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【女川原発再稼働同意】「福島の事故を繰り返すのか」「村井知事に〝覚悟〟はあるのか」 浪江・希望の牧場の吉沢さんが宮城県庁前で抗議「再稼働するな」

宮城県の村井嘉浩知事が11日午後、東北電力女川原発2号機の再稼働同意を表明した。石巻市内で女川町長や石巻市長と会談した後の発表だったが、もはやセレモニー。県民投票実施の条例案が県議会で否決されるなど再稼働同意へのレールは着々と敷かれていた。宮城県庁前では、福島県双葉郡浪江町で「希望の牧場」を運営する牛飼いの吉沢正巳さんが再稼働に抗議した。「福島の事故を繰り返すのか」「村井知事に〝覚悟〟はあるのか」…。東日本大震災の月命日に原発再稼働への同意を発表する村井知事の無神経さも加わり、吉沢さんの声は一段と大きくなった。
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【「原発を終わりにしよう」】
 「皆さん、本当にそれで良いんですか?」
 村井知事が石巻市内で記者会見に臨んでいた時、宮城県庁周辺では吉沢さんが抗議の声をあげていた。
 紅葉の朱色や黄色が美しい中、吉沢さんの言葉が大音量で響いた。
 県庁周辺の幹線道路を走り、道行く人々に訴える。映画「ゴジラ」のテーマ曲をバックに、本当に再稼働を認めて良いのか?あの過酷事故を再び繰り返すのか?と問うた。
 「浪江町から来た『希望の牧場』の宣伝カーです。宮城県の皆さん。原発は安全ではありません。爆発事故、放射能漏れを起こします。〝安全神話〟など終わっているのです。地震で壊れる、津波で爆発する。放射能まみれの原発など、もう終わりにするべきです。村井知事がいよいよ、女川原発の再稼働容認を発表しました。皆さん、もうどうなっても良いのでしょうか。私たち福島県民は、2011年3月の原発事故による酷い避難生活をもう10年近くも続けています」
 初めは穏やかな口調だったが、次第に怒りがこみ上げてきた。道行く人々が振り返る。遠くにいる人も大音量に驚いて街宣車を眺める。吉沢さんは一人一人に語りかけるように言葉をぶつけた。
 「良いんですか皆さん。どうなっても良いのか?爆発事故や放射能漏れが起きたって知りませんよ。福島第一原発事故を、この宮城県でまた繰り返すんですか?地震で壊れる原発、放射能まみれの原発など、もうたくさんだ。原発さようなら。原発を終わりにしよう。なんだ宮城県は。県知事が再稼働に同意をした。原発事故の事など村井知事は何も分かっていないんだ。原発は安全じゃないと分かっているのに、なぜ再稼働するんだ」
 そして、県庁前で車を停めて、県職員に向かって激しく抗議した。

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(上)村井知事の女川原発再稼働同意に抗議した吉沢さんの宣伝カー「カウゴジラ」=仙台市の宮城県庁
(下)宮城県内では2019年、11万筆を超える署名が集まり「東北電力女川原子力発電所2号機の稼働の是非に係る県民投票条例案」が県議会に提出されたが、否決された

【知事「地域経済発展に寄与」】
 宮城県庁前で吉沢さんは、何度も〝覚悟〟という言葉を口にした。
 「本日、村井知事は女川原発の再稼働に同意しました。村井知事は何も分かっていない。国の言いなり。東北電力の言いなり。福島県ではあの時、原発事故の中、16万人の避難民が逃げ惑った。そんな事を宮城県で起こしても良いんですか?もう後はどうなっても良い、という〝覚悟〟が無ければ再稼働に同意などしてはいけないと思います」
 「どうなっても良いのか?宮城県が放射能まみれになっても良いのか?私たちは福島から訴えます。浪江町から訴えます。原発事故後の福島を、宮城県の皆さんは見ていたでしょう?原発事故が起きて、放射能が漏れて皆が逃げ惑う。そんな宮城県で良いのか?」
 時にはきつい表現もあった。眉をひそめる人もいるだろう。だが、原発事故後の殺処分に抗い、被曝を強いられた牛たちを浪江町で育て続けた吉沢さんなりの表現だった。あんな過酷事故は二度とごめんだ、という抗議だった。
 「放射能に汚染された浪江町に、もう多くの人は戻って来ないんです。双葉町だって同じだ。大熊町だって同じだ。もう散り散りバラバラ。新しい土地に行ってしまった。町は崩れる。原発事故のせいで自治体の存続意義すら危うくなっているんです。村井知事は原発再稼働に同意しましたが、後はもうどうにでもなれという〝覚悟〟が無ければ同意などしてはいけません。本当にどうなっても良いのか?放射能で農業が駄目になる。市町村が避難指示区域になる。再びそれを繰り返すんですか?」
 主不在の庁舎に向かって叫び続けた。石巻の村井知事に届けとばかりに声をあげた。一方の村井知事は、女川町長や石巻市長と出席した記者会見で、用意したペーパーを棒読みした。
 「安全でクリーンなエネルギーとして期待されている再生可能エネルギーは現在のところ、安定かつ効率的なエネルギー需給構造を支えるほどの急速な導入拡大が期待出来る状況ではございません。政府では優れた安定供給性を有する原子力による発電は、安全性の確保を大前提に長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源であると位置付けており、当面は着実に再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの拡大を図りながら、最適なエネルギーミックスの中において原子力発電所を再稼働させる必要があるとしております」
 「また、原子力発電所が稼働する事により、様々な業務の地元企業の受注に伴う雇用の創出や経済波及効果が見込まれるほか、立地自治体に対しましては、運転開始に伴い設備投資による固定資産税や核燃料税等の収入増も期待され、地域経済の発展に対しても大きく寄与するものがあると考えております」

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「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会」が11万筆を上回る署名を集めたが、自公議員が多数を占める宮城県議会が住民投票条例案を否決した。「民意」とは何なのだろうか?

【無視された11万超署名】
 村井知事は会見で「女川原子力発電所2号機の安全性についてはしっかり確認が出来たものと判断した」、「避難計画の基本となる部分の実効性は確保されたものと認識している」、「最後まで悩んだ」とも述べた。
 一方で、「8月に女川原発から30km圏内で合計7回、住民説明会を開催した。1会場あたり約3時間半かけた。述べ124人が質問し、国の担当者が答えた。女川町議会、石巻市議会でしっかりと議論いただいた結果、再稼働に賛成する陳情や意見書が可決された。県民の代表である県議会でも、早期議会表明を求める請願が可決された」とも語り、県民の「民意」が後押ししたかのような発言もあった。
 しかし、「女川原発再稼働の是非をみんなで決める県民投票を実現する会」が取り組んだ結果、住民投票実施を求める署名は11万筆を上回った。条例案は昨年3月の県議会で自民・公明の反対で否決されたが、これは「民意」では無いのか。
 今秋の県議会には、再稼働に賛成、反対双方の請願が提出されたが、これもやはり〝数の論理〟で賛成請願が可決されている。請願者は「女川町商工会」だった。「請願の理由」は、まるで村井知事と申し合わせたように会見で知事が述べた内容と酷似していた。
 「地域経済循環を支える企業の一つである東北電力女川原子力発電所が運転を停止したことによる原子力発電関係者の往来の減少等により、町内の全業種に売上減少等の影響が長期化している」
 一方、再稼働に反対する請願は「宮城県母親大会連絡会」、「女川原発UPZ住民の会」、「生活協同組合あいコープみやぎ」が連名で提出。「福島の事態を繰り返してはならず、危険をおかしてまで女川原発を再稼働させる必要はまったくありません」と求めたが否決された。
 果たして、村井知事に吉沢さんの言う〝覚悟〟はあるのか。実は「みんなで決める会」の多々良哲代表も住民投票条例案が否決された際、〝覚悟〟という言葉を口にしていた。
 「県民投票を拒んだ議員と知事は、この重大問題に自分たちが全面的に責任を負うと言ったことを意味する。その自覚が、覚悟が本当に彼らにあるのか、甚だ疑問だと言わざるを得ない」



(了)
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鈴木博喜

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