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【ウクライナ侵攻】「原発を攻撃するな!」「ロシア軍はただちに撤退せよ!」~福島からの原発避難者と支援者がロシア大使館に要請文提出

2011年3月の福島第一原発事故で福島県から神奈川県に避難した村田弘さん(福島原発かながわ訴訟原告団長、福島県南相馬市小高区から避難継続中)や支援者たちが8日午後、都内のロシア大使館に要請文を届けた。ウクライナ国内の原発への攻撃をしないこと、ウクライナから即時撤退することを求めている。原発事故発生から、まもなく丸11年。「まさかこんな要請をすることになろうとは…」と顔を曇らせた村田さん。戦争と原発事故。形は違えど、どちらも故郷を追われ犠牲になるのは弱い市民。これ以上、放射性物質拡散による汚染や被曝リスクに一般市民がさらされないことを、遠く8000km離れた日本で強く願っている。
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【「核災害のない世界を願う」】
 村田さんたちが届けた要請文は2枚。
 「ロシア軍は今月4日ウクライナのザポリージャ原発を攻撃したと報道されています。これはロシアも批准している『原発への攻撃を禁じるジュネーブ諸条約第一追加議定書』に違反する行為です」、「もし戦争によって原発事故が起これば、その被害は直接的な戦争被害をはるかに超える、深刻で広範なものになることは、チェルノブイリ原発事故とフクシマ原発事故の経験が教えています」として、プーチン大統領に対し①ウクライナ国内の原発や原子力研究施設への攻撃をしないこと②原発の安全を確保すること③ウクライナから直ちに撤退すること─を要請している。
 駐日ロシア大使に対しては「私たちは今月4日から7日まで、横浜市内で福島原発事故10年の経過を踏まえ、原発と人間のかかわりを考える集会を開いてきました。そのさなかに、ウクライナでの戦禍の報を聞き、深く胸を痛めています」として、「11年経ってもなお原発事故に苦しみ続ける福島の避難者と、避難者と共に核災害のない世界を願う市民の、心からの願いを大統領にお伝えくださるよう」求めた。
 村田さんと裁判を支援している「福島原発かながわ訴訟支援の会」(ふくかな)のメンバーたちが地下鉄・神谷町駅に集合。徒歩でロシア大使館に向かい、「ウクライナに平和を!!」と書かれたプラカードを手に、建物と反対側の歩道で抗議の声をあげた。大使館周辺では多くの警察官が警戒にあたっていたが、抗議行動そのものを妨害することはなかった。

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警察官から「敷地内に入れるのは1人だけ」と制限されたため、村田さんが改めて要請の趣旨を読み上げ、2枚の要請文を投函した

【「原発事故が世界に拡がる危険」】
 村田さんたちは今月4日から7日にかけて、JR新横浜駅近くで「福島原発事故10年~私たちは何処に向かうのか?~」を開催。丸11年が経過した原発事故の抱える課題などについて、展示や講演会などを通じて改めて考えた。その矢先に届いた、ロシア軍によるウクライナ・ザポリージャ原発への攻撃。いまのところ放射性物質の深刻な拡散には至っていないとみられるが、依然として侵攻は終わっておらず、予断を許さない状況が続いている。
 そこで、「ふくかな」共同代表の久保新一さんが文案を作成。修正を経て、6日の樋口英明さん(元裁判官)講演会の場で参加者の拍手で了承されたものを提出した。
 参加者を前に文案を読み上げた村田さんは、次のような言葉で賛同を求めた。
 「現実の世界では戦争があって、ウクライナの原発に対する攻撃があったとの報道もされています。戦争と原発は、国というよりも全ての人々を全面的に破壊する。いま私たちが経験しているような原発事故が全世界に拡がる危険性を抱えている問題だと思います。今回の問題では、いろいろな角度からの意見があることは承知しています。ただ、私たちとしては原発と戦争という事実についてだけはやはり意思表示をしようということになりました」
 要請文に対する異議はなく、拍手で了承された。
 要請文を提出した村田さんは、こうつぶやいた。
 「まさかこんな要請文を提出することになるとは思いもよらなかったよ」

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ロシア大使館の郵便受けに投函された要請文。ウクライナ国内の原発への攻撃をしないこと、ウクライナから即時撤退することを求めている

【「原発問題は国防問題」】
 樋口英明さんは、講演後の質疑応答で「原発問題は国防問題だ」と語っている。
 「原発問題はエネルギー問題として語られてしまっているところに大きな問題があると思います。原発がなくなると電気が足りなくなるとか、二酸化炭素の問題とか…。全部嘘なんです。嘘の議論をすること自体が議論を矮小化させている。エネルギー問題ではなく国防問題だと思います。今の政権は『敵基地攻撃能力』とかなんとか言っているが、原発を海岸沿いに54基も並べておいて何を言ってるの?って思う。『敵基地攻撃能力』を言う人は『仮想敵国とかテロリストは原発を標的にしない』という強い信頼感を持っているのではないか。あるいは、強い地震は原発を避けるという強い信仰を持っていると思います。そういう現実を見れば国防問題です。長期間にわたる国の存続の問題。その本質を皆さんが理解すれば国民運動として拡がりを持つと思います」
 ロシア大使館の入り口では、村田さんが代表して要請文を郵便受けに投函した。大使館員が直接、要請文を受け取ることはなかった。他の参加者と再び合流し、改めて大使館に向かってシュプレヒコールを行った。
 「ロシアはウクライナを攻撃するな!」
 「原発を攻撃するな!」
 「ただちに撤退せよ!」
 突き上げた拳とともに、原発で故郷を追われた村田さんたちの声が都心に響いた。



(了)
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鈴木博喜

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