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【パンデミックと東京五輪】「私たちが止めるしかない」女性医師や看護師が五輪開催に「NO!」 中止決まるまで抗議リレー

来月23日に開会が迫った東京オリンピック・パラリンピック(以下、オリパラ)開催に反対する女性たちが1日夜、youtubeで「私たちが止めるしかない東京オリパラ ~女性たちの抗議リレー~」を始めた。フラワーデモが中心となり、五輪中止が決まるまで声をあげ続けるという。初回は女性医師や看護師などが参加。「オリパラで感染が拡大する可能性があるのに開催を強行するのは間違い」、「医療現場の疲弊はオリパラ開催ありきで突き進んできた安倍菅政権による人災だ」などと中止を訴えた。次回配信は8日20時。
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【「何が起こるか分からない」】
 「オリパラの中止を求めます。全国で行われようとしている事前キャンプの中止も求めます。私は臨床医の立場から、21世紀のこの日本で、患者さんが入院できず自宅で亡くなるという事実をどうしても許容できません。オリパラをやるのであれば、その前にやるべきことがたくさんありました。それをほとんどやっていないにもかかわらず強引に大会に突き進んでいくのは大きな間違いです」
 こう語ったのは、開業医で日本女医会理事の青木正美さん。
 「恐らく人類史上最大の疫病です。これだけの規模のパンデミックは人類は未だに経験したことがありません。もちろん、ワクチンにある一定の効果があることが分かりました。しかし、まだまだ今後の展開が全く読めません」と青木さん。首都直下地震に関する『災害復興』を研究している立場から、五輪開催に反対する理由を次のように述べた。
 「大災害に対峙する際の要諦は、リスクを大きく見積もることです。日本はそのイロハのイができていません。史上空前のパンデミックという大災害の最中に、まるで火に油を注ぐように世界中から人を集め、炎天下で運動をする。真夏の開催というだけで大反対なのに、そこに加えてパンデミック。本当に何が起こるか分かりません」
 「人が動けば必ずウイルスも動きます。オリパラによって感染が拡大し、日本だけではなく他国にも感染を拡大させてしまうかもしれない。それが予測できているのに止められないというのは許されないことなんです。事前合宿も始まりました。全国の自治体はどれだけの緊張や痛みを抱えるのでしょうか」
 青木さんは「大会さえ始まってしまえば、事前キャンプさえ始まってしまえば、国民はテレビに釘付けなのですか?後は野となれ山となれなのですか?」と問いかけた。そして、「いったい何のために、誰のためにやるのか、さっぱり理解できません。みなさんの声を結集して、ぜひともオリパラ開催をもう一度考え直しましょう。私たちの未来、世界の未来をこんなことで駄目にしてはいけません」と改めて開催中止を訴えた。

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リモート形式で行われた「抗議リレー」。オリパラ開催が中止されるまで続けるという

【「安倍菅政権による人災」】
 昭和大学病院泌尿器科の医師で、昨年5月まで日本女医会長を務めた前田佳子さん(国際婦人年連絡会共同代表)も「多くの病院では感染対策とコロナ患者の受け入れにたくさんの労力とコストが投入されていて、経済的にも労働力としても疲弊が続いています。それもこれも、オリパラ開催ありきで突き進んできた安倍菅政権による人災です。これ以上、大切な命が失われるようなことがあってはなりません」と開催中止を求めた。
 「日本は具体的な感染対策はなく、いまだにマスクと手洗い、そして飲食店の狙い撃ちです。国内でのクラスターは今や、多くが医療施設や老健施設などで発生しています。飲食店での発生はわずか5~6%と言われています。つまり、日本のやっている対策は科学に基づかない、説得力のない政策だと思います」
 「これだけ感染が拡大している中でも、東京都のPCR検査は日曜日になるとすごく少なくて驚かされます。ただ待っていても、ウイルスは勝手にいなくなってはくれません。相次ぐ変異株の脅威にさらされても、十分なゲノム解析すらしていない。度重なる緊急事態宣言中でも『検査』と『感染者の隔離』という基本原則すら行わない日本は、とても先進国とは言えないのです」
 前田さんはまた、コロナ禍で女性の負担が増していると語った。
 「医療現場で医師や看護師などとして働く人のうち、7割くらいが女性です。新型コロナウイルスによる医療現場への負担は、イコール女性への負担であると考えています。政府はテレワークを推進しようとしていますが、医療現場を含めたエッセンシャルワーカーはテレワークの恩恵にあずかることができません。エッセンシャルワーカーの6割が女性だと言われています。非正規雇用も6割が女性と言われていまして、仕事を失ったり十分な補償を受けられなかったりしているのも女性です。女性の自殺もこの1年で急増しています。特に若い女性の自殺増加は深刻です。つまり、感染の最前線に立たされて苦しんでいる多くは女性なのです」

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国立競技場近くの「日本オリンピックミュージアム」では、「オリンピックは常に震災や疫病を乗り越えて開催されてきた」などと〝パンデミック克服五輪〟のPRに躍起になっている=2021年2月撮影

【「オリパラは不要な移動」】
 精神科の訪問看護師をしている宮子あずささんは、メンタルヘルスの側面からコロナ禍の現状を述べた。
 「コロナ禍は弱者に対して過酷だと実感しています。例えばアルコール依存の方たちは、人とのつながりの中で呑まない生活を勝ち取っていくのが主な治療です。しかし、断酒会のような自助グループの活動の多くが今、止まっています。オンラインで再開しているところもありますが、人間って、膝突き合わせて飛沫を飛ばし合わないと生まれない何かってあるんですよね。家にこもってどこにも行かなくなり、自助グループともつながりが切れ、飲酒が続いて最終的に亡くなった人もいらっしゃいました」
 「メンタルヘルスの面から言うと、今の感染状況は限界」と強調した宮子さん。「メンタルヘルスと感染予防は相反する部分がある」とも語った。
 「ステイホーム、家に居ろと言われますが、人間が人とのつながりを求めていくこと、外に出てしまうというのは当然のことで、誰もが感染リスクとギリギリのところで生活していると思います。一方、オリパラの開催は医療も逼迫させるし不要な移動ですよね。精神衛生上、生活上やむを得ない移動とは全く異なる激しい移動が持ち込まれることで、さらにリスクが高まっていく。無用な、やめられる要素というのはとにかくやめて、早く感染を収束させ、人の精神が病まずに生活できる環境を早く取り戻したいというのが私の切なる願いです」
 「私は海外の人たちが『オリンピックに行きません』、『こんな状況ではオリンピックできません』という冷静な議論をすると思っていたがそうではなかった。もう他の人には頼れない、頼ってはいけない。私たちが声をあげて止めなければいけません」と語ったのは「フラワーデモ」の北原みのりさん。
 「こんな政権でも、最終的には『すみません、できませんでした』ってドタキャンをすると信じていました。でも、『ここまで来たらやるしかない』とフェーズが変わり、何を犠牲にするのかが語られずに『安全安心』ばかり。ある程度の感染者、死者が出ることを見込んでオリンピックを強行しましょうと政府が言っているのに等しいと思います。こんな恐ろしいことが起きて良いわけがない。これほど反対している人が多いのに全く聴こうとしない今の政治が本当に気持ち悪いし怖いです」
 次回配信は8日20時。



(了)
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鈴木博喜

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