【女川原発再稼働同意】福島県の内堀知事は〝何も言わない、何も言えない〟弱腰リーダー 宮城県知事に意見求められてもダンマリ
- 2020/11/13
- 17:48
これまでも県外での原発再稼働に対して一切、自分の考えを口にして来なかった福島県の内堀雅雄知事。実は、東北電力女川原発2号機の再稼働に関して宮城県の村井嘉浩知事から求められても何も意見していなかった。山形県の吉村美栄子知事が意見表明したにもかかわらず、内堀知事は「無理して出さなくても結構ですよ」という村井知事の言葉を真に受けてダンマリを決め込んでしまった。最近の定例会見では「御意見として受け止める」が口癖で、「何も言わない、何も言えない」内堀知事の姿勢は、原発事故被災県のリーダーとしてはあまりにも弱腰だ。

【相変わらずの〝内堀話法〟】
今月2日の定例会見。県政記者クラブの朝日新聞記者から「女川原発2号機の再稼働について伺います。先日の北海道東北地方知事会議で、宮城県の村井知事が『他県の知事さんにも意見を伺いたい』という事だったんですけど、知事として、どういう意見を表明される御予定ですか?」と問われた内堀知事は、相変わらず正面からまともに答えなかった。
「先週の北海道東北地方知事会議において、宮城県の村井知事から女川原発についてのお話がありました。それについて控室で宮城県知事から補足の説明がありました。『ある県の知事から、隣県の意見も参考に聞いて欲しいと。こういった事が契機になって今回のお話をした』という事でありますので、そういった経緯の中での御発言だったかと受け止めております」
記者は続けて「内堀知事としては、意見を表明される予定は無いという事ですか?今週の金曜日が期限だったと思うんですけど」と質したが、内堀知事はイエスでもノーでも無く「宮城県の村井知事からは、直接お話いただきましたが、福島県に対して特に意見を求めているものでは無いというお話をいただきました」と答えるばかり。何を恐れているのか、どこに配慮しているのか。内堀知事は意見を表明するかしないかすら答えない。2011年3月の原発事故発生時に副知事だった内堀知事は、隣県の原発が再稼働されようとしている時に何も物申さない、何も物申さないのだった。
どれだけ質問されても「女川原発については、先ほどお話ししたとおりでございます」、「改めて申し上げますが、女川原発についての基本的な見解は前半の方で申し上げた通りでございます」の一点張り。ようやく語られたのは、なぜか「一般論」だった。
「福島県が、2011年の3月にあの過酷な原発事故を体験した県として、これまで一般的に申し上げておりますのは、原子力政策については、福島第一原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に国及び事業者の責任において検討がなされるべきものと考えております。私はこの9年半、機会あるごとにこういった事を訴えてまいりました」
これが、間もなく事故発生から10年を迎えようとしている福島県のリーダーだった。

福島県の内堀知事は「無理して出さなくても結構ですよ」という村井知事の言葉を真に受け、女川原発の再稼働に関して何も意見表明しなかった
【山形県のみ意見表明】
一方、宮城県の村井知事は9日の定例会見で「山形県からのみ届きました。他の県からは届いておりません」と述べ、福島県の内堀知事からは何の意見表明も無かった事を明かしている。
「先週金曜日(6日)に山形県知事から、『東北電力女川原子力発電所2号機再稼働に係る理解確保に対するご意見』を文書でいただきました。『万が一、事故が発生した場合の隣接県への影響も配慮して経済産業大臣からの再稼働に係る理解確保の要請に対する回答について判断いただきたい』という内容でございました。賛成という事も反対という事も特に明記はされておりませんでした。隣県に対する影響をよく考えた上で回答していただきたいというような内容だったという事であります。今回いただきましたご意見は、再稼働に係る経済産業大臣への回答に際し、明らかとなった県議会の意思や本日伺うこととしております市町村長のご意見、立地自治体である女川町長及び石巻市長の意見に加えて、判断材料の一つにしたいと考えております」
福島県を含め、山形県以外の知事から何も意見が寄せられなかった事については「なぜ出してこられなかったのかという事を私は確認はしていない」、「要請をした際には、意見が無いときには出さなくても結構ですよ、無理して出さなくても結構ですよというお話をしましたので、特にご意見が無かったものと受け止めた」、「今後、改めて意見を求めることは無い」、「他の県知事さん方が言えないのか、または意見が無いのか、これについては分かりません。それはそれぞれの県知事に聞いていただければと思います」と答えるにとどまった。
ちなみに、宮城県と隣接する福島県新地町は女川原発から80km圏内に入る。福島第一原発から80kmというと、例えば白河市が該当する。爆発事故に伴う放射性物質の拡散で、白河市も汚染された事は言うまでも無い。しかし、肝心の内堀知事は何も意見しなかった。本来なら、求められなくても一言伝えるのが被災県の知事だろう。だが、愚かにも「無理して出さなくても結構ですよ」という村井知事の言葉を真に受けてダンマリを決め込んでしまった。そして震災の月命日である11日、村井知事は女川原発2号機再稼働への同意を表明した。

女川原発2号機再稼働への同意を表明した宮城県の村井知事。9日の定例会見では、山形県知事以外から何も意見が出されなかった事について「他の県知事さん方が言えないのか、または意見が無いのか、これについては分かりません」と答えた(写真は定例会見の公開動画より)
【村井知事発言も受け止める?】
実は内堀知事、このところ「御意見として受け止めさせていただきます」が口癖だ。記者は「意見」をぶつけているのでは無い。もちろん、質問する中で自らの考えを示す事はあるが、内堀知事自身の考えを問うているのだ。今月2日の定例会見でも、河北新報記者との間で次のようなやり取りがあった。
河北「宮城県の村井知事が意見を呼び掛けたのであれば、「何よりも住民の安全・安心を考える」ということを意見として出しても良いのではないかと思いますが、あえて出さない理由について教えてください」
知事「ただ今の御発言については、御意見として受け止めさせていただきますが、福島県として、これまで9年半余り、全国知事会の場も含め、機会あるごとに私どもの原発事故を経験した想いを訴えてきたところです」
河北「福島第一原発の事故は宮城県にも影響を与えていますし、女川原発で何かあった場合、隣県は山形だけでなく福島もそうであり、当事者になり得ると思います。村井知事は、特定の県から求めがあったから発言したとおっしゃったのかもしれませんが、この機会を捉えて、福島県として発言することがあっても良いのではないかと思います」
知事「御意見として受け止めさせていただきます」
宮城県の村井知事は再稼働同意を表明した11日の記者会見で原発再稼働の必要性について問われ、次のように答えた。
「今まではですね、当然、私も一人の政治家として女川原発、原子力発電についてどう考えているか自分の考えはございますが、それを皆さんの前でお話する事で県議会の判断や市町村長さん方の判断、あるいは石巻市長、女川町長の判断に曇りが出ては駄目だと思って、あえて何も申し上げませんでした。しかし今日、このような形で結論が出ましたので私の考え方を申し上げたいと思います。私は再稼働は必要だと考えております。事故があった場合のリスク、危機管理は非常に重要な事だと思います。原発がある以上、事故が起こる可能性は私はあると思います。しかし、事故があったから駄目だという事であれば、全ての乗り物も全ての食べ物もですね、それによって事故が起こった過去経験があるでしょうから、それを否定する事になってしまう。事故を教訓として、さらに高みを目指して発展させて行く、技術革新をして行く。このようにして人類は発展してまいりました。そういう事を考えますと、私は、福島原発の事故を教訓としてさらに高みを目指して行ける、高みを目指して行かなければならないと考えております」
村井知事は原発事故と乗り物や食べ物の事故を同列に語った。それは、福島第一原発の爆発以来、10年に及ぶ原発事故被害者の苦しみを踏みにじる発言だった。それでも福島県の内堀知事は、いつものように「御意見として受け止める」のだろうか。それでも原発事故被災県の知事なのだろうか。
(了)

【相変わらずの〝内堀話法〟】
今月2日の定例会見。県政記者クラブの朝日新聞記者から「女川原発2号機の再稼働について伺います。先日の北海道東北地方知事会議で、宮城県の村井知事が『他県の知事さんにも意見を伺いたい』という事だったんですけど、知事として、どういう意見を表明される御予定ですか?」と問われた内堀知事は、相変わらず正面からまともに答えなかった。
「先週の北海道東北地方知事会議において、宮城県の村井知事から女川原発についてのお話がありました。それについて控室で宮城県知事から補足の説明がありました。『ある県の知事から、隣県の意見も参考に聞いて欲しいと。こういった事が契機になって今回のお話をした』という事でありますので、そういった経緯の中での御発言だったかと受け止めております」
記者は続けて「内堀知事としては、意見を表明される予定は無いという事ですか?今週の金曜日が期限だったと思うんですけど」と質したが、内堀知事はイエスでもノーでも無く「宮城県の村井知事からは、直接お話いただきましたが、福島県に対して特に意見を求めているものでは無いというお話をいただきました」と答えるばかり。何を恐れているのか、どこに配慮しているのか。内堀知事は意見を表明するかしないかすら答えない。2011年3月の原発事故発生時に副知事だった内堀知事は、隣県の原発が再稼働されようとしている時に何も物申さない、何も物申さないのだった。
どれだけ質問されても「女川原発については、先ほどお話ししたとおりでございます」、「改めて申し上げますが、女川原発についての基本的な見解は前半の方で申し上げた通りでございます」の一点張り。ようやく語られたのは、なぜか「一般論」だった。
「福島県が、2011年の3月にあの過酷な原発事故を体験した県として、これまで一般的に申し上げておりますのは、原子力政策については、福島第一原発事故の現状と教訓を踏まえ、何よりも住民の安全・安心の確保を最優先に国及び事業者の責任において検討がなされるべきものと考えております。私はこの9年半、機会あるごとにこういった事を訴えてまいりました」
これが、間もなく事故発生から10年を迎えようとしている福島県のリーダーだった。

福島県の内堀知事は「無理して出さなくても結構ですよ」という村井知事の言葉を真に受け、女川原発の再稼働に関して何も意見表明しなかった
【山形県のみ意見表明】
一方、宮城県の村井知事は9日の定例会見で「山形県からのみ届きました。他の県からは届いておりません」と述べ、福島県の内堀知事からは何の意見表明も無かった事を明かしている。
「先週金曜日(6日)に山形県知事から、『東北電力女川原子力発電所2号機再稼働に係る理解確保に対するご意見』を文書でいただきました。『万が一、事故が発生した場合の隣接県への影響も配慮して経済産業大臣からの再稼働に係る理解確保の要請に対する回答について判断いただきたい』という内容でございました。賛成という事も反対という事も特に明記はされておりませんでした。隣県に対する影響をよく考えた上で回答していただきたいというような内容だったという事であります。今回いただきましたご意見は、再稼働に係る経済産業大臣への回答に際し、明らかとなった県議会の意思や本日伺うこととしております市町村長のご意見、立地自治体である女川町長及び石巻市長の意見に加えて、判断材料の一つにしたいと考えております」
福島県を含め、山形県以外の知事から何も意見が寄せられなかった事については「なぜ出してこられなかったのかという事を私は確認はしていない」、「要請をした際には、意見が無いときには出さなくても結構ですよ、無理して出さなくても結構ですよというお話をしましたので、特にご意見が無かったものと受け止めた」、「今後、改めて意見を求めることは無い」、「他の県知事さん方が言えないのか、または意見が無いのか、これについては分かりません。それはそれぞれの県知事に聞いていただければと思います」と答えるにとどまった。
ちなみに、宮城県と隣接する福島県新地町は女川原発から80km圏内に入る。福島第一原発から80kmというと、例えば白河市が該当する。爆発事故に伴う放射性物質の拡散で、白河市も汚染された事は言うまでも無い。しかし、肝心の内堀知事は何も意見しなかった。本来なら、求められなくても一言伝えるのが被災県の知事だろう。だが、愚かにも「無理して出さなくても結構ですよ」という村井知事の言葉を真に受けてダンマリを決め込んでしまった。そして震災の月命日である11日、村井知事は女川原発2号機再稼働への同意を表明した。

女川原発2号機再稼働への同意を表明した宮城県の村井知事。9日の定例会見では、山形県知事以外から何も意見が出されなかった事について「他の県知事さん方が言えないのか、または意見が無いのか、これについては分かりません」と答えた(写真は定例会見の公開動画より)
【村井知事発言も受け止める?】
実は内堀知事、このところ「御意見として受け止めさせていただきます」が口癖だ。記者は「意見」をぶつけているのでは無い。もちろん、質問する中で自らの考えを示す事はあるが、内堀知事自身の考えを問うているのだ。今月2日の定例会見でも、河北新報記者との間で次のようなやり取りがあった。
河北「宮城県の村井知事が意見を呼び掛けたのであれば、「何よりも住民の安全・安心を考える」ということを意見として出しても良いのではないかと思いますが、あえて出さない理由について教えてください」
知事「ただ今の御発言については、御意見として受け止めさせていただきますが、福島県として、これまで9年半余り、全国知事会の場も含め、機会あるごとに私どもの原発事故を経験した想いを訴えてきたところです」
河北「福島第一原発の事故は宮城県にも影響を与えていますし、女川原発で何かあった場合、隣県は山形だけでなく福島もそうであり、当事者になり得ると思います。村井知事は、特定の県から求めがあったから発言したとおっしゃったのかもしれませんが、この機会を捉えて、福島県として発言することがあっても良いのではないかと思います」
知事「御意見として受け止めさせていただきます」
宮城県の村井知事は再稼働同意を表明した11日の記者会見で原発再稼働の必要性について問われ、次のように答えた。
「今まではですね、当然、私も一人の政治家として女川原発、原子力発電についてどう考えているか自分の考えはございますが、それを皆さんの前でお話する事で県議会の判断や市町村長さん方の判断、あるいは石巻市長、女川町長の判断に曇りが出ては駄目だと思って、あえて何も申し上げませんでした。しかし今日、このような形で結論が出ましたので私の考え方を申し上げたいと思います。私は再稼働は必要だと考えております。事故があった場合のリスク、危機管理は非常に重要な事だと思います。原発がある以上、事故が起こる可能性は私はあると思います。しかし、事故があったから駄目だという事であれば、全ての乗り物も全ての食べ物もですね、それによって事故が起こった過去経験があるでしょうから、それを否定する事になってしまう。事故を教訓として、さらに高みを目指して発展させて行く、技術革新をして行く。このようにして人類は発展してまいりました。そういう事を考えますと、私は、福島原発の事故を教訓としてさらに高みを目指して行ける、高みを目指して行かなければならないと考えております」
村井知事は原発事故と乗り物や食べ物の事故を同列に語った。それは、福島第一原発の爆発以来、10年に及ぶ原発事故被害者の苦しみを踏みにじる発言だった。それでも福島県の内堀知事は、いつものように「御意見として受け止める」のだろうか。それでも原発事故被災県の知事なのだろうか。
(了)
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