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【135カ月目の汚染水はいま】内堀知事に届け「汚染水を海に流すな!」「これ以上海を汚すな!」の願い 県議会初日に福島県庁前で抗議行動「事前了解しないで!」

原発事故後にたまり続ける福島第一原発内の汚染水を政府と東電が来年にも海に流そうとしている問題で、福島県内外の市民たちが21日午前、福島県庁前に集結。改めて「海洋放出反対」を訴えた。この日は福島県議会の初日。議場では、内堀雅雄知事が海洋放出計画そのものや、東電から提出されている「事前了解願い」への具体的な賛否を口にしないまま秋の知事選への立候補を表明した。「内堀知事はみんなの海を守ってください」、「内堀知事は海の生き物を守ってください」、「内堀知事は工事の了解をしないでください」、「県議会議員のみなさん、福島の海を守りましょう」という市民の声は知事や県議に届いただろうか。
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【「みんなの海を守って!」】
 「国内外から多くの反対があるなかで、政府は2021年4月13日に海洋放出方針を強引に決定。それを待っていたかのように、東電は着々と準備を進め、工事を始めてしまっています。このようなやり方は民主主義に著しく反します。それに〝ALPS処理汚染水〟には、多くの放射性物質が含まれています。海水で薄めて濃度の基準を守って海に流すと言っていますが、総量規制はありません。何十年もの間、海に流し続けることになります。生態系にどのような影響を及ぼすのか分かりません。様々な人々が海に流さない方法を提案しています。海は世界とつながっています。海は私たちだけのものではなりません。地球に生きるあらゆる生き物の共有財産です。これ以上、海を汚染してはいけません。内堀知事は海洋放出を止めることができます。東電から出されている『事前了解願い』に了解しなければ良いのです。どうか私たちの声を聴いてください。みんなの海を守ってください。事前了解をしないでください」
 まずマイクを握ったのは呼びかけ人の1人である武藤類子さん。
 帰還困難区域に指定され続けている浪江町・津島地区から避難した三瓶春江さんは「海に流すことで将来、子や孫に健康被害が出ないなどとは誰も分からない。最終的には、国は再び最高裁判決のように逃げるに違いありません。内堀知事、県民の命を、子どもたちを、どうか守ってください。私たちは国から見放されました。福島県は私たちの訴えに寄り添ってください」と訴えた。
 郡山市の女性は「子や孫へどんな未来を残すのか。どんな福島を残すのか。内堀知事、海は誰のものですか?海洋放出はしないでいただきたい。内堀知事の決断を福島県民が日本が世界が注目しています」。福島市の女性も「福島の海や自然を守っていきたい」と訴えた。三春町の男性は「東電の今のやり方では地下水の建屋への流入は止まらない。ということは、タンクの汚染水も減らない。知事や県議会がやるべきことは海洋放出を認めることではなく、地下水の流入をきちんと止めさせることではないか」とマイクを握った。そして、こう呼びかけた。
 「声をあげ続ければ必ず変わる」

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福島県内外から100人を超える市民が福島県庁に集まり、改めて「原発汚染水の海洋放出反対」を訴えた

【「国や東電信頼できぬ」】
 抗議行動には、最高裁で17日、原発事故に関する国の責任を認めない判決を言い渡されてしまった「群馬訴訟」原告・丹治杉江さん(福島県いわき市から群馬県前橋市に原発避難)の姿もあった。
 「海洋放出に反対する理由?いくつもあるんだけど、この間の国や東電の振る舞いを見ていると『安全基準は守ります』だとか『希釈して海に流すから大丈夫』などと言っていることが信頼できないんです。それが第一の理由です」
 東京高裁での控訴審では2019年9月、国が提出した準備書面で、丹治さんのように政府の避難指示が出されなかった区域からの避難(いわゆる〝自主避難〟)について「平成24年1月以降について避難継続の相当性を肯定し、損害の発生を認めることは(中略)低線量被ばくは放射線による健康被害が懸念されるレベルのものではないにもかかわらず、平成24年1月以降の時期において居住に適さない危険な区域であるというに等しく、自主的避難等対象区域に居住する住民の心情を害し、ひいては我が国の国土に対する不当な評価となるものであって、容認できない」とまで言われた。そして最高裁での国の責任の否定判決。丹治さんは疲労や落胆を癒やす間もなく、福島県庁前で海洋放出反対を訴えた。
 「放射性物質による内部被曝がとても不安なんです。それが2つ目の理由。汚染水を海に流すことによる食物連鎖への影響がとても心配です。3つ目は、海に流す以外の方法もあるのに、なぜ多くの人が反対している海洋放出を強行しようとしているのか。漁業者など『関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない』と言っていたじゃないですか。理解もなければ、福島県の事前了解もないのに海洋放出に向けた工事を着々と進めるやり方は、本当に姑息で許せません
 これまでは裁判闘争に集中していたため反対運動に参加できなかった、と丹治さん。残念な形ではあったが裁判が一段落したことで「これからは積極的に『海洋放出反対』の声をあげていきたい」と語った。

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秋の県知事選に立候補し、三選を目指すことを県議会で表明した内堀知事に市民の声は届いただろうか

【知事「国が前面に立て」】
 県庁内の奥にある知事室に届けと、参加者たちは「内堀知事はみんなの海を守ってください」、「内堀知事は子どもたちを守ってください」、「内堀知事は海の生き物を守ってください」、「内堀知事は工事の了解をしないでください」と大きな声で呼びかけた。そして、県議会に出席するために集まっている県議たちにも「県議会議員のみなさん、福島の海を守りましょう」、「海は全ての命の源です」、「私たちはこれ以上、海を汚したくありません」、「東電に汚染水を流させないでください」と訴えた。
 一方の内堀知事は、13時に開会した県議会に出席するべく議場にいた。
 「県政の当面の諸課題に関する所信の一端」のなかで、汚染水の海洋放出計画について次のように述べた。
 「ALPS処理水の取り扱いにつきましては今月10日、経済産業大臣に対し、農林水産業や観光業の事業者をはじめとした関係の方々へていねいな説明を行うとともに、関係者の声をしっかりと受け止め、理解が深まるよう取り組むことなどを改めて求めてまいりました。ALPS処理水の問題は福島だけでなく日本全体の問題であることから、今後も国が前面に立ち、行動計画に基づきながら責任を持って取り組むよう、あらゆる機会を通じて求めてまいります。また先月、ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等について、東京電力が原子力規制委員会に提出していた『福島第一原子力発電所の実施計画変更認可申請(ALPS処理水の海洋放出関連設備の設置等)に係る審査書案』が了承されました。これに伴い、県では廃炉安全監視協議会等を開催し、当該審査書案の内容を確認したところであり、引き続き関係市町村や専門家の意見を伺いながら計画の安全面に関する確認作業を進めてまいります」
 そして、秋の県知事選への立候補を正式表明した。
 「就任2期目においても〝現場主義〟の理念の下、県内各地に足を運び、県民のみなさんの切実な想いを伺いながら、それらを県政に反映させる努力を続けてまいりました」
 「福島の未来を切り開いていくことが知事としての使命であると考えております」
 「来る秋の知事選挙におきまして改めて県民のみなさんからご負託をいただけるのであれば、引き続き福島県知事の使命を自らに与えられた使命とし、揺るぎない信念の下、全身全霊で挑戦を続けてまいる覚悟であります」
 福島市から京都に避難した宇野朗子さんは訴える。
 「内堀知事は、もっと多くの県民の声、国民の声、世界中の人々の声に耳を傾けてください。公聴会を開いてください」
 知事や県議に声は届いただろうか。



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
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