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【自主避難者から住まいを奪うな】名ばかりの〝現場主義〟掲げる内堀知事。県議会に虚しく響く「ていねい」「寄り添う」。戸別訪問では避難者への暴言も

福島県議会本会議が4日午後、開かれ、神山悦子議員(日本共産党)が〝自主避難者〟向け住宅の無償提供打ち切り問題に関して内堀雅雄知事の姿勢を改めて批判した。内堀知事は、のらりくらりと「今後もていねいに対応していきたい」と答えたが、避難者との面会は改めて拒否。2017年3月末をもって無償提供を打ち切り、2年間の家賃補助に移行させる考えを改めて示した。神山議員は、戸別訪問の場で避難者が県職員から脅されて追い詰められている実態についても質したが、所管する避難地域復興局長も「避難者一人一人に寄り添う」と繰り返すばかり。〝現場主義〟とは名ばかりの内堀知事。共産党以外は厳しく問わない県議会。両者は手を携えて「避難の権利」を踏みにじっていく。


【「交流会で何度も会っている」】
 質問に正面から答えない。具体的な内容に乏しく抽象的。内堀雅雄知事の本領が発揮された答弁だった。
 「避難者の生活再建にしっかりと取り組んでいく」、「今後もていねいに対応していきたい」
 避難者のニーズと異なる「支援策」を打ち出し、避難者に直接、語りかけることすらしない内堀知事。どこが「今後もていねいに」なのか。神山悦子議員は「来年3月末で県独自の家賃補助制度に切り替えるとしているが、わずか2年間だけ。無償提供継続を求める声があがっている」と知事の方針を批判。一方で、東京都や埼玉県、新潟県、山形県など避難者を受け入れている側の自治体が不十分ながら独自の支援策を展開している事に対して質すと、内堀知事は「受け入れ自治体に住宅確保を要請しており、特に東京や埼玉、新潟、山形からはありがたい支援をいただいている。(8月25日に開かれた)三県知事会議でも、新潟・山形の両知事に改めて感謝申し上げた」と答弁。来春で無償提供を打ち切る事については「災害救助法の応急救助の観点から、これ以上の延長は難しいと判断した」と従来の見解を繰り返すにとどまった。内堀知事らしく、遠回しの表現で打ち切り撤回を否定したのだ。
 再質問で神山議員は、自主避難者との直接対話を避け続けている内堀知事に対し「直接会って避難者の声をもっと聴くべきだ。知事の姿勢が問われている」と詰め寄ったが、内堀知事は「首都圏などで開催された交流会のなどを通して直接、避難者の声は聴いている。戸別訪問でも県職員が直接、避難者の声を聴いている」と従来通りの表現で反論。「今後もていねいに対応していきたい」と述べた。
 「復興」や「風評払拭」に関しては饒舌な内堀知事は、県外避難者の住宅問題では多くを語らず〝逃げ〟に徹する。山形県の吉村美栄子知事が「普通の災害では無い。特段の配慮(無償提供の延長)をお願いしたい」と頭を下げても受け流す。全国の地方議会から続々と意見書が寄せられても無視。これのどこが「ていねいな対応」なのか。




(上)議長に答弁の許可を求める内堀知事。「今後もていねいに対応していく」と繰り返すが、避難者たちは内堀知事の「ていねいな対応」など1度も目にしたことが無い
(下)戸別訪問などに関して答弁する成田良洋・福島県避難地域復興局長。こちらも「避難者に寄り添う」と繰り返した

【避難者を脅すのが〝ていねい〟か?】
 8月末に再開された避難者への戸別訪問に関して、神山議員が「どのような要望や意見が避難者から出されたのか」と質問。成田良洋・福島県避難地域復興局長は「3週間で約1700世帯を訪問。8割ほどの避難者が、来春以降についての意向が固まっていた。子どもの通学との関係で住まい探しに苦慮されているようだ」と答えるにとどまった。
 知事や局長の答弁を作成した生活拠点課によると、避難者の「意向が固まっている」というのは「住まいが確保できた」という意味ではなく「来年4月以降、避難を継続するか福島に戻るか、その気持ちが『決まっている』、『ある程度決まっている』と77.7%の避難者が答えていた」という。
 つまり、内堀知事は戸別訪問を重視して避難者に寄り添うとしているが、実際には打ち切りまで半年を切った現時点で、ようやく避難者の「意向」が確認出来ているにすぎない。保護者がわが子の学区を変えずに避難生活を続けたいと考えるのも当然のこと。転校を避けようとして住まい探しに苦労していることも、これまでの避難者団体との話し合いで何度も示されていた。
 神山議員によると、避難指示解除後も川内村に戻らず郡山市内の仮設住宅で暮らしている避難者に対し、訪れた県職員が「来年3月末で退去しない場合には訴訟もあり得る」と語ったという。強制避難者も、避難指示が解除されれば自主避難者と同じ扱いになるからだ。
 「他県の戸別訪問でも避難者が暴言を吐かれたと聞いている」と神山議員は再質問したが、成田局長は「避難者一人一人に寄り添いながら、きめ細かい支援をしていきたい」と答弁した。生活拠点課の幹部は「戸別訪問の場でそのような発言があったのは事実だが、退去を求める訴訟にならないように事前に話し合うのが原則だ」と語った。避難者を脅して追い詰めていくのが内堀知事や成田局長の言う「ていねい」、「寄り添う」なのか。5日の県議会本会議でも5人が一般質問を行うが、住宅打ち切り問題に関する質問は予定されていないという。




(上)自主避難者向け住宅に関して内堀知事の姿勢を質した神山悦子県議
(下)再質問で内堀知事を追い詰めるような事をしないのが自民党県議の流儀。神山議員が再質問に立つたびに、議員らはざわつき「答弁は簡潔に」などの野次が飛んだ。行政へのチェック機能などまるで働いていない

【偽りの〝現場主義〟絶賛する県議】
 成田局長は、答弁の中で「雇用促進住宅への入居を希望する避難者に関し、入居要件を緩和するよう管理者の独立行政法人・高齢・障害・求職者雇用支援機構と協議している」と述べたが、生活拠点課によると「雇用促進住宅は年収の1/12が家賃・共益費の3倍以上あることが条件として求められるが、そこの緩和は難しい。そこで、母子避難世帯に関し、福島に残った夫などから受けている仕送りを『その他の収入』に加えることが出来ないかと打診している」という。
 一見、避難者に有利な緩和策だが、都内で避難者支援を続けている男性は「果たしてそれで何人の避難者が救済されるのか疑問だ」と話す。「地方と違い、都心の雇用促進住宅は家賃が高い。福島県の家賃補助を受けたとしても家賃が10万円なら7万円の自己負担が発生することになり、都営住宅よりも負担が重くなってしまう。そもそも雇用促進住宅に入居している避難者は、都営住宅などの公営住宅の優先入居枠に申し込めない。避難者が自分で希望して雇用促進住宅で暮らしているわけではなく勝手に振り分けられたのに、優先入居の対象から外している事がおかしい。矛盾だらけ。福島県はその改善を受け入れ自治体に要望するべきだ」と指摘する。
 神山議員の前に一般質問を行った佐久間俊男議員(民進党・県民連合)は、こんな表現で内堀知事を絶賛してみせた。
 「現場主義を掲げた内堀知事の実行力は、多くの県民から高く評価されている」
 避難者と直接、語らない内堀知事の偽りの〝現場主義〟には、福島県庁内の記者クラブに常駐する記者からも疑問の声が上がっている。定例会見で質問が出たほどだ。避難者は福島の復興に寄与しないからやさしく切り捨てる。そんな内堀知事の〝実行力〟に何ら疑問を抱かない議会は、チェック機能を失ったお友達同士の寄り合いに過ぎない。
 不十分な答弁に対し、神山議員は何度も再質問をして内堀知事ら執行部の姿勢を質した。そのたびに議員らはざわつき、早く終われとばかりに不満を漏らした。県議会の多くの議員にとって、県外避難者はもはや守るべき対象では無いのだろう。議員たちの意思が垣間見えた本会議だった。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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大手メディアが無視する「汚染」、「被曝」、「避難」を追い続けています。

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