を言い始めるとキリが無いです、これ。養護教諭が正しい事を言って教頭が嘘をつく。そういう事では多分無いと思いますので、そんな事を言わずにやりましょう。どうですか、富田先生」
 「まずは学校現場の様子をみんなで共有するためにこういう調査をしたらどうかと提案させていただいた。確かに、ここに書かれている文言は弱いのかも知れないが、事務局が書くとこうなるのでしょう。個別具体的に何を聴いてくるのかを言わなくても、当然ながら、学校での任意性が担保されているのかという議論をするための質問をするものと想像しているし、そうであるべきだと思いますし、そうでなければ事務局の能力の問題になると思います、これだけ言えばやると思いますので御心配無く」
 そして、こうも発言した。
 「とにかく、どの学校に聴き取りに行ったとか誰に聴いたかという事をここで聞きたいわけでは無いんで。完全に匿名性を担保する事を約束してください。何月何日に行ったという事も言わなくて結構です。何月何日に訪問した学校はどこそこだという事になりますので。そういう事は一切排除して、プライバシー保護に十分に配慮してやるという事でいかがですか」
 実はこの日、星座長からもう一つの提案があった。学校での聴き取り調査とは別に「直接聴き取りをする会を開きたい」というのだ。
 「保護者の方、検査対象者などを探して直接、聴き取りをしたい。今後、アンケートをするとすれば、どのような項目でどんな人を対象に実施すれば良いのかという事のきっかけとしたい。皆様のご了解を得られれば、県が学校での聞き取り調査をしている間に人選をし、方法論は分からないが、聴き取りの会を公開でやるのは難しいと思いますので、非公開でさせていただく。具体的な中身については次回の委員会で提案して、出来る限り速やかに実施したいと考えている」
 「私が私的に聴くか、この検討委員会からどなたか入っていただいて一緒にやるのか、いずれにしても、具体的な方法を次回の委員会に提案させていただく。任意性が担保されているのか、検査を受けたい人が受けられていないのではないかという2つの問題をバランスよく議論出来るようにしたいと考えておりますので、それに沿って進めて参ります」

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(上)福島県が実施する聴き取り調査とは別に、保護者などから意見を聴き取る会を非公開で開きたいと提案した星北斗座長
(下)この日の委員会は7人が会場まで足を運び、9人の委員はリモート参加した=福島市のホテル「ザ・セレクトン福島」

【webでの調査「考えていない」】
 学校での甲状腺検査を巡っては、委員会で「任意性が担保されていない(強制性が生じている)」、「人権侵害だ」など、たびたび否定的な意見が出されてきた。今年2月の第37回委員会でも、欠席した津金昌一郎委員から次のような質問と意見が出された。
 「甲状腺検査5回目について9から18歳に対しては主な検査会場が各学校と記されておりますが、授業時間中に実施される予定ですか。検査の説明はどなたが担当し、同意書の回収はどのように実施するのでしょうか」
 「これまでも検討委員会で意見を出させていただきましたが、学校での検査には反対です。もし学校でされるのであれば任意性を担保するために検査は授業時間外に実施されるべきと考えます。また、同意書の回収は検査時に検査担当者が実施すべきであり、少なくとも学校が回収することは避けていただきたいと考えます」
 これを受ける形で、星座長が「学校の現場でどんなふうなやられ方をしているのかは僕らも理解していないといいますか、この県民健康調査検討委員会の先生方もよく理解していないと思う」として、次のように提案した。
 「現実に学校現場でどんなふうにやられているのかということをきちんと把握して、聞き取りのようなことをして、次回なり次々回なり私たちに説明してくれて学校現場でこういうふうになっていますよと、なるべくこういうことを強制されないような努力をしていますよとか、こんな工夫がこういう学校でされていますよというようなことで、全数調査というわけにはいかないと思いますので、一部聞き取りをしてきていただいて、学校でどんなふうに受けとめられているかというところぐらいまで聞き取りができたらいいなと私は思っています。そうでないと、誤解したまま学校でやるのはもうそもそも全部けしからんのだというような議論もかなりそういう意見もおっしゃる先生もいらっしゃいますが、理解をしないでやるのはやはりちょっと問題だと私は思います」
 しかし、委員の1人は委員会終了後、取材に対し「聴き取り調査そのものは否定しないが、結局は学校での甲状腺検査を早く終わらせたいのだろう。そのための地ならしだよ」と語った。
 しかも、学校での聴き取りは属性を全て伏せた形で委員会に報告される。星座長が提案した保護者などからの聞き取りも非公開。それで本当に「子どもたちが甲状腺検査を強制的に受けさせられているのではないか」という議論が出来るのか。記者会見で質問したが、星座長は「非公開と決めているわけでは無いです。ただ、公開しますという事を前提に考えていくのは難しいと考えています」と答え、公開での聴き取りは難しいとの認識を改めて示した。「突っ走りませんのでご安心ください」。
 記者会見では、おしどりマコさんが「ホームページに窓口を設ければ意見が寄せられる。なぜ直接、当事者の意見を聴かないのか」との質問が出たが、星座長は「そういう方法は現時点では考えていない」と答えた。
 この日の委員会は対面式での開催を前提に開かれたが、出席した委員16人のうち9人がリモート参加した。途中、音声が途切れ、星座長が「うまくいかないですね」と話す場面もあった。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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