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【パンデミックと東京五輪】「パラリンピック中止して」 命の問題に日々直面している2人の障害当事者が訴え~第12回女性たちの抗議リレー

東京オリンピック・パラリンピックに反対する女性たちが6月から続けている抗議リレー「私たちが止めるしかない東京オリパラ」の第12回が17日夜、インターネット上で行われた。今回は2人の障害当事者がリモート参加。「感染拡大もパラリンピックも止めたい」、「選手村のなかでクラスターが起こったらどうなるのか」とパラリンピック中止を訴えた。次回配信は24日20時。パラリンピックの開会式当日だが、主催者は「私たちはあきらめずに女性たちの声を届け、開催に反対していく」と語っている。
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【「感染拡大もパラも止めたい」】
 「自立生活センター神戸Beすけっと」事務局長の藤原久美子さんは、視覚障害のある当事者・スタッフとして活動する一方、「DPI女性障害者ネットワーク」では代表を務める。
 「障害のある女性の差別、女性であり障害者であることによる生きづらさ解消のために取り組んでいます。私は中途障害なので30代半ばまで障害者とともに生きて来なかった。自分が当事者になって初めて、排除されてきた歴史やトリアージに命を脅かされている現実を知りました」
 7月には4人の障害者連名でオリパラ反対の声明を発表。菅義偉首相などに提出した。賛同者は1000人超。改めて「パンデミック下ではやるべきでない」と強調した。
 「障害者の1人として、五輪は開催してパラリンピックは止めるということに対して複雑な想いがあります。正直、まだ迷いがある。障害者の大会だから、採算が合わないから中止したのだろうと思われるのは嫌です。だけど世界各国から選手が来るわけですし、感染拡大もパラも止めたいと考えています」
 私たちが目を向けるべきなのは〝アスリートのがんばり〟だろうか。活躍する姿に感動することだろうか。藤原さんの指摘にこそ、耳を傾けるべきではないか。
 「障害者は性のある存在として扱われないことが多いので、施設や療養型病院などに入っている障害女性たちは男性の介助者によるトイレや入浴の介助を受けています。そこで深刻な性的被害に遭っている人もいます。障害女性は『女性役割を担えない』とされて、『リプロダクティブ・ヘルス/ライツ』(性と生殖に関する健康と権利)が否定されがち。常に自分たちの置かれている地位が低くされがちで、力を奪われ続けているのです」
 藤原さんは「そもそもパラリンピックは必要なのか」と疑問を投げかける。
 「なぜ五輪と別に開催するのか。それこそ障害のある人とない人を分けている。それに、パラリンピックが学びになるというのがちょっと…。一番の学びは近くにいることです。同じ教室で当たり前のように学べることが本当の学びなのに、そういう時だけ使われてる感じがして嫌だなと思います」

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12回目の「抗議リレー」には、2人の障害当事者が参加。沖縄の長位鈴子さんは「感染が拡がって医療もひっ迫している状況で、選手村のなかでクラスターが起こったらどうなるのか」とパラリンピック中止を訴えた

【「中止できぬ社会は理不尽」】
 「理不尽な社会にもの申したい」
 そう何度も口にしたのは、沖縄のNPO法人「沖縄県自立生活センター・イルカ」代表の長位鈴子さん。沖縄ではうるま市内の精神科病院で200人規模のクラスターが発生。60人以上が亡くなっている。県全体の新規陽性者数も700人を超えるなど、まさに緊急事態の渦中にある。
 「オリパラを止められない日本社会の理不尽、矛盾している構造に対して、ひと言もの申したい。みんな命は平等にあると簡単に言うし、大臣も命あってのオリパラなんて言うけれど、毎日何人も亡くなっています。私たち一人一人ではどうすることもできないことですが、何とか沖縄に来る飛行機を止めて欲しい。観光客を止めて欲しい。石垣など離島を抱える沖縄の脆弱な医療体制のなかで、もし変異株が出てきたら…」
 コロナ対策チームをつくり、感染予防と介助の両立に腐心する日々。昨年、沖縄県内の新規陽性者が増加したのを機に生活介護の事務所を閉めたが、2カ月ほどで再開したという。
 「知的障害の人たちも含めて通ってもらって親のレスパイト(負担軽減、息抜き)的な役割も果たしていたんですが、それが全くないなかで家族の負担が増えた。親が疲弊して子どもに当たり散らす、叩きそうになるということがあったんです」
 長位さんは「私もアスリートに対しては障害の有無にかかわらず一生懸命やってきたので、そこは否定はしません」。しかし命の問題に直面しているからこそ、パラリンピック中止を訴えた。
 「感染が拡がって医療もひっ迫している状況で、選手村のなかでクラスターが起こったらどうなるのか。障害があるために病気を抱えている選手もいます。大会中に何かあったらどうするのか。大臣は責任をとれるのか。今でも医師や看護師が不足しているなかで、オリパラに人手がとられていく。五輪より人数が少ないと言うが、選手と一緒に介助者も来日します。何とか止めたいと思います」

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藤原久美子さんたちが菅首相などに提出した声明文の一部。「何よりも命が大事」とオリパラ中止を求めている

【「五輪前より状況悪い」】
 呼びかけ人の1人、医師の前田佳子さん(国際婦人年連絡会共同代表)は「感染状況は五輪前よりずっと悪い。(パンデミックの)出口が見えないなかで、世界から多くの人を集めるパラリンピックは本当に止めないといけない。やるという選択肢はない」と強調した。
 「日本は世界と比べて感染者数が少ないから大丈夫とずいぶん言われてきましたが、全くそういう状況ではありません。札幌医大フロンティア研ゲノム医科学のまとめによると、人口100万人あたりの新規感染者数は日本はかなり上位です。世界の平均が568人なのに対して、日本は922人。最も多いのがイギリスの2900人です」
 母親が交通事故が原因で利き腕を切断した実体験を語ったのは、呼びかけ人の1人で医師の青木正美さん(日本女医会理事)。
 「母は車の運転も、ボウリングも料理も、全部左手でやっていました。社交ダンスも踊っていました。その姿をずっと見て来たから、私は実は五輪よりパラリンピックを楽しみにしていました。頑張っているのを知っているから。子どもたちにも観て欲しかった。でも、こんな感染状況で開催できるわけがない。今度は選手が死んでしまう可能性が高い。今はやってる場合じゃないです」
 現在のパンデミックを「建物が崩れていない〝首都直下型地震〟が全国に波及してる状況」と表現した青木さん。改めてマスクや換気の徹底を呼びかけた。
 「感染のメインは今や空気感染、エアロゾルです。マスクをしっかりしてください。できれば二重に。いまだにウレタンや布のマスクをしている人がいますが、意味のないことはやめましょう。不織布マスクの価格が高ければ自分で作ってください(作り方は、こちらの動画を参照)
 「バスや電車は窓を開けること。窓を開けずに冷房がかかっていたら〝汚染の園〟になってしまいます。スーパーには長居せず、素早く買い物を済ませる。他人とすれ違うときには息を止めるくらいでいてください。そうでないと感染は防げません。そういう日常の小さな努力が後で効いてくるのです。集合住宅に住んでいる人は下水の配管から感染することが大いにあります。換気扇を回したうえでトイレの窓も開けてください」
 青木さんは改めて、声を大にして言った。
 「本当にパラリンピックを止めたい。母が生きていたら、そんなものやっちゃ駄目と言うはずです。人が死ぬ確率が高いことは絶対にやっては駄目。何が大事なのか考えましょう。命より大事なものはありません」



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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