【汚染土壌の再利用】あきらめていなかった環境省「所沢も新宿も実証事業計画は継続中」 2045年の「福島県外最終処分」に向け〝理解醸成という名の懐柔〟続ける意向
- 2023/09/03
- 17:12
環境省はちっともあきらめてはいなかった―。昨年暮れに突如として浮上した埼玉県所沢市や東京都・新宿御苑での「福島県外での除去土壌の再生利用実証事業計画」。地元住民からは激しく反対されているが、同省官僚は8月19日に都内で行われた「対話フォーラム」終了後の囲み取材で「計画は継続している」と述べ、あくまでも計画完遂に向けて今後も取り組んでいく意向を示した。原発事故後の除染で生じた汚染土壌(いわゆる〝除去土壌〟)は福島県内の中間貯蔵施設内に保管されているが、2045年までに福島県外で最終処分するため環境省は少しでも量を減らしたい。反対の声を封じるため、今後も〝理解醸成という名の懐柔〟を続けるという。

【「説明を尽くすしかない」】
終了後の囲み取材。筆者は反対の声が高まっている埼玉県所沢市や東京・新宿御苑での実証事業が現在、どういう扱いになっているのかを尋ねた。それは、対話フォーラムの終盤で、環境省環境再生・資源循環局の前佛和秀局長が次のように発言したからだ。
「福島県外での実証事業ということで新宿と所沢の環境省の施設内で小規模な花壇等々ということになりますが実証事業をやろうということで、住民等への説明を開始させていただいたというところ。これまで福島県内で実証事業をやってきたので安全性は確認させていただいた。ただ今後、福島県外で再生利用等を行うということになるのであれば、やはり皆様方に安全であるということを知っていただかなければ前には進まないだろう。環境省の施設内で、しっかり環境省が管理しているなかでということになるが、福島県外でもよく知っていただこうということで実証事業を考えさせていただいた。皆様方やはり放射能に対する不安といいますか、安全についての不安、さまざまなご意見、ご質問、強い意見もございました。いま少し、そういったことで引き取った形になっておりますので、しっかりていねいに対応していかなければいけないかなと思っております。今後、福島県外に展開していくためには、まずは皆様方に知っていただくことが大事。そのための情報発信にもなると考えたところです」
「引き取った」というのはいったん、計画を白紙撤回したと捉えて良いのか。所沢市議会は今年3月、「住民合意のない除去土壌再生利用実証事業は認めない決議」を採択している。しかし、環境省・環境再生施設整備担当参事官室の大野皓史参事官補佐はきっぱりと否定した。
「現在、計画は継続しておりまして今後、環境省としてはより分かりやすいご説明ですとかご安心いただけるような話をできるように、さまざまな準備を進めております。そういったものが整いましたら再開していきたいと考えております」
さまざまな準備、とは何か?
「いただいたご質問やご意見に対して、環境省としてよりしっかり分かりやすくお答えできるように準備をしているということです」
計画そのものはずっと生きている?
「はい」
反対意見が大半を占めるなかで本当にできるのか?
「そこは環境省として説明を尽くしていくしかない。昨年12月に一度ご説明したが、どういった形でやるかということも含めて、環境省としてご説明することを検討している」
所沢と新宿で実証事業を行うという意思は変わらない?
「はい」





①対話フォーラムで「『再生利用』をしっかりと進めていかなければいけない」と改めて強調した環境省の前佛局長
②フリーアナウンサーの中野美奈子氏(四国電力グループ四電工の社外取締役)は「環境省のホームページで正しい情報を学んでください」と呼びかけた
③後半からリモート参加したなすび氏(福島環境・未来アンバサダー)は「首都圏近郊の方々には『なぜ、こっちに持ってこなければならないのか』という意見もあるが、福島の原発は首都圏に電力を供給するためのものだった。そういうことも鑑みて欲しい」と述べた
④「100ミリシーベルトより少ない被曝量ではガンリスクは小さすぎて証明できない。一度の100ミリシーベルトを浴びるのと、少しずつ10年間被曝して100ミリシーベルトに達するのとでは、一度に浴びる方が健康リスクが出やすい」と述べた高村昇氏
⑤終了後のフォトセッションで、2人のフルーアナウンサーとの撮影に臨む環境大臣。「これまでの福島県内での実証事業で安全性を確認している。福島県外も含めて、実証事業を理解醸成の場として活用していくことが重要だと考えている」と述べた
【「除去土壌は土木資材」】
なぜ、そこまでして「除染作業で生じた汚染土壌」を福島県外に持ち出そうとしているのか。「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法」という聞き慣れない法律に答えがある。
「国は………中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする」
福島県内各地に黒いフレコンバッグで仮置きされていた汚染土壌。中間貯蔵施設への搬入が始まったのが2015年だから、2045年までに福島県外に最終処分場を設けなければならない。しかし、最終処分場をどこに置くのか議論すら始まっていない。だから環境省の前佛局長は、対話フォーラムで次のように強調した。
「『除去土壌』はいま、だいたい1400万立方メートルという量です。東京ドームに例えると11杯分くらい。大変な量だということです。たしかに、最終処分場を設けて処理をするというのもひとつの方策かと思います。ただ、それをやろうとすると中間貯蔵施設までとは言いませんが、かなり膨大な土地が必要になってくる。それが可能かというと現実的にはかなり厳しいのではないかとひとつ考えた。一方で『除去土壌』というのは土です。放射性物質が含まれていますが、やはり土木資材で使われている土です。ですので『安全なレベル』を設定したうえでということになりますが、土ですので、土木資材として有効に活用できるのではないか。活用できれば、最終処分場ができるだけ小さく済むであろうと。そうすれば最終処分も進むのではないかということで、この『再生利用』をしっかりと進めていかなければいけないのではないか」
量を減らすために「安全なレベル」にまで「処理」して再利用する。再利用する場合にはしっかりと管理をするし、モニタリングも行う。そもそも土は土木資材だ………。汚染水の海洋放出問題でも耳にした理屈が、ここでも展開されている。
しかし、福島県外での実証事業計画は現実には前に進んでいない。そもそも放射能に汚染された土壌は集中管理が原則だ。福島県外での最終処分など本当にできるのだろうか。その点も囲み取材で質問したが、環境省環境再生・資源循環局の戸ヶ崎康企画官は実現可能性には触れずに、次のようにだけ答えた。
「再生利用も含めてですが、まず、どういうことをやろうとしているのかということを皆さんにご理解いただくこと。現状としては、まだ皆さんにお伝えできていない。特に8000ベクレルの話とか放射線の安全性についても、今日の対話フォーラムに来ていただいた方は理解しているようで、お話しすれば分かってくれる話もあると思う。そういうことをまず伝えて、そのうえで福島県外での最終処分がどうなのかということを考えていただく必要がある。われわれとしては、まだまだやることがあるのではないかと考えています」
まず「理解」。その点も海洋放出問題と同じなのだ。






①②③④会場から出された意見は大半が「再生利用」に好意的。厳しい意見はかなり少なかった。ファシリテーターは開沼博氏が務めた
⑤対話フォーラム会場入り口に設置されたパネルでは、お笑い芸人の小島よしお氏が「再生利用」の必要性をアピール
⑥配付資料には「30年以内の福島県外最終処分は果たさなければいけない約束」と書かれている
【「環境省HPで正しい情報を」】
67人が集まった「対話フォーラム」では、当然ながら「再生利用」を後押しする発言が相次いだ。
フリーアナウンサーの中野美奈子氏(四国電力グループ四電工の社外取締役)は「正しい情報」という言葉を何度も口にした。
「環境省という日本の行政機関がちゃんとしたデータというかそういうものをたくさん持っていますので、そういったしかるべき機関から正しい情報…いまどれくらいの線量が出ているか、除去土壌が今後意、福島県外に行くとなった場合にどういったルートでどういった方法で安全性を確認しながら運ばれていくのか、実際にホームページでも徐々に新しくデータが更新されていますので、受け取る側の私たちもただ単に怖いな、目に見えなくてどうなるんだろうと不安になるだけではなくて、そういった正しい情報を自分たちから拾いに行く。SNSには情報が氾濫していますが、そこには正しい情報もあれば、ただただ不安をあおる情報もたくさんあると思うので、私は環境省というちゃんとした機関が専門の先生と一緒につくっているホームページがあるので、正しい情報を学んで、知って安心していくということが大切なのではないか。みなさん一度、環境省のホームページをのぞいてみてください。分かりやすくて、とてもカラフル。そういうものを活用して、私も世の中に正しい情報を伝えていきたい」
2020年9月、環境省から「福島環境・未来アンバサダー」第1号に任命された、お笑い芸人のなすび氏(福島市出身)は首都圏からの異論に、やんわりと釘を刺した。
「首都圏近郊の方々には『なぜわざわざこっちに持ってこなければならないのか』という意見もあると思う。根本的なところでひとつ、想像力を働かせて欲しい。実は福島県にある原発は首都圏に電力を供給するための発電所だったのです。それをひとつ頭に入れていただいて、それですべてが解決できるわけではないが、そういうことも鑑みながらいろいろな議論が進んでいったらいいなと思っております」
リモート参加した北海道大学大学院工学研究院資源循環材料学研究室の佐藤努教授は「行政区分に関係なく汚染した。福島県内で生じた汚染土壌が多いのは間違いないが、東京や茨城、栃木にも量は少ないが同様のものはある。福島以外のあるんだと、自分事として考えていただきたい」と語った。
なお、所沢市の藤本市長は6月22日の市議会本会議で、次のように答弁している。
「市民の安心安全が確保され、市民の理解が得られることが大前提であると私が申し上げたのは、昨年6月に本事業のお話を伺ったその当初からであります。その後、国が住民説明会を開催したのが12月16日、1月には弥生町の方々が決議をされ、1月31日には市議会への説明に環境副大臣が来られましたが、その夕方、新聞記者の方に取材をされ、私は地元の皆さんが理解したと言わない限り、現段階でうんとは言いませんともう一度お伝えしました…私といたしましては、昨年6月から一貫して申し上げている内容に変わりはありません」
ここでも、最後はカネで「理解」させるのだろうか。
※関連記事
【8000Bq/kg以下は公共工事へ】「汚染土壌は貴重な資源」~環境省方針に1万超す反対署名(2016年)
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【汚染土壌の再利用】除染土再利用が復興支援なのか? 埼玉・所沢で福島県外初の実証実験計画 周知不足のまま16日夜に限定的な住民説明会 市役所には苦情相次ぐ(2022年)
http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-693.html
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http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-698.html
(了)

【「説明を尽くすしかない」】
終了後の囲み取材。筆者は反対の声が高まっている埼玉県所沢市や東京・新宿御苑での実証事業が現在、どういう扱いになっているのかを尋ねた。それは、対話フォーラムの終盤で、環境省環境再生・資源循環局の前佛和秀局長が次のように発言したからだ。
「福島県外での実証事業ということで新宿と所沢の環境省の施設内で小規模な花壇等々ということになりますが実証事業をやろうということで、住民等への説明を開始させていただいたというところ。これまで福島県内で実証事業をやってきたので安全性は確認させていただいた。ただ今後、福島県外で再生利用等を行うということになるのであれば、やはり皆様方に安全であるということを知っていただかなければ前には進まないだろう。環境省の施設内で、しっかり環境省が管理しているなかでということになるが、福島県外でもよく知っていただこうということで実証事業を考えさせていただいた。皆様方やはり放射能に対する不安といいますか、安全についての不安、さまざまなご意見、ご質問、強い意見もございました。いま少し、そういったことで引き取った形になっておりますので、しっかりていねいに対応していかなければいけないかなと思っております。今後、福島県外に展開していくためには、まずは皆様方に知っていただくことが大事。そのための情報発信にもなると考えたところです」
「引き取った」というのはいったん、計画を白紙撤回したと捉えて良いのか。所沢市議会は今年3月、「住民合意のない除去土壌再生利用実証事業は認めない決議」を採択している。しかし、環境省・環境再生施設整備担当参事官室の大野皓史参事官補佐はきっぱりと否定した。
「現在、計画は継続しておりまして今後、環境省としてはより分かりやすいご説明ですとかご安心いただけるような話をできるように、さまざまな準備を進めております。そういったものが整いましたら再開していきたいと考えております」
さまざまな準備、とは何か?
「いただいたご質問やご意見に対して、環境省としてよりしっかり分かりやすくお答えできるように準備をしているということです」
計画そのものはずっと生きている?
「はい」
反対意見が大半を占めるなかで本当にできるのか?
「そこは環境省として説明を尽くしていくしかない。昨年12月に一度ご説明したが、どういった形でやるかということも含めて、環境省としてご説明することを検討している」
所沢と新宿で実証事業を行うという意思は変わらない?
「はい」





①対話フォーラムで「『再生利用』をしっかりと進めていかなければいけない」と改めて強調した環境省の前佛局長
②フリーアナウンサーの中野美奈子氏(四国電力グループ四電工の社外取締役)は「環境省のホームページで正しい情報を学んでください」と呼びかけた
③後半からリモート参加したなすび氏(福島環境・未来アンバサダー)は「首都圏近郊の方々には『なぜ、こっちに持ってこなければならないのか』という意見もあるが、福島の原発は首都圏に電力を供給するためのものだった。そういうことも鑑みて欲しい」と述べた
④「100ミリシーベルトより少ない被曝量ではガンリスクは小さすぎて証明できない。一度の100ミリシーベルトを浴びるのと、少しずつ10年間被曝して100ミリシーベルトに達するのとでは、一度に浴びる方が健康リスクが出やすい」と述べた高村昇氏
⑤終了後のフォトセッションで、2人のフルーアナウンサーとの撮影に臨む環境大臣。「これまでの福島県内での実証事業で安全性を確認している。福島県外も含めて、実証事業を理解醸成の場として活用していくことが重要だと考えている」と述べた
【「除去土壌は土木資材」】
なぜ、そこまでして「除染作業で生じた汚染土壌」を福島県外に持ち出そうとしているのか。「中間貯蔵・環境安全事業株式会社法」という聞き慣れない法律に答えがある。
「国は………中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずるものとする」
福島県内各地に黒いフレコンバッグで仮置きされていた汚染土壌。中間貯蔵施設への搬入が始まったのが2015年だから、2045年までに福島県外に最終処分場を設けなければならない。しかし、最終処分場をどこに置くのか議論すら始まっていない。だから環境省の前佛局長は、対話フォーラムで次のように強調した。
「『除去土壌』はいま、だいたい1400万立方メートルという量です。東京ドームに例えると11杯分くらい。大変な量だということです。たしかに、最終処分場を設けて処理をするというのもひとつの方策かと思います。ただ、それをやろうとすると中間貯蔵施設までとは言いませんが、かなり膨大な土地が必要になってくる。それが可能かというと現実的にはかなり厳しいのではないかとひとつ考えた。一方で『除去土壌』というのは土です。放射性物質が含まれていますが、やはり土木資材で使われている土です。ですので『安全なレベル』を設定したうえでということになりますが、土ですので、土木資材として有効に活用できるのではないか。活用できれば、最終処分場ができるだけ小さく済むであろうと。そうすれば最終処分も進むのではないかということで、この『再生利用』をしっかりと進めていかなければいけないのではないか」
量を減らすために「安全なレベル」にまで「処理」して再利用する。再利用する場合にはしっかりと管理をするし、モニタリングも行う。そもそも土は土木資材だ………。汚染水の海洋放出問題でも耳にした理屈が、ここでも展開されている。
しかし、福島県外での実証事業計画は現実には前に進んでいない。そもそも放射能に汚染された土壌は集中管理が原則だ。福島県外での最終処分など本当にできるのだろうか。その点も囲み取材で質問したが、環境省環境再生・資源循環局の戸ヶ崎康企画官は実現可能性には触れずに、次のようにだけ答えた。
「再生利用も含めてですが、まず、どういうことをやろうとしているのかということを皆さんにご理解いただくこと。現状としては、まだ皆さんにお伝えできていない。特に8000ベクレルの話とか放射線の安全性についても、今日の対話フォーラムに来ていただいた方は理解しているようで、お話しすれば分かってくれる話もあると思う。そういうことをまず伝えて、そのうえで福島県外での最終処分がどうなのかということを考えていただく必要がある。われわれとしては、まだまだやることがあるのではないかと考えています」
まず「理解」。その点も海洋放出問題と同じなのだ。






①②③④会場から出された意見は大半が「再生利用」に好意的。厳しい意見はかなり少なかった。ファシリテーターは開沼博氏が務めた
⑤対話フォーラム会場入り口に設置されたパネルでは、お笑い芸人の小島よしお氏が「再生利用」の必要性をアピール
⑥配付資料には「30年以内の福島県外最終処分は果たさなければいけない約束」と書かれている
【「環境省HPで正しい情報を」】
67人が集まった「対話フォーラム」では、当然ながら「再生利用」を後押しする発言が相次いだ。
フリーアナウンサーの中野美奈子氏(四国電力グループ四電工の社外取締役)は「正しい情報」という言葉を何度も口にした。
「環境省という日本の行政機関がちゃんとしたデータというかそういうものをたくさん持っていますので、そういったしかるべき機関から正しい情報…いまどれくらいの線量が出ているか、除去土壌が今後意、福島県外に行くとなった場合にどういったルートでどういった方法で安全性を確認しながら運ばれていくのか、実際にホームページでも徐々に新しくデータが更新されていますので、受け取る側の私たちもただ単に怖いな、目に見えなくてどうなるんだろうと不安になるだけではなくて、そういった正しい情報を自分たちから拾いに行く。SNSには情報が氾濫していますが、そこには正しい情報もあれば、ただただ不安をあおる情報もたくさんあると思うので、私は環境省というちゃんとした機関が専門の先生と一緒につくっているホームページがあるので、正しい情報を学んで、知って安心していくということが大切なのではないか。みなさん一度、環境省のホームページをのぞいてみてください。分かりやすくて、とてもカラフル。そういうものを活用して、私も世の中に正しい情報を伝えていきたい」
2020年9月、環境省から「福島環境・未来アンバサダー」第1号に任命された、お笑い芸人のなすび氏(福島市出身)は首都圏からの異論に、やんわりと釘を刺した。
「首都圏近郊の方々には『なぜわざわざこっちに持ってこなければならないのか』という意見もあると思う。根本的なところでひとつ、想像力を働かせて欲しい。実は福島県にある原発は首都圏に電力を供給するための発電所だったのです。それをひとつ頭に入れていただいて、それですべてが解決できるわけではないが、そういうことも鑑みながらいろいろな議論が進んでいったらいいなと思っております」
リモート参加した北海道大学大学院工学研究院資源循環材料学研究室の佐藤努教授は「行政区分に関係なく汚染した。福島県内で生じた汚染土壌が多いのは間違いないが、東京や茨城、栃木にも量は少ないが同様のものはある。福島以外のあるんだと、自分事として考えていただきたい」と語った。
なお、所沢市の藤本市長は6月22日の市議会本会議で、次のように答弁している。
「市民の安心安全が確保され、市民の理解が得られることが大前提であると私が申し上げたのは、昨年6月に本事業のお話を伺ったその当初からであります。その後、国が住民説明会を開催したのが12月16日、1月には弥生町の方々が決議をされ、1月31日には市議会への説明に環境副大臣が来られましたが、その夕方、新聞記者の方に取材をされ、私は地元の皆さんが理解したと言わない限り、現段階でうんとは言いませんともう一度お伝えしました…私といたしましては、昨年6月から一貫して申し上げている内容に変わりはありません」
ここでも、最後はカネで「理解」させるのだろうか。
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【汚染土壌の再利用】県外搬出へとにかく減らしたい環境省。「県内最終処分だ」「福島県民を実験台にするな」。二本松市民が市道での実証実験中止を要請(2018年)
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http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-695.html
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http://taminokoeshimbun.blog.fc2.com/blog-entry-698.html
(了)
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