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【128カ月目の汚染水はいま】「これ以上、海を汚すな!」小名浜で海洋放出反対の市民集会 学者は「代替案いくらでもある」

原発事故後に大量発生している汚染水の海洋放出に反対する市民集会「汚染水を海に流すな! 海といのちを守る集い」が13日午後、福島県いわき市小名浜の「アクアマリンパーク」で行われた。子育て中の母親や漁業関係者、学者たちがリレートークで「汚染水を海に流すのは許せない」「これ以上汚さないで」などと想いを口にした。福島の市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」(織田千代、佐藤和良共同代表)の主催。海外からもメッセージが寄せられ、佐藤共同代表は改めて地下水の止水とタンク貯蔵を訴え「あきらめず撤回させよう」と呼びかけた。
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【「負の連鎖止めたい」】
 「原発事故の加害側である国は過ちを反省せず、改めることもせず、再稼働に舵を切り、『これくらいなら大丈夫』とさらなる被曝を強いて、実害を『風評被害』と言い続け、安心を押し付けることばかり。そんな国の不誠実さを私たちは散々見続けているので、汚染水の海洋放出が安全であるはずがない」
 そう話したのは千葉由美さん。原発事故後、同じくいわき市で子育てしている母親たちと「TEAMママベク子どもの環境守り隊」を結成。いわき市内の学校や幼稚園、保育園、公園などの放射線量、土壌汚染の調査を続けている。結果は市当局に報告、対策を求めている。
 「『福島の復興のため』という一見、親切そうに見える加害側の傲慢で冷酷な姿勢に私たちは敏感にならなければいけません。環境汚染の怖さ、哀しさを経験した私たちは、これ以上の負の連鎖を止めたい。今日はとても天気が良くて、海がきれいですね。この自然の寛容さに私たちは甘えてはいけないのだと思います。未来をつくるのはいまを生きる私たちの行動です」
 小名浜で暮らす2児の母親は「子どもたちにも夏は海水浴に行って、美味しい魚をたくさん食べるという普通の生活をして欲しい。汚染水を海に流すのはどうしても許せない。子どもたちの未来のために止めなくてはいけない」。別の母親も「子どもたちには安全なものをたくさん食べさせたい。食の安全は守るべき。子どもたちの健康を守るためにも、福島の海をこれ以上汚して欲しくありません。これからも声をあげます」とマイクを握った。
 双葉郡から避難している母親たちの想いも切実だ。
 双葉町出身の母親は「50年以上前、福島第一原発の場所に私の実家がありました。原発がつくられることになって買収され、私の育った双葉町の実家ができました。そして今、双葉町の実家は中間貯蔵施設となりました。この半世紀、私たち家族は5世代にわたり翻弄され続けています。もう、この問題から解放してください。汚染水の海洋放出は言うまでもなく反対です。これ以上、私たちが生まれ育った大事な場所を汚さないでください」
 「双葉町生まれの大熊育ち」という母親も、実家は中間貯蔵施設になった。
 「勝手に汚染され、泣く泣く実家を売りました。大熊町長は汚染水を流しても良いと言っています。双葉町もそうです。私は反対です。復興のために流すなんて子どものためになりません」

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(上)小名浜の海を背に開かれた市民集会
(中)学校などの放射能測定を続けている千葉さんは「負の連鎖を止めたい」と訴えた
(下)小名浜などで子育て中の母親たちも「福島の海をこれ以上汚して欲しくない」などとマイクを握った

【「基準値以下でも汚染」】
 小名浜機船底曳網漁業協同組合長の野崎哲さんは「現状を注視している皆さんに改めて感謝します」としたうえで、次のように語った。
 「私ども漁業者は、この福島で漁業を営んで福島で漁業を続けていくということを一番の立ち位置にしています。復興の重要さを十分理解しています。かつて地下水問題があり、バイパスサブドレンの放出については地下水以外のものと混合しないということで管理値を守って海洋に出すのを良しとして協力しました。そのなかで、ALPS処理水に関しては『関係者の理解なしにはいかなる処分もしない』というお約束をいただいた。その意味では義を失われたと思っております」
 「ALPS処理水の海洋放出に反対するという立ち位置ですが、国がどのようなことをやるのか、全然話を聴かないということではありません。何をどうやっていくのか。現状のわれわれの取り組みが消費者の皆さんにどの程度理解してもらえるのか。逆に言うと、汚染されるかもしれない魚を獲っているので、決して無理強いして『福島の魚を食ってくれ』と言うつもりはさらさらございません。どのように出荷しているのか、流通させている方法をつまびらかに出し、興味深く見ていただいて各自でご判断いただければありがたい。今後とも廃炉が続く限りは様々な理不尽なことがあるかと思いますが、土着して漁業を営むということをスローガンに、今後とも続けていきたい」
 「汚染水の海洋放出には大反対」と話したのは天野光さん(工学博士、元日本原子力研究所研究員)。茨城県常陸太田市で暮らしながら、茨城県内の放射能汚染を調査し続けているという。
 天野さんは「海も陸も、環境はひとたび放射能で汚染するとなかなか元には戻りません」と強調、「安全で安心な福島の海からの恵みを将来にわたって届けていただきたい」と訴えた。
 「汚染水に含まれているのは64核種だけではありません。もっともっと様々な放射性核種が含まれています。それに、海に放出される放射能が基準値以下であったとしても海産物は濃縮します。生物濃縮と言います。たとえ基準値以下の放出であっても、福島の豊かな海が放射能で汚染されることは容易に予想できます。トリチウムについても生物への安全性が保証されているわけではありません。最近の研究では、トリチウムが体内に取り込まれた場合の特に脳細胞への悪影響が危惧されています」

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(上)集会で読み上げられたアピール文
(中)小名浜機船底曳網漁業協同組合長の野崎さんは改めて「海洋放出に反対」と述べた
(下)東京大学名誉教授の鈴木譲さんは「代替案はいくらでもある」と語気を強めた

【「海洋放出は犯罪だ」】
 「魚類の免疫学」を専門とする鈴木譲さん(東京大学名誉教授、NPO法人「高木仁三郎市民科学基金」理事)は2013年に東大水産実験所を定年退職したのを機に、放射線が魚に与える影響を調べている。最近は「いわき放射能市民測定室たらちね」の海洋調査に毎回、参加しているという。
 「そもそも若い頃から環境問題には関心があって、干潟の保全活動などをやっていました。何と言っても私の生き方を決定づけてしまったのは1988年に自宅の近所に道路をつくる計画が発表されて、道路を拡げて地下に高速道路『首都高速中央環状新宿線』を通すんだと。その反対運動に加わりました。そのうちにリーダー格になって行政訴訟を起こそうということになり、430人の原告団と支援団合わせて約1000人の先頭に立って闘いました。何が私をそんなに突き動かしたのかというと、『科学的を装って嘘をつくことがどうしても許せない』ということです」
 鈴木さんは「何と言っても嘘のかたまりと言えるのは、原子力政策、原発、放射線の問題」と語気を強めた。
 「事故が起きてからも嘘ばかりでした。一番腹が立ったのは、放射性物質が海に流れると。そうしたら大学の教授だか名誉教授だかがテレビに出てきて『海には大量の海水があるから薄まれば影響はありませんよ』と。腹が立ちました。そんな簡単に希釈されません。高濃度のままあっち行ったりこっち行ったりするんです。そうして魚は汚染されたんですよ。その結果として漁業は大変な目に遭ったんです。今なお汚染は続いているんです」
 「そのうえに、溜まり続けた放射性物質を海洋放出するしかないと言いました。これも嘘です。代替案はいくらでもあります。巨大なタンクがあれば全部収まります。面積もはるかに小さくて済む。モルタル固化も提案されています。政府が国際公募したら、ロシアからトリチウムの除去装置が提案されました。蒸溜です。380回蒸溜すると日本政府の基準を軽くクリアします。それなのに『現実性がない』と切り捨てるんです。要するに海に棄てたいんですよ。安上がりで手っ取り早いということだけなんですよ。公募したのもアリバイづくりに過ぎません」
 「汚染水を流しちゃうなんてことは犯罪だ」と語った鈴木さん。
 「海洋放出前のデータをきちんととっておこうと思います。『インチキ科学』を振り回す連中の鼻を何とかあかしたい。海洋放出を断固として阻止しなければなりません。がんばりましょう」と締めくくった。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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