【参院選2022】自民・安倍晋三氏が星北斗候補の応援演説~「医療」メインに原発事故には触れず 〝軍拡〟の必要性もちゃっかりアピール 地元市長は熱く〝安倍ヨイショ〟
- 2022/07/06
- 18:43
安倍晋三元首相が5日夕、福島県田村市の「リオン・ドール船引店」を訪れ、福島選挙区に自民党公認で出馬している星北斗氏(前県民健康調査検討委員会座長)の応援演説を行った。6年前の参院選で失った議席を取り戻すべく「素晴らしい候補者」、「ただちに戦力になる男」と持ち上げた一方、「国を守っていくのは私たち自身」などとして〝軍拡〟の必要性を訴えることも忘れなかった。地元議員の動員にもかかわらず聴衆はまばらで、駐車場を埋め尽くすほどにはならず。地元・田村市の市長が満面の笑みで〝安倍ヨイショ〟を熱く語る姿ばかりが印象に残った。星候補も含め、原発事故には誰も触れなかった。

【〝軍拡〟の必要性も強調】
「星北斗さん、素晴らしい候補者じゃありませんか。ただちに戦力になる男。なんとか私たち、議席を奪還したい。やっぱりみなさん、この地域には与党の議員が必要なんです」
軽トラを使った即席演説台の下では、星候補が恐縮した様子で安倍氏の演説を聴いていた。
「阪神淡路大震災のときには現場に行って現場責任者の1人として本当に大きな実績をあげてきた。東日本大震災の際には医師として様々な対策を行政とともにうってきたのが星北斗さん」
「そして今度のコロナ対策。医師会において陣頭指揮を執って感染症対策を行った。郡山で星さんがつくった仕組みが郡山モデルとして多くの自治体が習うという大きな成果をあげてきました。そしてワクチン接種。150万接種体制を郡山でしっかりと構築してきたのも星北斗さんであります」
「大変厳しい戦いであります。福島県というのはそう簡単な選挙区ではありません。残念ながら6年前には法務大臣をやっていた岩城(光英)さんでも勝利を得ることができなかった。今度こそ、今度こそですね、この地域で政権を取り戻して福島の未来を一緒につかんでいこうではありませんか」
〝ヨイショ〟はここまで。ここから話は経済政策に移った。
「いまの物価高。みなさんも大変苦労しておられると思います。しっかりと予算をつぎ込みながらガソリンの値上げを1リットル210円になるのをなんとか170円にまで抑えこんでいます。予備費が5兆円ありますから、これも活かして様々な対策を機動的に私たちは進めていく決意であります」
〝軍拡〟を訴えることも忘れない。
「この瞬間もウクライナに対するロシアの侵略が続いています。国を守っていくのは私たち自身なんです。私たちの努力なしには日本の領土・領海・領空も、私たちの誇りも守り抜いていくことはできません」
「同盟国は大切。集団的自衛権を行使し合う仲間が絶対に必要であります。今から7年前に平和安全法制をつくって日本とアメリカはお互いに助け合うことができる〝本当の同盟〟に変わりました。アメリカが日本を守るということはアメリカの若い兵士が日本のために命をかけるということ。愛する人が日本のために命を賭けるということをアメリカの国民が理解しなければ、同盟はただの紙切れになってしまいます。どうかご理解いただきたい」
安倍氏は当然、県民健康調査検討委員会での星候補の座長としての振る舞いなど知るまい。



星北斗候補の応援に駆けつけた安倍晋三氏。「素晴らしい候補者」、「ただちに戦力になる男」と
持ち上げた一方、軍拡の必要性を訴えることも忘れなかった=リオン・ドール船引店
【田村市長は安倍ヨイショ】
実はこの日、安倍氏以上に熱弁をふるったのが田村市の白石高司市長だった。
「今日は、星北斗候補の応援に、あの安倍元総理がおいでになるということで、ちょっといろいろ調べてきた」
まずは安倍氏への〝ヨイショ〟だ。
「震災後に安倍元総理が言った言葉。『被災地の復興なくして日本の未来はない』とおっしゃいました。私は、この言葉を総理の口から聞いて大変感動致しました。もしかすると福島という地域はチェルノブイリみたいになってしまう恐れがございました。しかし時の安倍総理は『福島の復興なくして日本の再生なし』と何回も何回も言っていただきました。これには私は大変感動致しました。その頃はまだ民間人でしたが、大変感動致しました。そしてみなさん、あれ以降、国政選挙の〝第一声〟は全て福島です。そのことをみなさん、お忘れなく。それはとりもなおさず政権与党である自民党が、この福島に対して本気だという証拠だと私は受け取っております。ですから必ず、この福島の復興を成し遂げるんです。そのためにはやっぱり選挙で勝たなければいけない」
もはや誰への「応援」なのか分からない。
「安倍総理は日本の総理大臣のなかで最長不倒距離の就任期間」、「なんと安倍総理が外遊した飛行距離、158万1281㎞でございます。実に地球40周。これだけ世界を飛び回ったなか、選挙のときは必ず福島に来る。そして、それ以外にも度あるごとに福島に足を運んでいただいた。私はそのことが非常に大切だと思います」
で、ようやく星候補の話になった。
「その安倍元総理がわれらの星北斗候補のために、この田村に来る。ここをみなさん、お忘れなく。どれだけ重要視しているかです」
白石市長が期待しているのはズバリ、予算措置だった。
「ぜひ自民党に地元の候補である星北斗医師を送り込んで、原発震災復興も含めて地域医療のあり方をしっかりお金をつけていただく。そして政策をつくっていただく。このことをしっかりやりながら、私たち田村市もしっかりと市民病院をつくりながら、それを受けられる体制を今つくろうとしております。投票日のふたが閉まるまでが選挙運動。この田村地域の医療をしっかりするためにも、星北斗候補に勝利の女神に微笑んでいただけるように、みなさまの力をお貸しください。どうかよろしくお願い致します」
たむら市民病院の指定管理者は、公益財団法人星総合病院だ。



(上)田村市の白石高司市長は、安倍氏への〝ヨイショ〟を長々と熱く語った
(中)「医療の専門家、そして私の後援会長でもあります。私がつらいとき、いつも励ましてくれました」と語ったのは森まさ子参院議員
(下)選挙公報に掲載されたプロフィールでは、座長の部分が太字になっている
【「市民病院は片肺飛行」】
最後に登壇した星候補。「安倍晋三先生にこんな応援演説をしていただける。本当に私は幸せ者だなと思いました」と口にした。そして、3つの課題を挙げた。
「まず医療です。確かに市民病院ができました。でも片肺飛行。そして周辺地域への影響はまだまだ少ないです。病院を一つ持ったら自治体は大変な想いをする。しかしそれを皆で支えながら中山間地域の医療を守っていく。そのモデルをぜひ田村市から全国に発信をし、そして予算や制度、場合によっては法律をしっかりと変えてみなさんの医療を守っていく決意でございます。このことはお約束をしたい」
「田村市の農業、林業、そして製造業。さまざまな日本を支える産業の中心的な場所であります。しかし農業は大きく傷ついています。林業もある意味、曲がり角にあると言われています。しかし、これだけの世界的な状況にあって食糧自給率が37パーセント、建築資材はほぼ外国からの輸入物に限られていた。こんな状況でわが国の将来は開けないのではないか。農業の担い手であるみなさんが次の世代へ誇りと自信と喜びをもってつないでいく。それにはやはり何かが足りない。やってみたい、継いでみたいと思わせるものでなければいけない。そういうことに変えていかなければいけない。次の担い手をしっかりと育てて次の世代にバトンを渡すことで地域を守っていこうではありませんか」
「もう一つ大切なのは少子化の問題。東京は合計出生率1を切っています。福島はまだ1を上回っている。何とか増やしていける。しかし大部分が県外に流出してしまう、この街に残ってくれない。この状況が改善されない限りはこの街の未来は開けないと思っています。みなさんと一緒に次の世代を育む。育まれた命が次の生業をしっかりと引き継ぐ。そういう未来を、この田村市に築こうではありませんか」
原発事故による放射能汚染、被曝リスクによる健康への影響、原発汚染水の海洋放出問題など、原発事故にかかわる問題には一切触れなかった。「医療」を連呼し、「全国の見本になるような姿を具体的につくってまいります。そのためには市長さんの大いなる奮闘と国や県をあげての応援が必要。しっかりと取り次ぎ、みなさんに納得してもらえる医療体制を一緒になってつくってまいります。生業ともども、この街が輝きを増して外からも来たくなるような次の世代が喜んで戻ってくるような街にしていこうではありませんか」と訴えた。
星候補は最後にこう言った。
「星北斗は言ったことは守ります。みなさんの期待にしっかりと応えてまいります。政権与党が安定した基盤で未来を語る、未来をつくる。参議院選挙は〝未来選択選挙〟です。星北斗にぜひともやらせてください」
福島県民の選択は月曜日の未明にも判明する見通し。
(了)

【〝軍拡〟の必要性も強調】
「星北斗さん、素晴らしい候補者じゃありませんか。ただちに戦力になる男。なんとか私たち、議席を奪還したい。やっぱりみなさん、この地域には与党の議員が必要なんです」
軽トラを使った即席演説台の下では、星候補が恐縮した様子で安倍氏の演説を聴いていた。
「阪神淡路大震災のときには現場に行って現場責任者の1人として本当に大きな実績をあげてきた。東日本大震災の際には医師として様々な対策を行政とともにうってきたのが星北斗さん」
「そして今度のコロナ対策。医師会において陣頭指揮を執って感染症対策を行った。郡山で星さんがつくった仕組みが郡山モデルとして多くの自治体が習うという大きな成果をあげてきました。そしてワクチン接種。150万接種体制を郡山でしっかりと構築してきたのも星北斗さんであります」
「大変厳しい戦いであります。福島県というのはそう簡単な選挙区ではありません。残念ながら6年前には法務大臣をやっていた岩城(光英)さんでも勝利を得ることができなかった。今度こそ、今度こそですね、この地域で政権を取り戻して福島の未来を一緒につかんでいこうではありませんか」
〝ヨイショ〟はここまで。ここから話は経済政策に移った。
「いまの物価高。みなさんも大変苦労しておられると思います。しっかりと予算をつぎ込みながらガソリンの値上げを1リットル210円になるのをなんとか170円にまで抑えこんでいます。予備費が5兆円ありますから、これも活かして様々な対策を機動的に私たちは進めていく決意であります」
〝軍拡〟を訴えることも忘れない。
「この瞬間もウクライナに対するロシアの侵略が続いています。国を守っていくのは私たち自身なんです。私たちの努力なしには日本の領土・領海・領空も、私たちの誇りも守り抜いていくことはできません」
「同盟国は大切。集団的自衛権を行使し合う仲間が絶対に必要であります。今から7年前に平和安全法制をつくって日本とアメリカはお互いに助け合うことができる〝本当の同盟〟に変わりました。アメリカが日本を守るということはアメリカの若い兵士が日本のために命をかけるということ。愛する人が日本のために命を賭けるということをアメリカの国民が理解しなければ、同盟はただの紙切れになってしまいます。どうかご理解いただきたい」
安倍氏は当然、県民健康調査検討委員会での星候補の座長としての振る舞いなど知るまい。



星北斗候補の応援に駆けつけた安倍晋三氏。「素晴らしい候補者」、「ただちに戦力になる男」と
持ち上げた一方、軍拡の必要性を訴えることも忘れなかった=リオン・ドール船引店
【田村市長は安倍ヨイショ】
実はこの日、安倍氏以上に熱弁をふるったのが田村市の白石高司市長だった。
「今日は、星北斗候補の応援に、あの安倍元総理がおいでになるということで、ちょっといろいろ調べてきた」
まずは安倍氏への〝ヨイショ〟だ。
「震災後に安倍元総理が言った言葉。『被災地の復興なくして日本の未来はない』とおっしゃいました。私は、この言葉を総理の口から聞いて大変感動致しました。もしかすると福島という地域はチェルノブイリみたいになってしまう恐れがございました。しかし時の安倍総理は『福島の復興なくして日本の再生なし』と何回も何回も言っていただきました。これには私は大変感動致しました。その頃はまだ民間人でしたが、大変感動致しました。そしてみなさん、あれ以降、国政選挙の〝第一声〟は全て福島です。そのことをみなさん、お忘れなく。それはとりもなおさず政権与党である自民党が、この福島に対して本気だという証拠だと私は受け取っております。ですから必ず、この福島の復興を成し遂げるんです。そのためにはやっぱり選挙で勝たなければいけない」
もはや誰への「応援」なのか分からない。
「安倍総理は日本の総理大臣のなかで最長不倒距離の就任期間」、「なんと安倍総理が外遊した飛行距離、158万1281㎞でございます。実に地球40周。これだけ世界を飛び回ったなか、選挙のときは必ず福島に来る。そして、それ以外にも度あるごとに福島に足を運んでいただいた。私はそのことが非常に大切だと思います」
で、ようやく星候補の話になった。
「その安倍元総理がわれらの星北斗候補のために、この田村に来る。ここをみなさん、お忘れなく。どれだけ重要視しているかです」
白石市長が期待しているのはズバリ、予算措置だった。
「ぜひ自民党に地元の候補である星北斗医師を送り込んで、原発震災復興も含めて地域医療のあり方をしっかりお金をつけていただく。そして政策をつくっていただく。このことをしっかりやりながら、私たち田村市もしっかりと市民病院をつくりながら、それを受けられる体制を今つくろうとしております。投票日のふたが閉まるまでが選挙運動。この田村地域の医療をしっかりするためにも、星北斗候補に勝利の女神に微笑んでいただけるように、みなさまの力をお貸しください。どうかよろしくお願い致します」
たむら市民病院の指定管理者は、公益財団法人星総合病院だ。



(上)田村市の白石高司市長は、安倍氏への〝ヨイショ〟を長々と熱く語った
(中)「医療の専門家、そして私の後援会長でもあります。私がつらいとき、いつも励ましてくれました」と語ったのは森まさ子参院議員
(下)選挙公報に掲載されたプロフィールでは、座長の部分が太字になっている
【「市民病院は片肺飛行」】
最後に登壇した星候補。「安倍晋三先生にこんな応援演説をしていただける。本当に私は幸せ者だなと思いました」と口にした。そして、3つの課題を挙げた。
「まず医療です。確かに市民病院ができました。でも片肺飛行。そして周辺地域への影響はまだまだ少ないです。病院を一つ持ったら自治体は大変な想いをする。しかしそれを皆で支えながら中山間地域の医療を守っていく。そのモデルをぜひ田村市から全国に発信をし、そして予算や制度、場合によっては法律をしっかりと変えてみなさんの医療を守っていく決意でございます。このことはお約束をしたい」
「田村市の農業、林業、そして製造業。さまざまな日本を支える産業の中心的な場所であります。しかし農業は大きく傷ついています。林業もある意味、曲がり角にあると言われています。しかし、これだけの世界的な状況にあって食糧自給率が37パーセント、建築資材はほぼ外国からの輸入物に限られていた。こんな状況でわが国の将来は開けないのではないか。農業の担い手であるみなさんが次の世代へ誇りと自信と喜びをもってつないでいく。それにはやはり何かが足りない。やってみたい、継いでみたいと思わせるものでなければいけない。そういうことに変えていかなければいけない。次の担い手をしっかりと育てて次の世代にバトンを渡すことで地域を守っていこうではありませんか」
「もう一つ大切なのは少子化の問題。東京は合計出生率1を切っています。福島はまだ1を上回っている。何とか増やしていける。しかし大部分が県外に流出してしまう、この街に残ってくれない。この状況が改善されない限りはこの街の未来は開けないと思っています。みなさんと一緒に次の世代を育む。育まれた命が次の生業をしっかりと引き継ぐ。そういう未来を、この田村市に築こうではありませんか」
原発事故による放射能汚染、被曝リスクによる健康への影響、原発汚染水の海洋放出問題など、原発事故にかかわる問題には一切触れなかった。「医療」を連呼し、「全国の見本になるような姿を具体的につくってまいります。そのためには市長さんの大いなる奮闘と国や県をあげての応援が必要。しっかりと取り次ぎ、みなさんに納得してもらえる医療体制を一緒になってつくってまいります。生業ともども、この街が輝きを増して外からも来たくなるような次の世代が喜んで戻ってくるような街にしていこうではありませんか」と訴えた。
星候補は最後にこう言った。
「星北斗は言ったことは守ります。みなさんの期待にしっかりと応えてまいります。政権与党が安定した基盤で未来を語る、未来をつくる。参議院選挙は〝未来選択選挙〟です。星北斗にぜひともやらせてください」
福島県民の選択は月曜日の未明にも判明する見通し。
(了)
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