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【133カ月目の飯舘村はいま】被曝リスクは無視して再開? オートキャンプ場が今週末オープン 村民からは「汚染状況の公開を」との声

避難指示解除後も放射能汚染が残る福島県相馬郡飯舘村の「あいの沢」で23日、オートキャンプ場の利用が始まる。村内の汚染状況を測定し続けている村民からは「放射線管理区域よりも汚染されている場所をオートキャンプ場にするなんて考えられないが、せめて徹底的に測って結果をフルオープンにする。判断材料を提供するべき」との声があがり、村議会からも「空間線量を掲示するべきだ」との指摘があるが、村役場は消極的。「急ピッチで準備を進めている」とは言うものの、利用開始が迫った今になってもまだ、村のホームページでも現地でも、「あいの沢」の汚染状況や被曝リスクは示されていない。
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【奥の林は0・9μ㏜/h超】
 オートキャンプ場がオープンするのは「村民の森あいの沢」。震災・原発事故後は利用されていなかったが改めて15区画整備され、電源も使えるようになっている。23日から利用が始まるが、利用者からできるだけ多くの感想や意見を集めたいとの理由から、利用料は「当面の間」無料。セレモニーなどは行わないという。
 村は「あいの沢」を「観光・交流の拠点」として位置づけており、オートキャンプ場は交流人口拡大策のひとつ。杉岡誠村長は昨年12月10日の村議会で「『きこり・あいの沢利活用検討プロジェクトチーム』を設置し、再開に向けた協議を始めております」と答弁。
 高橋祐一副村長も同月14日の村議会で「まずは令和4年の春から、あいの沢キャンプ場の再開を目指した準備を進めております」、「長期ブランクを経ての再開であるため、施設の管理運営面からすぐに全面オープンすることは難しいと考えており、オートキャンプ場をメインに徐々に活用エリアを増やしていきたいと考えているところ」、「村の重要な観光・交流の拠点でありますので、今後
もプロジェクトチームにとどまらず、幅広くご意見をいただきながら検討を重ね、より利用しやすく皆様に喜んでいただける施設となるよう努力してまいりたいと考えております。また、村内外に広く情報発信をしながら、交流人口、関係人口の拡大を図ってまいります」と答弁するなど〝復興〟の起爆剤にしたい思惑がうかがえる。
 しかし、問題は原発事故による放射能汚染と被曝リスクだ。
 村民で〝測定の鬼〟と呼ばれるほど農産物や土壌を測り続けている伊藤延由さんの測定では、オートキャンプ場のなかのある区画で空間線量は毎時0・45~056マイクロシーベルト、林に入ると毎時0・92マイクロシーベルトに達した。
 それだけではない。少し離れた「自然体験の森」の土壌は1平方メートルあたり39万ベクレルを超えた。これから整備されると思われる旧キャンプ場では1平方メートルあたり500万ベクレル超。「放射線管理区域」の基準値が「1平方メートルあたり4万ベクレル」だから、いかに高濃度の汚染が続いているかが分かる。森には外部被曝だけでなく内部被曝のリスクも存在するのだ。

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23日のオープンに向け、村のホームページでもオートキャンプ場の利用受付開始が告知されている。しかし、広報紙でもホームページでも放射能汚染や被曝リスクに関する記述はない。現地にもない

【村議会でも「線量掲示せよ」】
 実は昨年12月の村議会で、「あいの沢」での被曝リスク表示の問題が取り上げられている。
 渡邊計村議は次のように指摘した。
 「線量計をつけられないんだったら、看板を置いて何月何日に線量を測りましたよと。いくらいくらありましたよと。あとはそこで遊ばせるか、遊ばせないかは親御さんが判断することであるわけで、ただ、何も書いていない状況であそこの線量がいくらあるか分からない」
 佐藤八郎村議も「私も自分であいの沢、何度となく何十回も計測していますけれども、数値はすごいものであります。村でも測ったときにすごかったものを実測値として持っておりますので、それより私どもが測ったのはもっと高かったです」として「放射能という目に見えない、臭いがしないものに対する国、東電の情報収集をしながら、村民に寄り添った行政とされているのかどうかが問われるのは、見えるか、分かるかですよ。簡単に自分で計測しなくても分かる、見えるという状況をつくればいいわけであります」と述べた。
 今年3月の村議会では、直接「あいの沢」に言及したものではないものの、横山秀人村議が「ある市では、公園など子どもたちが多く集まる場に放射線量の数値看板が設置されています。子どもたちが集まる施設や公園などにおいては放射線量の数値を伝え、より安心して楽しんでいただくことが大事」として、村民だけでなく村を訪れる人々に対して放射線量を知らせする村の方針や方法について質した。
 これに対し、三瓶真・産業振興課長は「村を訪れる方、特にお子さんがいいる保護者などが放射線量の数値を確認できるようにし、より楽しく飯舘村で過ごしていただける環境を構築していくことは大事であると村も認識しております。現在村内には国設置のモニタリングポストが44基、県設置が13基、村設置が90基の計147基あり、その全てが現地でデジタル電光板をご確認いただけるほか、村のホームページ上でも数値をご覧いただけるようになっております。安心して村内に訪れていただき今の村を楽しんでいただけるよう、放射線量の数値公表に努めてまいります」と答弁した。
 しかし、今のところオートキャンプ場を含めて「あいの沢」に空間線量などの表示はない。あるのは管理棟前に設置されたモニタリングポストだけだ。

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村内を測り続けている伊藤延由さんの測定では、オートキャンプ場の空間線量は毎時0・45~056マイクロシーベルト、林に入ると毎時0・92マイクロシーベルトに達した

【村役場「線量お示しする」】
 伊藤さんは「放射線管理区域よりも汚染されている場所をオートキャンプ場にするなんて考えられない。ましてや子どもを連れてくるなんて…」としたうえで「せめて徹底的に測って、その結果をフルオープンにする。きちんと判断材料を提供して、被曝リスクを理解したうえで自己判断で遊びに来るのは良いと思う」と話す。
 「とにかく情報公開が第一。利用開始を告知している村のホームページでも全く放射能に触れていないし、現地に来てもモニタリングポスト以外はない。飯舘村にある放射性物質は無害だと言うのか?周囲から放射線が飛んでくるような場所が子どもたちも遊ぶ場としてふさわしいとは思えない。『安全・安心・健康』に関しては予防原則に従うべきだが、原発事故に関しては全く無視されている。オートキャンプ場として誘客するのなら、せめて空間線量を表示するべきだ」
 取材に応じた佐藤正幸・村づくり推進課長は「しっかり管理して、空間線量も測っている。結果については受付でお示しする。確かに放射線管理区域より高い部分もあるが、この状況で大丈夫だという方に使っていただきたい。引き続き測定は続けており、受付や電話申し込みの際に示せるようにする。図面でも空間線量を表示できるよう指示している。土曜日から使い始めるが現在準備中。初日までにはホームページ上にも掲載できるよう急ピッチで準備を進めている。管理棟に掲示するか、問い合わせの際に案内するか、準備中だがしっかりやります。立て看板や柵なども急ピッチで進めている」と答えた。
 「連休などでキャンプをしたいという問い合わせや要望は多い。『いつオープンするんですか?』との声もある。使いたい人には安全性を確認して利用してもらえるよう急ピッチで進め、初日には間に合わせる。今後、ホームページ上にも掲載するよう準備している。表示しないと安心してもらえない。ていねいに対応する。1泊するくらいなら問題ないと考えている?そうではないが自己判断で利用していただく」
 原発事故発生から11年経ってもなお、放射能汚染は続いているのが現実。特に子どもの無用な被曝を避けるために務めるのが大人の役目だ。それを怠っていては真の復興はあり得ない。



(了)
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鈴木博喜

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