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【パンデミックと東京五輪】開会式迎えてもやまぬ「オリパラNO」の声 「地域の運動会は中止なのに…」感染爆発への懸念も~第8回女性たちの抗議リレー

東京オリンピック・パラリンピックに反対する女性たちの抗議リレー「私たちが止めるしかない東京オリパラ」の第8回が20日夜、ネット上で行われた。市民活動家や産婦人科医、国会議員などがリモート参加。「オリパラどころじゃない。命より重いものはない」、「感染爆発で医療が崩壊してしまう」、「オリパラ後に緊縮財政や医療の逼迫がやって来る」などと中止を訴えた。次回配信は27日20時。きょう23日夜には開会式が行われる予定だが「全然絶望していない」と抗議リレーを続ける。
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【「命より重いものはない」】
 市民活動家の菱山南帆子さんは、障害者施設で働いている。
 「毎秋、地域の障害者たちの運動会を開催していますが、今年も中止が決まりました。本当に楽しみにしていたのに中止で、オリパラは開催。もちろん、障害者の感染リスクは高いので中止の判断をしたのだと思いますが、オリパラがいったい私たちにどれだけの影響をおよぼすのでしょうか」
 今月10、11の2日間、第二東京弁護士会と共催で「女性のための生活、仕事、子育て、なんでも相談会」を開いた。
 「若い子たちの相談が増えています。お米も用意したのですが『炊飯器を買うお金が無いからおにぎりが良いです』と言われました。炊飯器は高いですからね。泊まるところが無くてネットカフェを転々としていたら、温かいご飯も食べられません」
 「子どもがいるから週末の勤務が難しいお母さんもいます。会社からは『土・日働ける人を優先します』と言われてしまう。もし解雇されて無職になってしまったら保育園の更新ができなくなってしまうんです。オリパラどころじゃないでしょう。そういうところに真っ先に手当てするべきです。命より重いものはありません」
 安倍晋三前首相の「反日」発言にも触れた。
 「安倍さんが『反日的な人が五輪開催に反対しているんだ』と言っていましたが、じゃあ『オリパラどころじゃない』、『命を守ろう』と言っている人は『反日的』なのでしょうか。アジア太平洋戦争の時から何も反省していない、何も変わらない。この1年間、私たちは何を学んで来たのでしょうか」
 ミュージシャン・小山田圭吾氏がオリパラ開会式の音楽担当を辞任した問題に「この期に及んでこういう問題が出てくるオリパラっていったいなんなんだ」と怒る菱山さんは、こうも指摘した。
 「バッハ会長の歓迎パーティに森喜朗さんが来ていましたね。辞めさせられた人ですよ。国をあげての悪ふざけなのかと思いたくなるくらいです。だいたい、バッハ会長が泊まっているのは1泊300万円の部屋だそうで、福祉業界でそんな年収をもらっている人はいませんから…」

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通算8回目の抗議リレー。「アジア女性資料センター」代表理事の本山央子さんは「オリパラ後に私たちが目にするのは緊縮財政や医療の逼迫。命の選別という事態がさらにはっきりと現れてくるかも」と警鐘を鳴らした

【「妄想だった安全安心」】
 「このまま開催に突入したら、東京の新規陽性者数が2000人、3000人と増え、東京都の医療が崩壊してしまうのではないかと危機感でいっぱいなんです」と語ったのは、参院議員の田村智子さん(日本共産党政策委員長)。
 「政府は一度として、オリパラを開催したら国内の感染がどうなるのかということを検証していません。今月15日に開かれた内閣委員会の閉会中審査で、西村康稔大臣(新型コロナウイルス感染症対策担当大臣)に『東京は1000人超えた。第4波のときのピークを超えている。それでもオリパラを開催するのか。今からでも開催の是非を政府として検討するべきだ』と質問しました。しかし、西村大臣は『オリパラのことは丸川大臣が答弁するのが良いのではないか』と。コロナ対策の責任者としてどうなんだと質問しているのに…。全部開催ありきで、どうやって安全安心を確保するのか。でも安全安心は全くの妄想だった。バブルで包むというのも妄想だったということが明らかになりました」
 田村さんは「もはや、なぜオリパラを開催するのかということについて誰も説明できない」と強調した。
 「逆にやめるべきだということは、いくらでも説明できます。感染リスクがあまりにも高すぎる、命が犠牲になる。アスリートにとって一生に一度だと言いますが、子どもたちだって同じなんです。小学6年生にとって運動会は(小学生として)最後の運動会です。大学生だって、サークルの卒業公演を楽しみにしていたのにできない。それも学生たちにとっては一生に一度なんです。修学旅行もそうです。感染症対策で我慢して来たんです」
 「いまワクチンという希望が見えてきました。子どもたちは、卒業するまでに何らかの旅行に行かれたかもしれない。だけどオリパラで観戦爆発しちゃったから、やっぱり今年度も何もできませんでしたということになりかけないんです。本当に許せないんです。あらゆる我慢を国民に強いてオリパラを開催なんて駄目です」

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今月12日、日本外国特派員協会で行われた記者会見。抗議リレーの呼びかけ人の1人、医師の前田佳子さん(左)は「NO OLYMPIC」とデザインされた赤いシャツを着て中止を訴えた

【「性暴力と同じ構造」】
 産婦人科医で「性と健康を考える女性専門家の会」会長の早乙女智子さんは「バッハ会長が『どうせ始まれば皆感動するだろう』と発言。これが究極だなと思いました。性暴力の性的同意と同じ構造なんです」と話した。
 「(被害者が)NO、NO、NOと言い続けているのに『そのうち気持ち良くなるだろう』と。いや、だからNOと言ってますよねと。そこを無視して無視して無視し続けて、五輪を政治的に利用して暴力的になし崩し的に何でもかんでも通してしまう。〝復興五輪〟ってどこに行ったのでしょうか」
 ニューヨーク在住のファッションジャーナリストの杉本佳子さんは「東京開催が決まる頃から反対していました。福島の放射能汚染の問題も片付いていないのにオリパラをやるなんて無責任じゃないか。そういうお金があるなら福島の復興に使って欲しいと思って反対していましたが、今はそれに加えてパンデミック。とても無責任」と語った。
 「こちらから日本の感染症対策を見ていると、空港で書類をチェックする人たちがまだワクチン接種できていないとか、接種が済んでいない人たちが満員電車に乗っているとか、とてもチグハグな感じがしています。札幌大通り公園で五輪のために芝生が剥がされた写真を見てショックでした。五輪のために環境破壊をするのはサスティナブル(持続可能)じゃないし、時代に逆行していると思います」
 「アジア女性資料センター」代表理事の本山央子さんは「オリパラが止まっても止まらなくても、その後に私たちが目にするのは緊縮財政ですし、医療の逼迫が間違いない。もしかすると命の選別という事態がさらにはっきりと現れてくるかもしれません。外国人排除が強まることも懸念しています。私たちが分断を許さず、ともに生き延びていくためにどのように連帯をつくっていくのかを考える必要があります」と訴えた。
 「コロナ禍で、五輪というナショナリズムをあおるようなイベントをやってしまった。何が起きているのかきちんと記録し、分析し、世界に共有していきたい。全然絶望していません」



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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