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【136カ月目の汚染水はいま】「結論出すのは時期尚早、受け入れがたい」漁業者らが小名浜で海洋放出反対集会~リレートークやパレードで「海に流すな!」

「海の日」の18日午後、原発汚染水の海洋放出計画に反対する「海の日アクション2022 汚染水を海に流すな!~海といのちを守るパレード~」が福島県いわき市小名浜のアクアマリンパークで行われた。リレートークでは地元漁協幹部が「考える余地はまだまだある。結論を出すのが早い。国や東電は再度検討していただきたい」と訴えるなど、改めて海に流さないよう求めた。終了後には、会場周辺をパレード。福島県などの事前了解を得ていないにもかかわらず来年の海洋放出に向けて準備を進めている国や東電に対して怒りの声をあげた。「これ以上海を汚すな!市民会議」の主催。
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【「国や東電は再検討を」】
 「考える余地はまだまだある。結論を出すのが早い。国や東電は再度検討していただきたい」
 リレートークに参加した「小名浜機船底曳網漁業協同組合」理事の柳内孝之さんは、改めて海洋放出反対を訴えた。
 「原発事故でわれわれ漁業者は大変な被害を受けております。大きな津波で操業や魚市場の営業ができなくなりました。原発から大量の放射性物質が海に流れたということで、その影響がどのくらいになるのか、さっぱり分かりませんでした。情報も知識もなく、遠くで眺めているばかりでした。これ以上海を汚されたらわれわれの仕事が成り立たないと、水産庁や経産省などさまざまな省庁に電話をしたこともありました。われわれの意見を聴いてくれと。でも、どこに電話をしてもたらい回し。結局は、東電が低濃度と言っている汚染水を海に流した。その後、モニタリング検査で汚染が判明して、操業自粛が長く続いています。モニタリング検査を続けるなかで、魚の汚染状況は徐々に改善されてきて、昨年3月には出荷制限がかかっている魚種がなくなりました」
 試験操業を拡大しようというなかでの海洋放出問題。まさに漁業者の足を引っ張る決定だった。
 「復興の段階がひとつ上がったなかで、足を引っ張るというか、操業がどうなるのか。海洋放出されたら、福島の漁業や水産物は消費者に受け入れられるのだろうか。そもそも、われわれは『関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない』という確約をもらっています。しかも文書でもらっているんです。それなのに政府が海洋放出決定を発表するのはあまりにも無謀。そもそも、海に流して大丈夫なのか。『他の原発でもトリチウムを流している』と言うが、他の原発は正常に動いており、ほぼトリチウムのみ。なかには取り除けない放射性物質もあります」
  安全面と風評の両面から不安は募る。
 「海に流すというのは受け入れがたいし、消費者にとってもそこの海産物は足踏みしてしまうでしょう。福島産の水産物の流通がどうなってしまうのか。非常に懸念している。商売をやっていかれるのか。震災前の水揚げと比べると、2割弱くらい。商売としてやっていかれる状況にない。取り扱う業者も減った。水揚げを増やしたときに買ってもらえるのか。立地自治体の方々も本当にみんなが賛成しているのか非常に疑問。原発の問題については多くの意見を聴きながら物事を決めるべきだと思っています」

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(上)「小名浜機船底曳網漁業協同組合」理事の柳内孝之さんは国や東電に再考を求めた
(中)「『心の被曝』が抜け落ちたまま数値だけ見せて全部解決したみたいなマジックを言うな」と怒ったのは、彫刻家の安藤榮作さん
(下)元南相馬市長の桜井勝延氏も参加。「海を汚さないことは命を守ることだ」と語った

【「コスパ優先で良いのか?」】
 奈良県から駆けつけた彫刻家の安藤榮作さん(原発賠償関西訴訟原告)は、震災・原発事故が起こるまで20年にわかっていわき市で暮らしていた。
 「1990年に埼玉県からいわき市に転居しました。いわきの自然と人々が彫刻家に育ててくれました。楽園みたいな場所でした。でも、津波で家も全部流されました。作品も道具もサーフボードも愛犬も流されました。高校生の娘を被曝させるわけにはいかないと、新潟に避難。今は奈良県天理市にいます」
 安藤さんは「被曝したのは肉体だけではない」と強調した。
 「俺たちの心も被曝した。そこの意識が抜け落ちていて、国も東電も分かっていない。除染して空間線量が下がったのだから住めるだろう、帰ってこいと言うが、そうではない。被曝したのは心や意識が被曝した。そこが解決しないと…。僕らが解決して欲しいのは心の部分。そこが原発事故の特異性だと思う。そこに国も東電も取り組んで欲しい。そこが抜け落ちたまま数値だけ見せて全部解決したみたいなマジックを言うな」
 認定NPO法人「いわき放射能市民測定室たらちね」理事の鈴木薫さんは小名浜に生まれ育った。
 「寄せては返す波を遊び道具にして育ちました。自然の厳しさも学びました。海に流さない方法があるのに、生活や命などどうでも良くて、金がかからない方法ならば良いのか。いい加減にして欲しい。本当に腹立たしい」
 満田夏花さん(国際環境NGO FoE Japan理事)は「議論されている『水』がどういう水なのか。何が含まれているのか明らかでない。なかにはストロンチウム90もある。海は人間のゴミ箱ではない。散々、人間は海を汚してきた。海も空も人間のゴミ箱ではないということを肝に銘じないと、とんでもないしっぺ返しを食うことになる」と警鐘を鳴らした。
 リレートークには、2010年から2018年まで南相馬市長を務めた桜井勝延氏も参加した。
 「亡くなられた安倍さんは『アンダーコントロール』と言った。本当にアンダーコントロールで海洋放出が可能ならば、東京湾から流せ。当たり前じゃないですか。福島を差し置いて東京だけ安全ならば良いという考えは許されない。保守であればあるほど原発とは相容れない。自然豊かな日本の国を守り続けることが日本に住み続けるみなさんの命を守ることだ。海を汚さないことは命を守ることだ。みなさんこれからも一緒に闘いましょう」
 一方、桜井氏は市長在任中、除染で生じた汚染土壌の再利用には賛成。推進役を担っていた。

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美しい小名浜の海をバックに行われた集会。パレードでも「海と命を守れ」と訴えた=アクアマリンパーク

【「代替案いくつもある」】
 「これ以上海を汚すな!市民会議」共同代表の織田千代さんは、常に反対運動の先頭に立ち、海洋放出反対を訴えてきた。
 「昨年、政府決定されてしまった汚染水の海洋放出に関して、本当に多くのみなさんが反対し続けています。しかし、東電は『関係者の理解なしには、いかなる処分も行わない』という約束があるにもかかわらず、事前了解の要らない工事を始めてしまっています。漁業者のみなさんをはじめ、私たち市民のアクションや要請書の提出など、訴えているたくさんの声があるはずなのに、いったいどこに行ってしまったのでしょうか。まったく取り上げられないままだと感じています」
 「『海に流すしかないのではないか』と言っている人もたくさんいて、『流すのは〝処理水〟であって、安全なんでしょ?』と考えている人もいます。でも、よく考えて欲しいのです。あの原発事故があったからこそ、この問題が生じていること。トリチウムは世界中の原発で流されているから問題ないと言われていますが、福島第一原発事故に由来する汚染水を福島から流しても問題ないということにはならないのです。いったん放出が始まってしまったら、何をいつまで流すか分からない。大型タンクで長期保管して放射性物質の減衰を待つとか、モルタル固化をするとか、地下水の流入を止める土木工事も提案されています。海洋放出をする前に、まだできることがあるということです。それなのに、国と東電は流す流すと言っています。なぜそんなに急ぐのでしょうか。先日の参院選でも、この海洋放出問題が大きく取り上げられることもなかった。本当に残念です。ども、私たちに絶望している暇はありません。子どもたちの未来にきれいな海を残したい。声をあげ続けましょう!」
 同じく共同代表の佐藤和良さん(いわき市議)は「来年3月以降、福島第一原発から1㎞沖合から海に流すという計画を国と東電が進めている。これは大義のある闘いだ。いくら強権的に進めようとも、すべての命を守るという大義の前には、海洋放出はいかに無謀か。今月中に恐らく、規制委員会が審査書案なるものを正式決定して審査書となり認可されるだろう。認可されようがされまいが、私たちは反対していく。私たちが臆することなく怯まなければ止められるだろう」と檄を飛ばした。
 参加者たちは「イオンモールいわき小名浜」前をパレード。「海に流すな!命を守れ!」と訴えた。



(了)
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