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【パンデミックと東京五輪】〝メダルラッシュ騒ぎ〟の陰で拡がる過酷な自宅療養 「家庭内感染防ぐためにも隔離を」~第11回女性たちの抗議リレー

東京オリンピック・パラリンピックに反対する女性たちが6月から続けている抗議リレー「私たちが止めるしかない東京オリパラ」の第11回が10日夜、インターネット上で行われた。五輪は8日に閉会したが、その陰で新規陽性者は急増。家庭内感染のリスクが高い自宅療養者も増えている。今回は井戸まさえさんが自身の体験から過酷な自宅療養の実態を語った。また、医師たちが厳しい医療現場の現状やワクチン接種の不公平さを指摘した。次回配信は17日20時。パラリンピックの開会式は24日に予定されているが、反対の声をあげ続ける。
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【10日経っても届かぬ食料】
 元衆院議員の井戸まさえさん(立憲民主党)は「よもや家族が感染するとは思っていませんでした」と自身の体験を語った。
 同居している23歳の息子が39度の高熱を出したのは7月31日深夜。まず、陽性と分かるまでが大変だった。
 「近くの大学病院に電話をしました。すると『発熱外来がいっぱいなので受けられない』。次に、昨年10月に濃厚接触者になったときに保健所から指定された東京蒲田医療センターに連絡しました。そこでも『急患でいっぱいなので受けられない』。それで大森赤十字病院に電話をしたら、すぐに来てくださいと言われて車で行きました。PCR検査を受け、1時間後に電話で『陽性です』。解熱鎮痛剤のカロナールを7日分処方されました。自宅療養してください、同居家族が発熱した場合もそれで対応してくださいということでした」
 井戸さん自身を含め、同居している他の2人の子どもも感染している可能性がある。翌日、家族で自費検査を受けた。井戸さんだけが陰性。2人の子どもは陽性だった。結果を保健所に知らせたという。
 「翌日と翌々日に保健所から連絡がありました。まずパルスオキシメーターを送ります、酸素濃度を測ってくださいと。そして10日分の食料を送りますと言われました。しかし、いまだに食料は届きません。自宅療養のフォローアップセンターというところがあるので電話をしました。『実は自宅療養が増えてしまったので対応できません。でも確実に届くので待っててください』と言われました。もう10日経っているのに…」
 自宅療養する陽性者に囲まれながらの生活。そして届かない食料…。井戸さんは「自宅療養の過酷さをつくづく感じました」と語った。
 「買い物は全て出前やネットスーパーですから、とてもお金がかかります。独り暮らしでお金が無いと大変大変だなと実感しました」

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井戸まさえさんは、自身の体験から「自宅療養の過酷さをつくづく感じました」と語った

【小規模病院のジレンマ】
 「家庭内感染」の増加について指摘したのは医師の前田佳子さん(国際婦人年連絡会共同代表)。
 「東京都は62%が家庭内感染なんです。今後もっと増えると思いますよ。病院が直接対応すれば良いんです。保健所を関与させようとするから、保健所の負担が増えて自宅療養も増える。自宅療養では同居家族は感染してしまう。だから隔離しないといけない」
 前田さんは都内の重症者は実際には1000人を超えていると指摘する。
 「重症者は過去最多の176人(その後200人超)。都の基準なので、実際には8倍から10倍。1000人を超えていると思います。自宅療養者も1万7356人。この1カ月で11倍になっています」
 神奈川県内の病院に勤務する医師の牛山元美さんも、感染の急拡大を実感しているという。
 「以前は週に10人検査して2、3人が陽性でしたが、先週くらいから1日に8人検査して6人陽性という状況です。家庭内感染が多いです。高熱が酷くて早急に対応が必要な人もいますが、保健所がパニックになっていて手が回らない」
 小規模病院では、PCR検査をするだけで精一杯だという。
 「うちのような小さな病院では屋外の駐輪場で待機してもらって、自分で唾液を入れてもらって受け取るという状態。テントの中で問診するのがやっとで、肺炎が起きているかどうかも分からない。陽性者が見つかると厚労省の『ハーシス』(新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム=HER-SYS)に入力するのですが、重症か軽症か、肺炎の有無なども入力しなければなりません。ほとんどの人がいったん軽症になってしまう。中等症の人を伝える手段がありません」

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五輪強行の陰で重症者も自宅療養者も急増中。自宅療養は同居家族への感染リスクがあり、だからこそ隔離が必要だ

【アンフェアな「職域接種」】
 「感染症の基本は検査して陽性者と陰性者を分けること」と強調したのは公益社団法人「日本女医会」理事の青木正美さん。
 「IOCの発表によると、〝バブル〟のなかでワクチン接種率は81%。PCR検査は17日間で62・4万件、陽性率は0・02%。一方、東京都は人口1400万人でワクチン接種率は27・5%。PCR検査と抗原検査を合わせた数が16万9000件。陽性率は一番高い日8月7日で22・3%。入院調整中や自宅療養者は3万1000人。つまり〝バブル〟の中だけが世界標準だったんです」
 「ロンドンやパリやニューヨークは、PCR検査を『いつでも、どこで、だれでも、無料で』受けられて、デルタ株が出現するまでは陽性率が0・02%くらいだった。東京都も〝バブル〟の中と同じくらいできていて、自宅療養者などいなくて、陽性者は体育館のような場所に収容して、ハードロックダウンをしながら無観客で五輪を開催したならまだ分かるが、こんな状態ではフェアじゃない」
 青木さんは、もう一つの「アンフェア」としてワクチンの「職域接種」を挙げた。
 「ワクチンの打ち方は救命ボートの乗り方と同じように国際標準があります。まず介護施設に入所している人と介護者、2番目は80歳以上の人と医療従事者、3番目が75歳以上の人、4番目が70歳以上の人と基礎疾患のある人、5番目に65歳以上の人、6番目に16歳から64歳までで基礎疾患のある人…」
 「でも日本は崩した。医療従事者から始まり、高齢者、そして職域接種。大企業は自民党のお客さんだから、上場企業に勤めている人は家族まで接種して、中小零細企業に勤めている人やフリーランスの40代50代の人が接種できずに重症化している。しかも、大企業がワクチンを独占して余らせた。捨てる訳にいかないからぐるなびが『つなぐワクチンプロジェクト』を始めて、飲食店従業員に接種し始めている。私のおばは横浜で一人暮らしをしていますが、83歳なのにのようやく1回目が終わったばかり。五輪をやるために始めた職域接種がものすごく不公平だったんです」



(了)
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鈴木博喜

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