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【133カ月目の汚染水はいま】海洋放出方針決定から1年 いわき・小名浜で市民が改めて抗議行動「海に流さないで!」

福島第一原発事故後にたまり続ける大量の汚染水が廃炉作業の妨げになるとして政府が海洋放出方針を決定して13日で丸1年。午後には、福島県いわき市小名浜で市民が改めて「汚染水を海に流さないで!」と反対の声をあげた。国も東電も「関係する皆様へのていねいな説明などを行いまして、ご懸念を払拭し、ご理解やご信頼を賜れるよう努力を続けてまいりたい」と口を揃えるが、実際には海洋放出への懸念の声が多いなか、海洋放出に向けた準備だけが着々と進んでいる。漁業関係者との約束も市民の声も無視して突き進む国や東電に、不信感だけが高まっている。
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【「やめろ!と言い続ける」】
 「汚染水を海に流さないで!」
 小名浜の海を背に、市民たちが声をあげた。政府が海洋放出方針を正式に発表して丸1年。東電「福島第一廃炉推進カンパニー」の担当者は「漁業者の皆様をはじめ地元の方々や、関係する皆様へのていねいな説明などを行い1人でも多くの皆様のご懸念を払拭し、ご理解やご信頼を賜れるよう努力を続けてまいりたい」と繰り返すが、「ご懸念」が残り、「ご理解」が得られたとは言えない状況のなか、来年にも始まるとされる海洋放出への準備が着々と進められている。
 「これ以上海を汚すな!市民会議」共同代表の織田千代さんは「政府の発表から1年が経ってしまいました。どうしたら良いのか…。私たちの声など聴こえないかのように海洋放出の準備が進められています」と話した。
 「いつの間にか海底トンネルで汚染水を海に流す計画になっているし、どうしたら良いのかなと考える事態になってしまいました。『汚染水を海に流さないで』と叫び続けるのは大切です。やめろ!と言い続けなければいけません。それぞれの立場でがんばっていきましょう」
 「皆さんの運動は国や東電にボディブローのように効いている」と話したのは、古市三久県議(県民連合)。
 「膨大な量のトリチウムを30年にわたって流し続けるということは環境汚染以外の何物でもありません。タンクでの陸上保管を続けて、技術の進歩などでわれわれが受け入れられる状況になったときに、改めて海に流すのか保管を継続するのか議論するべきです」
 「魚類の免疫学」を専門とする鈴木譲さん(東京大学名誉教授、NPO法人「高木仁三郎市民科学基金」理事)も反対の声をあげた。
 「魚の異常の有無を調べることで、汚染水が放出された後の状態と比較することができます。このままいけば海洋放出を強行するでしょう。でも、データを突きつけて『やめろ』、『危険ではないか』と言うことはできます。海洋放出が始まってしまったからおしまいではなくて、始まった後も止めさせる。トリチウムが安全?世界の原発でトリチウムを海洋放出していることは事実です。健康被害が生じていることもまた、事実です。国内で一番多く放出している玄海原発(佐賀県)の周辺では白血病死が増えているという明確なデータがある。全然安全ではないのです」

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様々な年代の市民が小名浜に集まり、改めて海洋放出反対の声をあげた=アクアマリンパーク

【エネ庁「汚染水と言うな」】
 午前にオンラインで行われた記者会見では、やはり「これ以上海を汚すな!市民会議」のメンバーである片岡輝美さんが、2020年9月以降、3回行われた資源エネルギー庁幹部との意見交換会で見えてきたことについて話した。
 「1回目の意見交換会で、木野正登参事官(廃炉・汚染水対策官)に『東電が2015年に福島県漁連と交わした約束(「関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない」)を破ろうとしている。約束を守るよう東電を指導するのが国の責任ではないか』と質問しました。木野さんの答えは『全くその通り』でした。これは非常に重要な発言です」
 昨年6月に行われた2回目の意見交換会で、片岡さんはミクロネシア連邦のパニュエロ大統領が2021年4月26日、当時の菅義偉首相宛てに送った書簡について取り上げた。大統領は、汚染水の海洋放出に深い懸念を示していた。
 「いくら処理されたとしても私たちにとっては『汚染水』。日本政府が事前協議を行わなかったことに大きなフラストレーションを感じている。タンク貯蔵が効果的で緊急性のある解決方法だ─という内容でした。これに対し、原子力発電所事故収束対応室の奥田修司室長(当時)は『事前協議を行うような内容の決定ではない』と答えました。私たち市民だけでなく諸外国の懸念も軽んじているということが分かります」
 3回目は昨年11月。このときには、事前にエネ庁側から釘をさされたという。
 「数日前に、こう言われました。『汚染水を海洋放出するという宣伝を地元でするのはやめてください。明らかな事実誤認です。汚染水の海洋放出ではなく、ALPS処理水の海洋放出について正しい情報をお伝えするために説明活動を行っています。皆さんもこの点にご配慮いただきたい』。つまり、私たちの理解が間違っていると。まるで私たちの言葉を統制するかののような物言いで、大きな憤りを感じています」
 復興庁が理解醸成目的で作成したチラシ「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」でも「誤った情報に惑わされないために」などの表現が使われている。
 片岡さんは「海洋放出に反対する意見は間違った情報である。わずかな疑問も反対意見も受け止めない。国の説明を理解するのが当然だという内容で、もはや原子力行政における思想統制です」と指摘。
 「民主主義の基本である合意形成のプロセスが全く体を成していません。今後も市民との意見交換の場である公聴会を開くよう強く求めていく。そもそも、1年経っても市民の『理解』が深まらないのだから海洋放出計画は撤回するべきです」と訴えた。

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「これ以上海を汚すな!市民会議」の片岡輝美さんは、13日午前に行われたオンライン記者会見で原子力行政の言論統制・思想統制の問題点について指摘した

【「声を上げ続けます」】
 「これ以上海を汚すな!市民会議」は、政府の海洋放出方針決定から1年にあたり、織田千代さん名のアピール文を公表した。
 「2011年3月福島で原発事故が起こりました。それは故郷を奪い日常を一瞬で変えてしまう瞬間でした。人々は放射能の影響を避けるために避難をしたり、除染や測定をしたり、本当に大変な努力を続けてきました。漁業は試験操業が続き、ようやく本操業ができるかもしれないとなった昨年4月13日、汚染水の海洋放出の政府決定がありました。
 『関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない』という漁業者との約束を反故にし、公聴会、パブコメ、署名などで専門家も含む多数の市民から反対意見が続出し、県内自治体議会の7割で反対や慎重対応を求める声が上がり続けていた中での突然の決定でした。
 政府と東電は、福島の復興のため丁寧に説明を続ける、と言いながら海洋放出の準備を進めようとしています。流されようとしているものは1度流してしまったら取り返しがつかないものです。その中にどのようなものが含まれ、どれだけの量がいつまで流され、どんな風に広がって流れ、どんな影響が出るのか、情報は不十分なまま海底トンネルを使って放出する計画を進め、漁業者向けの補償や魚類の生育実験の話を出して、影響を矮小化させる動きも見られます。それで人々の安心は本当に得られるのでしょうか。
 原発事故後11年目となる現在、その事故の影響についての詳しい情報は、日に日に減らされつつあると感じます。世界中の原発から流されていて身近に有るものといいながら、トリチウムは安全とする副読本やチラシが全国小中学校に配布されました。しかしそれが原発事故炉から流される水であること、放射性物質は内部被曝が心配されること、どんな危険性があり、いつまで流し続けなければいけないのか、は言われていません。
 私たちが汚染水を海に流すな!と声を上げた時に、経産省資源エネルギー庁は、放出するのは処理水なのだから、汚染水という言葉を使ってまわりに宣伝しないように、と指示してきました。
 事故後に感じた放射能への恐れ、とは別の、国と東電への不信感が私たち市民を苦しめていると感じます。
 最近もまた大きな地震があり、原発は大丈夫なのかと言う心配がよぎり、事故後の人々の混乱がフラッシュバックします。私たちはあの時の思いを今も忘れられません。どんなに薄めたからといって、人為的に放射能を拡散することは、原発事故の影響が続くことを意味します。
 今も、海の景色は事故前と変わらずゆったりと私たちのそばにあり、人々は少しでも健康に日常を暮らし、子供を育てたいと願って生きています。それは世界中のどの場所でも共通の思いです。その大切な日常を守るために、私たちは声を上げ続けます」



(了)
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プロフィール

鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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