【パンデミックと東京五輪】「プレスセンター内の感染対策は機能していない」 フランスメディアの記者が〝穴だらけのバブル〟を指摘~第9回女性たちの抗議リレー
- 2021/07/29
- 18:13
東京オリンピック・パラリンピックに反対する女性たちの抗議リレー「私たちが止めるしかない東京オリパラ」の第9回が27日夜、ネット上で行われた。抗議リレー呼びかけ人6人に加えて、フランスメディアの特派員・西村カリンさんや料理研究家で「ビッグイシュー基金」共同代表の枝元なほみさんがリモート参加。西村さんはプレスセンター内の感染対策の不備を、枝元さんは弁当大量廃棄問題への怒りを語った。次回配信は8月3日20時。菅義偉首相は五輪中止を強く否定しているが「あきらめずに女性たちの声を届け、反対を表明いく」と抗議リレーを続ける。

【「マスク外しても指導無し」】
ジャーナリストの西村カリンさんは、フランスの新聞とラジオの特派員。海外記者が仕事をするプレスセンター(MPC)を拠点にオリパラを取材しているが、管理が不十分だと指摘する。
「だいたい700人くらいは入れる場所ですが、テーブルがたくさんあり、必要な設備は揃っています。環境は悪くない。ただ、アクリル板はありますが横だけ。前にはありません。私のように1人で来た記者は、向かいの記者がどこの国から来たか分からないし、開いても私のことを知らない。ワクチン接種の有無も含めて、あまり管理されていないと私は思います。私だったら、まずゾーニングをするでしょう。ワクチン接種済みの記者とそうでない記者とを分けるとか、いろいろなやり方があったと思います」
「マスクを一時的に外して、大きい声でスマホで子どもと話している人もいます。周囲には人がいるんですが、あまり意識されていない。誰もそれを指摘しないことが問題だと思います。『パトロールをする人はいますか?』と尋ねました。マスクを着用していない人に注意する人はいません。必要だと思います。記者会見で強く追及するつもりなので、これから配置されるかもしれませんが、もう遅すぎる。専門家でなくても分かることです。全く理解できません。言っていることと現実に現場で起きていることがあまりにも違いすぎます。信用できないと思います。少なくともMPC内の感染対策は機能していないと思っています」
西村さんは何度も「不十分だ」と口にした。
「専門家が大会前に、MPCなどを見学したらしいんです。でも、誰もいない時に見るのと数百人がいる場面を見ることとはあまりにも違いが大きいです。外国人は日本人と違ってマスクを着用することに慣れていません。特に男性は息苦しさを感じて外してしまう。その気持ちも分かりますが、ルールを守らないことも想定して指導する人を配置することが必要です。『マスクを外したいのなら、1人用のボックスに移動してください』とか。日本に来て、いきなり日本のルールに慣れることはできません。準備は本当に不十分でした」

【「弁当廃棄許せない」】
IOCは日本の実情を理解していないという。
「彼らは日本の感染状況や感染対策やPCR検査の現状を全く知りません。IOCの1人から『あなた、批判的な記事を書きましたね』と言われて、私は日本の感染状況や病床の状況、PCR検査の体制を説明しました。いつでも、どこでも、誰でも無料でPCR検査できないよと言ったら、驚いていました。ヨーロッパの国々ではラジオで『少しでも症状がある場合はすぐに検査をしてください』とCMが流れます。日本では、検査を受けたいと言ってもやらせたくないという状況なので、IOCは大きく勘違いしていると思います」
自主的にPCR検査を受けているという西村さんは、記者の発信不足も指摘した。
「もっともっと日本の現状を伝えるべきでした。ラジオや新聞でできないのなら、自分のユーチューブやツイッターなどで情報を発信するべきだったと思います。日本の状況は海外では理解されていません。それに、来日した人たちは緊急事態宣言など全く意味がないと考えています。普段の生活と何が違うんですか?パリのロックダウンでは誰も人がいなかったから外に出れば分かりました。喫茶店もレストランも8カ月間ずっと営業できませんでした。日本は何も違いがないから十分に対策を講じているとは誰も思わないんです」
弁当の大量廃棄問題に言及したのは、枝元なほみさん(「ビッグイシュー基金」共同代表)。五輪開会式で余った約4000食の弁当が捨てられた。
「雑誌を売ること以外にも仕事をつくれないかと思って『夜のパン屋さん』というお店を神楽坂で始めました。都内のパン屋さんで売れ残ってしまった廃棄パンを、ビッグイシューの販売員さんに買ってきてもらって、それを捨てないで売るんです。そうやって私たちは、雇用を創出したり食品ロスを減らしたりしているんです。コロナ禍で人出が減ったことで売れ残るパンは増えたのですが、逆に私たちの売り上げは下がりました。それで、残ったパンは捨てずに冷凍し、翌日に公園で食べ物を配っている団体に渡しているんです」
そういう地道な活動を続けているからこそ、余計に弁当廃棄が許せないと語った。
「食べ物を捨ててるってどういうこと何だろうって。何をやっているんだろうと思いました。たくさん発注したから捨てるということを許しちゃいけないと思います。しょうがないよね、まったくふざけてるよねで終わらせちゃいけないと思います」

枝元さんが中心となって運営している「夜のパン屋さん」。路上生活者の仕事にもなり、食品ロスを減らせる。それだけに、五輪開会式で余った弁当が大量に捨てられたことへの憤りを口にした
【「今すぐPCR検査を」】
開業医で公益社団法人日本女医会理事の青木正美さんも、西村さんの発言を受ける形で「日本では、いつでも、どこでも、誰でも無料でPCR検査が受けられないという実態をIOCは知らないと思います。日本はそうじゃないのを1年半以上やり続けていて、なおかつ五輪もやってしまった。ここからしてもう違う。ボタンを掛け違えたというより、一番上のボタンをかけないで来ちゃった」と強調した。
「いつでも、どこでも、誰でも無料で、何度でもPCR検査ができるようになるまで五輪など駄目だ。そういう共通認識を私たちが持たないで、ズルズルズルズル認めて来てしまった。モリカケ桜と同じように認めて来てしまった結果、この感染状況で私たち自身の命が危うくなったということです。民主主義を手放してしまった。誰も文句言わないで〝モリカケ桜状態〟で五輪問題が来てしまった。コロナ禍になって初めて自分の命がかかったのに、それでも政府の言いなりになって五輪やって、五輪やったらさすがに海外の人も来るし、ノーマスクだし、人が動きますからね」
「世界中から選手や関係者が来ましたが、日本の津々浦々から警察官やボランティアも来ています。ありとあらゆる人が東京に集結しているんです。明日にも打ち切って欲しい。そうじゃないと、この山火事は全部焼き尽くすまで消せなくなってしまいます。この状況を絶対に楽観視してはいけません。今すぐPCR検査に取り掛かって欲しい。消すなら今です」
医師で前日本女医会長の前田佳子さんは「イスラエルの発表によると、デルタ株に対するファイザーワクチンの有効性は39%ということ。重症化は抑えられるかもしれないが感染は止められないということが明確に報告されています。感染者を特定したうえで隔離しなければ感染はますます拡大する一方で、怖いなと思います」と発言。看護師の宮子あずささんは「大事なのは五輪を楽しんじゃっている人に対して怒るのではなくて、そういう人も含めて、やっぱりヤバい時は(オリパラを)やめようねっていうことを言い続けていくこと」と話した。
(了)

【「マスク外しても指導無し」】
ジャーナリストの西村カリンさんは、フランスの新聞とラジオの特派員。海外記者が仕事をするプレスセンター(MPC)を拠点にオリパラを取材しているが、管理が不十分だと指摘する。
「だいたい700人くらいは入れる場所ですが、テーブルがたくさんあり、必要な設備は揃っています。環境は悪くない。ただ、アクリル板はありますが横だけ。前にはありません。私のように1人で来た記者は、向かいの記者がどこの国から来たか分からないし、開いても私のことを知らない。ワクチン接種の有無も含めて、あまり管理されていないと私は思います。私だったら、まずゾーニングをするでしょう。ワクチン接種済みの記者とそうでない記者とを分けるとか、いろいろなやり方があったと思います」
「マスクを一時的に外して、大きい声でスマホで子どもと話している人もいます。周囲には人がいるんですが、あまり意識されていない。誰もそれを指摘しないことが問題だと思います。『パトロールをする人はいますか?』と尋ねました。マスクを着用していない人に注意する人はいません。必要だと思います。記者会見で強く追及するつもりなので、これから配置されるかもしれませんが、もう遅すぎる。専門家でなくても分かることです。全く理解できません。言っていることと現実に現場で起きていることがあまりにも違いすぎます。信用できないと思います。少なくともMPC内の感染対策は機能していないと思っています」
西村さんは何度も「不十分だ」と口にした。
「専門家が大会前に、MPCなどを見学したらしいんです。でも、誰もいない時に見るのと数百人がいる場面を見ることとはあまりにも違いが大きいです。外国人は日本人と違ってマスクを着用することに慣れていません。特に男性は息苦しさを感じて外してしまう。その気持ちも分かりますが、ルールを守らないことも想定して指導する人を配置することが必要です。『マスクを外したいのなら、1人用のボックスに移動してください』とか。日本に来て、いきなり日本のルールに慣れることはできません。準備は本当に不十分でした」

【「弁当廃棄許せない」】
IOCは日本の実情を理解していないという。
「彼らは日本の感染状況や感染対策やPCR検査の現状を全く知りません。IOCの1人から『あなた、批判的な記事を書きましたね』と言われて、私は日本の感染状況や病床の状況、PCR検査の体制を説明しました。いつでも、どこでも、誰でも無料でPCR検査できないよと言ったら、驚いていました。ヨーロッパの国々ではラジオで『少しでも症状がある場合はすぐに検査をしてください』とCMが流れます。日本では、検査を受けたいと言ってもやらせたくないという状況なので、IOCは大きく勘違いしていると思います」
自主的にPCR検査を受けているという西村さんは、記者の発信不足も指摘した。
「もっともっと日本の現状を伝えるべきでした。ラジオや新聞でできないのなら、自分のユーチューブやツイッターなどで情報を発信するべきだったと思います。日本の状況は海外では理解されていません。それに、来日した人たちは緊急事態宣言など全く意味がないと考えています。普段の生活と何が違うんですか?パリのロックダウンでは誰も人がいなかったから外に出れば分かりました。喫茶店もレストランも8カ月間ずっと営業できませんでした。日本は何も違いがないから十分に対策を講じているとは誰も思わないんです」
弁当の大量廃棄問題に言及したのは、枝元なほみさん(「ビッグイシュー基金」共同代表)。五輪開会式で余った約4000食の弁当が捨てられた。
「雑誌を売ること以外にも仕事をつくれないかと思って『夜のパン屋さん』というお店を神楽坂で始めました。都内のパン屋さんで売れ残ってしまった廃棄パンを、ビッグイシューの販売員さんに買ってきてもらって、それを捨てないで売るんです。そうやって私たちは、雇用を創出したり食品ロスを減らしたりしているんです。コロナ禍で人出が減ったことで売れ残るパンは増えたのですが、逆に私たちの売り上げは下がりました。それで、残ったパンは捨てずに冷凍し、翌日に公園で食べ物を配っている団体に渡しているんです」
そういう地道な活動を続けているからこそ、余計に弁当廃棄が許せないと語った。
「食べ物を捨ててるってどういうこと何だろうって。何をやっているんだろうと思いました。たくさん発注したから捨てるということを許しちゃいけないと思います。しょうがないよね、まったくふざけてるよねで終わらせちゃいけないと思います」

枝元さんが中心となって運営している「夜のパン屋さん」。路上生活者の仕事にもなり、食品ロスを減らせる。それだけに、五輪開会式で余った弁当が大量に捨てられたことへの憤りを口にした
【「今すぐPCR検査を」】
開業医で公益社団法人日本女医会理事の青木正美さんも、西村さんの発言を受ける形で「日本では、いつでも、どこでも、誰でも無料でPCR検査が受けられないという実態をIOCは知らないと思います。日本はそうじゃないのを1年半以上やり続けていて、なおかつ五輪もやってしまった。ここからしてもう違う。ボタンを掛け違えたというより、一番上のボタンをかけないで来ちゃった」と強調した。
「いつでも、どこでも、誰でも無料で、何度でもPCR検査ができるようになるまで五輪など駄目だ。そういう共通認識を私たちが持たないで、ズルズルズルズル認めて来てしまった。モリカケ桜と同じように認めて来てしまった結果、この感染状況で私たち自身の命が危うくなったということです。民主主義を手放してしまった。誰も文句言わないで〝モリカケ桜状態〟で五輪問題が来てしまった。コロナ禍になって初めて自分の命がかかったのに、それでも政府の言いなりになって五輪やって、五輪やったらさすがに海外の人も来るし、ノーマスクだし、人が動きますからね」
「世界中から選手や関係者が来ましたが、日本の津々浦々から警察官やボランティアも来ています。ありとあらゆる人が東京に集結しているんです。明日にも打ち切って欲しい。そうじゃないと、この山火事は全部焼き尽くすまで消せなくなってしまいます。この状況を絶対に楽観視してはいけません。今すぐPCR検査に取り掛かって欲しい。消すなら今です」
医師で前日本女医会長の前田佳子さんは「イスラエルの発表によると、デルタ株に対するファイザーワクチンの有効性は39%ということ。重症化は抑えられるかもしれないが感染は止められないということが明確に報告されています。感染者を特定したうえで隔離しなければ感染はますます拡大する一方で、怖いなと思います」と発言。看護師の宮子あずささんは「大事なのは五輪を楽しんじゃっている人に対して怒るのではなくて、そういう人も含めて、やっぱりヤバい時は(オリパラを)やめようねっていうことを言い続けていくこと」と話した。
(了)
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