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【原発汚染水を海に流すな】「理解と合意ないまま海洋放出するな」福島市内でデモ行進、県庁前で抗議スタンディング 韓国からも反対メッセージ

反対意見を無視した原発汚染水の海洋放出準備が着々と進められるなか、改めて海洋放出強行に抗おうと「6・20汚染水を海に流すな!福島行動」が20日、福島県福島市内で行われた。福島の市民団体「これ以上海を汚すな!市民会議」(織田千代、佐藤和良共同代表)の主催。福島県議会の初日にあわせた行動で、集会の後にデモ行進し、福島県庁前でも抗議の声をあげた。韓国からも「汚染水の海洋放出は、私たちのような漁民の暮らしだけでなく、この大切な海を滅ぼすということ」というメッセージが寄せられた。福島県の内堀雅雄知事に宛てた要請書も提出。「海洋放出を止めてください」という声は知事室には届いただろうか。
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【「子に美しい環境を残したい」】
 福島テルサで開かれた集会で、共同代表の佐藤和良さん(いわき市議)は「国も東電も『復興と廃炉を両立させる』という姿勢を貫いているが、海洋放出が強行されれば福島県の漁業は壊滅的な打撃を受ける。私たちが流させてしまったら近隣諸国をはじめ、全世界に対してわれわれが加害者になってしまう。私たちは被害者から加害者になってはいけない」とあいさつ。福島県内の「浜通り」、「中通り」、「会津地方」から1人ずつが抗議のスピーチをした。
 南相馬市の佐藤智子さんは「私たち福島県民は、未来の子どもたちに美しい環境を残したいという想いがあります。『海洋放出して欲しくない』ということを声を大にして訴え続けていきたいです」と力をこめた。
 郡山市から参加した川井ひろみさんは「海はつながっています。汚染された水は地球を循環します。私たち日本人も、周囲を海に囲まれ海のものを食べてきた〝海の民〟。どれだけ微量でも、放射性物質は私たちの身体に蓄積されていきます。海洋放出に断固、反対します」と訴えた。
 会津坂下町の千葉親子さん(甲状腺ガン支援グループ「あじさいの会」事務局長)も「海洋放出は、浜通りだけの問題ではありません。原発事故の責任を誰もとっていないなか、海洋放出による被害が生じたら誰が責任を負うのでしょうか。断固反対の意思を会津から示していきたい」と話した。
 参加者は福島テルサから福島県庁までデモ行進。県庁前での抗議行動では、まず共同代表の織田千代さん(いわき市)がマイクを握った。
 「トリチウムは世界中で海に流されていると言うけれど、原発事故が起きた福島から流されるものは違うんじゃないの?ALPS処理水と呼んで基準値以下に薄めて流すから大丈夫と言うけれど、毎日毎日流したら、海底に放射性物質が積もってしまうんじゃないの?子どもを海水浴に連れて行って大丈夫?海には境界線はないのだから福島だけの問題ではないでしょう………市民のこのような疑問に対して、きちんと答えられていません。ていねいな説明はまったくされていません。もう決まったことなのだからあきらめるしかないと思わされているような気がします」
 そして、集まった人々に呼びかけた。
 「もう一度原発事故直後の気持ちに戻って、みんなが協力してこの国を安心できる国にしていこうという方向に進みますように。私たちの声が未来へ進む力となりますように。元気を出していきましょう!」

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①集会で「未来の子どもたちに美しい環境を残したい」と話した佐藤智子さん=福島テルサ
②参加者は福島県庁までデモ行進をして「海洋放出反対」を訴えた
③福島県庁前での抗議スタンディング。韓国からのメッセージも代読された

【韓国漁民「大切な海を滅ぼすな」】
 「汚染水をまき散らした海に、子や孫を連れて海水浴に行くことはできません」、「内堀知事、海洋放出を止めてください」という参加者の声に加え、韓国・全国漁民会総連盟の執行委員長、キム・ヨンチョルさんから寄せられたメッセージも代読された。
 「海は、私たち漁民にとって生活の基盤です。海は住み慣れたわが家であり、仕事場であり、家族・友人のような人生の同伴者でもあります。海にいつも感謝の気持ちを捧げながら生きてきました」
 「それなのに、隣国の日本が原発事故で発生した放射性汚染水を海に捨てるというとんでもない計画を立ててしまいました。この知らせをはじめて聞いたとき、私は、大変驚き、慌てずにはいられませんでした。安全なら、農業用水でも飲料水でも日本国内で自由に使えばいいのに…。汚染水の海洋放出は、私たちのような漁民の暮らしだけでなく、この大切な海を滅ぼすということです」
 「私たちが沈黙すれば、日本政府は私たち漁民が海洋放出に同意したと理解するでしょう。私たち漁民が真剣に怒るとどれほど怖いかを見せましょう。私たち自身の力を信じて、後悔なく最後まで叫びましょう。ひとたび汚染水が海に捨てられると、再び拾い集めることはできません」
 福島県農民連事務局長の佐々木健洋さんは「国と東電は2015年に福島県漁連と交わした文書約束(『関係者の理解なしにいかなる処分も行わない』)を反故にし、県民を裏切り続けています。決して許されません」と語気を強めた。
 「農家は賠償金を得るために働いているのではありません。賠償金を出すから納得しろという問答無用の対応は、農家のものづくりのプライドを踏みにじり、あまりにも無辱しており容認できません」
 参加者は、「理解と合意なき汚染水の海洋放出の中止を求める要請書」を提出した。
 内堀雅雄知事に対し「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」とする福島県漁連等との文書約束を守り、理解と合意のないまま汚染水の海洋放出は行わないよう政府と東京電力に求めること―など4点の履行を求めている。
 要請書を受け取った福島県原子力安全対策課の伊藤繁課長は「皆さんの意見は内堀知事に報告したい。国にも届ける」と答えるにとどまった。意見交換では「海洋放出前提で話しているじゃないか」との指摘も。「海洋放出以外に方法がないと県は考えているのか」という質問には「国の説明としては、処理水を地上に保管することが難しくなっているということ」と答えた。
 終了後、取材に応じた伊藤課長は「金で解決はできないと思います。本気で漁業者を守るという政府の姿勢が伝わったときには、諸手を挙げて賛成することにはならないだろうけれど『協力するか』ということになるのかな」と話した。

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①福島県庁前で織田千代さんは「ていねいな説明はまったくされていない。もう決まったことなのだからあきらめるしかないと思わされているような気がする」と怒りを口にした。右は佐藤和良さん
②要請書を受け取った福島県原子力安全対策課の伊藤繁課長(左)は席上、「皆さんの意見は内堀知事に報告したい。国にも届ける」と答えるにとどまった
③福島県知事宛ての要請書。「理解と合意のないまま汚染水の海洋放出は行わないよう政府と東京電力に求めること」などを求めている

【「正確な情報の共有、不十分」】
 福島県の内堀知事は海洋放出への賛否は明言していないが、事実上の「容認」を貫いている。19日午前の定例会見では、朝日新聞記者からの質問に次のように答えた。
 「世界各国、地域における処理水に対する受け止め方というものが、それぞれの地域によって異なってきていると受け止めています。まず韓国においてはユン大統領と岸田総理が直接会談をされてから状況が大きく変化しつつあると思いますし、一方で韓国内にはさまざまなご意見もありますので、予断を許さない状況かと思います。また、パラオの大統領とも、私も短い時間ではありましたが懇談しておりますが、お互いの信頼関係というものがあるなということを実感しております。あるいは先般、リトアニアの大使ともお話ししておりますが、こういった方々と処理水の問題、農産物の輸入規制の問題等も正確な情報発信を政府として取り組んでいただき、一定の成果が出つつあるかと思います。ただ一方で、例えば中国であったり、あるいは香港。こういったところにおける反応等をみておりますと、やはり処理水の正確な情報が十分に共有されているかと言えば、まだまだというところもあろうかと思います。今後、IAEAにおいて包括的報告書というものがとりまとめられる予定であると聞いておりますが、IAEAなど科学的で客観的な機関の報告書も活用しながら、ていねいに説明を続け、理解を深めていくことが極めて重要だと考えています」
 「改めて福島県としての基本的な考え方をお話ししたいと思います。やはり大事なことはALPS処理水の取り扱いでありますが、これまで国に対し、政府に対して関係者へのていねいな説明や情報発信の充実・強化、万全な風評対策に責任をもって取り組むことなどを強く求めてきました。先日、国への提案・要望活動において西村経産大臣とお会いした際も国内外の理解醸成にさらに力を入れていきたいというお話がありました。国においては、行動計画のなかで理解醸成に向けた具体的な取り組みを自ら示しています。そうした取り組みについて最後まで責任を持って取り組むべきと考えています」



(了)
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鈴木博喜

Author:鈴木博喜
(メールは hirokix39@gmail.com まで)
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