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【中通りに生きる会・損害賠償請求訴訟】「政府が株主だ!」 被害者救済どころか威圧する東電側に怒りの原告~仙台高裁での控訴審は1回で結審、1月に判決言い渡し

「中通りに生きる会」(平井ふみ子代表)の男女52人(福島県福島市や郡山市などに在住)が、原発事故で精神的損害を被ったとして東電に計約1億円の賠償を求めた損害賠償請求訴訟の控訴審。第1回口頭弁論が15日午後、仙台高等裁判所101号法廷(小林久起裁判長)で行われ、即日結審した。裁判を長引かせたくない原告に対し、東電は矛盾に満ちた論理で抵抗する。挙げ句には、リモート進行協議で代理人弁護士が「東電は大企業」、「政府が株主」とまで言い放つ始末。原発事故被害者を救済する意思が本当にあるのか。判決は2021年1月26日13時半に言い渡される。
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【「地裁判決尊重した判断を」】
 「それでは弁論を終結します」
 小林裁判長は、提出された書面や追加証拠の確認を終えると、控訴人(被告東電)と被控訴人(原告)の双方に補充説明が無いか念押ししたうえで、そう告げた。
 福島地方裁判所(遠藤東路裁判長)での一審判決言い渡しから7カ月。「これ以上、裁判を長引かせたくない。和解で終わらせたい」と願う原告たちをあざ笑うかのように、被告東電が福島地裁の和解案を拒否。東電に平均24万円の支払いを命じた判決も受け入れず控訴したため争いの舞台は仙台高裁に移されたが、控訴審の弁論は7分ほどで終了。即日結審した。
 1月26日に判決が言い渡されると聞き、仙台高裁に集まった11人の一審原告たちは安堵の表情を浮かべた。「口頭弁論期日が1回で終わってくれて良かった。最高裁まで行きたくない。東電は判決を受け入れて欲しい」と口を揃えた。
 夜に福島市内で開かれた報告会で、会の代表を務める平井ふみ子さんは「東電は否定しますが、私たちの生活は原発事故で翻弄されました。闘い始めてから6年。ようやく地裁判決をいただき、これで平穏な生活に戻る事が出来ると思ったのに、東電が控訴。とても残念で悔しかったです。1月26日に判決が言い渡される事が決まりましたが、どうか地裁判決を尊重した判決になるよう願っております」と語った。
 法廷では、小林裁判長が東電の4人の代理人や一審原告ら代理人の野村吉太郎弁護士、そして出廷した11人の住民たちの名前を1人ずつ読み上げる場面があった。原告からは「今までに無い事でびっくりした」、「書類の確認もていねいで、私たちの想いが受け止められていると思えた」、「裁判長の人間味を感じられた。判決に大いに期待している」との声があがった。

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即日結審し、原告たちは安堵の表情を浮かべた。2021年1月26日に言い渡される判決が「地裁判決を尊重した内容になって欲しい」と口々に語った

【「3つの誓い」どこへ?】
 実は被告東電が控訴して以降、原発事故被害者の救済に後ろ向きな東電の本質が現れた言動があった。
 東電は一審で自らの主張が受け入れられなかった事を受け、代理人を棚村友博弁護士から岩倉正和弁護士を中心とする体制に変更。その後、新型コロナウイルスの感染が拡大したとして「控訴理由書」の提出期限(本来なら控訴状を提出した日から50日以内)を延期するよう仙台高裁に要求したという。野村弁護士は反対したが結局、6月24日まで提出期限が大幅に延期された。
 7月に入り、仙台高裁と双方の代理人の三者でリモートでの進行協議が行われたが、東電の代理人が驚くべき発言をしていた。
 「東電は大企業で、株主は政府ですから」
 原発事故から間もなく丸10年、これが加害企業の本音だった。「大企業」だの「株主は政府」だのと持ち出して平均24万円の支払いすら拒む東電。被害者救済に協力するどころか威圧さえ厭わない。自ら「3つの誓い」を掲げ、「最後の一人が新しい生活を迎えることが出来るまで、被害者の方々に寄り添い賠償を貫徹する」などと表明しているが、嘘だった。
 さすがに呆れた小林裁判長が「この事件ではそんな事は関係ありません」と強い口調で言ったという。
 ようやく提出された「控訴理由書」も、一審での主張の焼き直し。野村弁護士は、7月22日付で提出した控訴答弁書(A4判19ページ)で「控訴理由書記載の控訴人(被告)の主張は基本的に原審での主張の繰り返しにすぎず、被控訴人(原告ら)に共通する事項について、細かな認否・反論は不要と考える」と一蹴。速やかな控訴棄却を求めた。

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住民たちの代理人を務める野村吉太郎弁護士は報告会で「地裁判決の中身を充実させた判決を言い渡してくれると前向きに期待したい」、「ここまで東電を追い込んだのは皆さんの力。自身を持って」と語った

【矛盾に満ちた東電の主張】
 原告たちは決して地裁判決に満足しているわけでは無い。なぜ「慰謝料額の目安」が30万円なのか明確な根拠は示されず、しかも、原発事故による避難の相当性は2011年12月31日までしか認められなかった。
 原発事故でどれだけ生活や人生が一変させられたか。それを思うと悔しさばかりが募るが、地裁判決を受け入れた。闘い続ける余力など残っていないからだ。東電さえ控訴しなければ争いはすぐに終わる。しかし、東電側は理解に苦しむ論理を振りかざして抵抗を続けている。
 「被告は『平成23年4月22日頃には〝社会的情勢の変化と時間の経過〟による法律上保護される利益に当たるような不安は解消されていた』とか、『本件事故発生当初の時期に放出された放射性物質に起因する放射線の作用による精神的苦痛が平成23年4月22日頃以降に残存しても、受忍限度を超えて法律上保護される利益を侵害したとはいえない』と主張している」
「しかしながら、それでは被告はなぜ、どのような根拠で原告らを含む自主的避難等対象区域の住民に対し、平成23年4月22日頃以降を含む平成23年分として8万円(生活費増額分及び慰謝料)、及び平成24年分として4万円(生活費増額分)を支払ったのだろうか」
 野村弁護士は「控訴答弁書」の中でそう綴っている。一方で慰謝料を支払っておきながら、法廷では「利益を侵害していない」と主張する矛盾。「控訴人(被告)の戦略は、そもそも控訴人(被告)が原賠法に基づき自ら責任を認め、権利利益の侵害を認めて慰謝料を原告らに支払っているという事実と矛盾する主張であり、主張自体失当というべきである」とも反論している。
 法廷では、一審と異なり傍聴席から見て左側に東電、右側に一審原告たちが座った。「他の原発事故関連訴訟では原告も控訴しているが、この訴訟では控訴したのは被告東電だけ。これまで東電は控訴人の側に立った事が無く、恐らく相当な屈辱だろう。だからこそリモート会議であんな発言をしたのだと思う」と野村弁護士。仙台高裁が住民側に寄り添う判決を言い渡したら、再び東電は〝悪あがき〟をするのだろうか。判決は2021年1月26日13時半に言い渡される。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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