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【参院選2022】「委員も座長も降りる」県民健康調査検討委の星北斗座長が自民党公認内定で会見~汚染や被曝リスクはやんわり否定し「風評被害」強調

福島県「県民健康調査検討委員会」の星北斗座長(福島県医師会副会長、郡山市在住、57歳)が25日午前、福島市内で記者会見を開き、来夏に予定されている第26回参議院選挙福島選挙区に自民党公認候補として立候補することを改めて表明した。「然るべき時に委員も座長も辞める」と答えたが、一方で原発事故による汚染や被曝リスクについての明言は避けつつ、「処理水」や「正しい情報発信」、「風評被害」という言葉を繰り返し口にしながら、やんわりと否定した。区域外避難者についても明快な回答はなし。「県民の不安に寄り添う」という言葉だけが漂っていた。
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【「放射線への不安に寄り添う」】
 「復興は道半ば。処理水の問題、風評にさらされていることなど、県民の心の問題にどう寄り添うかが大切だ」
 地元紙記者からの質問にそう答えた星氏。では「風評」とは具体的に何を指しているのか。筆者が会見で尋ねると、星氏は直接的な表現は避けながら、原発事故後の汚染や被曝リスクをやんわりと否定した。
 「風評という言葉の定義は広く、一点を示す言葉ではない。処理水の問題もそうだし、環境から受けている私たちの現状の被曝に関してもそうでしょう。農産物で言えば、日本ではずいぶんと改善してきていると思うが、海外からまだ厳しい目で見られている。必ずしも科学的に正しくない情報に基づいて、まさに風評が発生している。これから様々に対応していくべきだと思っています」
 星氏の住む郡山からも、原発事故後のいわゆる〝自主避難者〟(区域外避難者)がいる。そこについても考えを質したが、星氏は「避難の問題は、実際に帰れない町があるということを含めて、大変大きな問題だと考えておりまして、これもしっかりと考えていくべき課題だろう」と避難指示区域の問題と混同して答えていた。
 放射線に対する不安に関して、共同通信記者が質問すると「親や子どもたちの不安はこれからもずっと続くだろうと思っている。正しい情報を発信するのはもちろんだが、科学がこうなんだから、ということだけではなくて、やはり不安な気持ちを大切に寄り添う、耳を傾ける、それに対してどんな説明や対応が必要か。きめ細やかに対応する必要があると思う。1つの方法として甲状腺検査があるが、これは1つの例でしかない。それ以外のこともたくさんあるし、心の問題も直接間接に影響を与えている。そういうことに立場を変えて一つ一つていねいに対応していく」と答えた。

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福島県医師会の佐藤武寿会長も出席。「県医師会、歯科医師会、薬剤師会、看護師協会の4団体が一緒になって、まず後援会をつくる」と述べた

【「処理水、国全体の問題」】
 朝日新聞記者は、反対の声が多い汚染水海洋放出への考えを質した。
 しかし、星氏は一般論を述べるのみ。「具体的には当選してから決める」と答えるにとどまった。
 「処理水の問題はわが県のみに押し付けられているように見えるが、国全体で考える問題。科学的にこうだからこうだねという問題にしてはいけない。具体的にどうするかは当選してから決める。選挙期間中に大きな動きがあると思うので、それらをしっかり把握したうえで考え方を整理して対応を決めたい」
 原発再稼働や脱原発については「原発推進派でも反対派でもないと理解してもらいたい」としたうえで「もちろん、国としては脱原発を目指す方向だが、急進的に進めていく立場にはない」として、当面の原発再稼働は必要との考えを示した。
 フリー記者からは、甲状腺検査に関する「過剰診断」との指摘に関する考えも問われたが、星氏は直接的には答えず「科学的な問題と様々な不安にどう向き合うのかということのバランスが非常に重要。処理水の問題もそうだが科学的にこうなんだからこうでしょということにはならない」と繰り返した。
 結局、原発事故による汚染や被曝リスク、健康被害には明確に答えなかった星氏。今回の出馬要請については「青天の霹靂。後ろから撃たれたような衝撃だった」と饒舌に答えた。
 「まだまだ知名度が足りない。(他に名前があがっている立候補予定者には)全く太刀打ちできないと思う。まずは医療関係者から足場を固めていく。そのうえで県民に浸透を図りたい」
 会見に出席した福島県医師会の佐藤武寿会長は「県医師会としてはこういうアレは初めて。会員は2700人と少なく、われわれの力だけではどうしようもないので、歯科医師会、薬剤師会、看護師協会の4団体が一緒になって、まず後援会をつくる。がんばろうね」と激励した。

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会見後、福島県選出の国会議員らと写真撮影した星氏。県連会長の根本匠代議士は改めて「政策能力、リーダーシップ、実現力を兼ね備えた最適な人材だ」と絶賛した=福島市の「ウェディングエルティ」

【根本会長、改めて絶賛】
 会見の冒頭、自由民主党福島県支部連合会長の根本匠代議士は「22日に党本部に行き、公認候補に事実上内定した。今は党内プロセスに入っている。全力を挙げて勝ち抜かなければなりません」と述べたうえで、改めて次のように星氏を絶賛した。
 「星北斗候補とは長い付き合いで良く知っていますが、いかに候補者として最適か3点申し上げたい。1つは東日本大震災の後、県民の健康。県民健康管理調査を含め、子どもたちを含めて福島県民の健康を守ることに尽力していただいた。そのなかでリーダーシップを発揮していただいた。そしてコロナ。内堀知事や自治体首長の皆さんと連携して、そして医師会のリーダーとして福島県はしっかりとした医療提供体制を築くことができた。そしてワクチン接種。星北斗さんがワクチン接種体制をつくりあげた。私はよーく知っております。いろんな候補者がおられますが、星北斗さんが政策の課題を本質を見極め、政策をつくりあげる能力、リーダーシップ、実現力を兼ね備えた候補者。私は最適な人材だと思っています。最適な人材を擁立しましたので、自由民主党県連一丸となって勝ち抜きたい」
 しかし、復興大臣を務め、早くから汚染や被曝リスクを否定していた根本氏が、県民健康調査検討委員会の座長を8年も続けている星氏を絶賛し〝一本釣り〟して国政に送り込もうとしている構図の意味は重い。会見で星氏は言葉を選びながら汚染や被曝リスクを否定していたが、野党系県議は「検討委の中立性を疑われても仕方ない」と話す。
 来夏の参院選を巡っては、元法務大臣の岩城光英氏(自民党、いわき市)が後任を得られず無所属での立候補を表明しているほか、現職の増子輝彦氏も無所属での出馬を模索しているほか、立憲民主党や共産党などが野党統一候補の擁立を目指している。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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