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【自主避難者から住まいを奪うな】都内イベントで避難者たちが抗議行動。交流会でも直接訴えるが、内堀知事は「来春での打ち切り方針に変わりない」

避難者たちの切実な声は、またも一蹴された。23日、東京国際フォーラムで開かれた「ふくしま大交流フェア」(福島県、東京都の共催)で、ステージ上の内堀雅雄知事に「住宅提供打ち切り撤回してください」とプラカードを掲げながら〝直訴〟。別室で行われた避難者交流会でも内堀知事に直接、住宅の無償提供継続を求める声が寄せられたが、内堀知事は「打ち切り方針に変わりはない」と明言した。打ち切り強行まで3カ月。依然として多くの避難者が次なる住まいを確保できていないまま、つらい新年を迎えようとしている。


【「避難者の声を聴いて下さい」】
 もはや打つ手は無いのか。避難者交流会終了後、囲み取材(朝日新聞、共同通信、本紙)に応じた内堀雅雄知事の答えは、そう思わせるほどはっきりとしていた。
 「今日も、自主避難者から『現行制度の中で住宅の無償提供を継続して欲しい』という声はありました。しかし、新たな支援に移行する考えに変わりはありません。今後も戸別訪問などで最大限、努力させていただきます」
 それはまるで、これ以上抗議や直訴をしても無駄だと避難者たちに向けて〝宣言〟しているかのようだった。
 東京国際フォーラムで開催された「ふくしま大交流フェア」。福島県内の自治体がブースを出し、特産品や観光、移住をPRする中、ステージでは内堀知事と大野均氏(ラグビー日本代表、郡山市出身)、室屋義秀氏(エアレース・パイロット、福島市在住)のトークショーが13時から行われた。大野氏が「実家は農家。怪我をしない体は福島で培われた」。室屋氏が「非常に誤解が多い。正しい情報を発信したいし、福島に来て見て欲しい」と語ると、内堀知事も「福島県は復興している」、「2人は最高の同志だ。『挑戦』と『継続』はスポーツと復興の共通点。あきらめず続ける事が大事」とアピールした。復興への取り組みは「継続」するが、避難者への住宅無償提供は「継続」しない内堀知事。30分ほどのトークショーが終了する時、客席の避難者たちが立ち上がった。
 「避難者の声を聴いて下さい」
 「打ち切りを撤回してください」
 「内堀知事、逃げるな」
 客席がざわつく。しかし、内堀知事は11月下旬の福島県庁直訴行動同様、避難者には一瞥もくれずにステージ裏に下がった。またもや避難者の声は無視された。






(上)内堀知事も参加したトークショーが終わると、客席から「避難者の声を聴いて下さい!」と抗議の声があがった
(中)「住宅提供打ち切り撤回してください」とプラカードを掲げた村田弘さん。あきらめず抗議を続けている
(下)支援者たちも「追い出さないで!」、「逃げないで、内堀さん」とステージ上の内堀知事に向けてプラカードを掲げた

【「この1年、復興が進んだ」】
 抗議行動を展開したのは、福島県から東京都や神奈川県に〝自主避難〟している人々。「ふくしま大交流フェア」でのスタンディングは昨年に続いて2回目だ。「福島原発かながわ訴訟を支援する会」(ふくかな)のメンバーも協力。会場入り口では住宅無償提供打ち切りに反対する署名集めも行われた。福島県が設定した打ち切り期限まで3カ月。「かながわ訴訟」の原告団長でもある村田弘さんは「なかなか成果があがらず、虚しくなることもある」と本音も漏らしたが、行列を作る人々にビラを配り、頭を下げて賛同を求めた。「ふくかな」のメンバーは「このままでは原発避難者が切り捨てられてしまいます」と訴えて署名を集めた。 
 14時からは、国際フォーラム内の会議室で「ふくしま避難者交流会」が開かれ、内堀知事も出席した。双葉町、浪江町など主に双葉郡の避難者を中心に、元の住所別にテーブルが設けられた。不動産や就労、賠償請求などテーマ別に相談コーナーも。
 福島県避難者支援課の松本雅昭課長が「復興の現状と取組等について」と題して説明し、今なお、県内外に8万3千人が避難している事、避難指示区域外からの避難者(いわゆる〝自主避難者〟)に対しては2017年3月末でみなし仮設住宅の提供を終了する事などを早口で語った。「帰還困難区域以外は面的除染が進んでいる」とも。スパリゾートハワイアンズダンシングチームのフラダンスが披露された後、内堀知事が登場した。
 「この1年、復興が進みました。と言っても、避難指示が解除されてもすぐに元の故郷に戻るわけではありません」
 そう挨拶すると、各テーブルを廻って避難者に声を掛けた。取材者は「避難者のプライバシー保護」を理由に、この時点で退出を命じられた。最初のテーブルでは、床に膝をついて避難者と話す内堀知事の姿が見えた。






(上)ステージで「今年も復興が進んだ」と語った内堀知事。避難者たちの直訴にも「打ち切り方針に変わりはない」と明言した
(中)会場の東京国際フォーラムでは住宅無償提供打ち切りに反対する署名集めも展開された
(下)抗議行動に参加した山田俊子さん。福島県南相馬市から神奈川県内に自主避難中。間もなく住宅が打ち切られる

【約30分の〝避難者交流〟】
 予定時間を超過して、しかし30分ほどで終了した「避難者との交流」。これが、内堀知事が常々「避難者の声は交流会などを通じて聴いている」と話している「避難者との対話」の現実だ。切り捨てられる避難者たちは決定権者である内堀知事との直接対話を要望し続けているが、県庁職員が拒んでいる根拠の一つに、この交流会がある。
 内堀知事も認めるように、交流会でも〝自主避難者〟から住宅の無償提供継続を求める声があがった。しかし、内堀知事の結論は何ら変わらない。4月以降の「新たな支援策」について部分的な修正に応じたのみ。これで、内堀知事が避難者の想いに耳を傾けていると言えるだろうか。
 神奈川県内では、12月議会で神奈川県議会や相模原市議会、厚木市議会などが住宅の無償提供を求める意見書提出を可決。内堀知事に全国から寄せられた意見書は40を超える。しかし、それらも無視して打ち切りは強行されようとしている。
 「大交流フェア」では、自治体のブースに加えて「コミュタン福島」や環境省の「除染情報プラザ」、「福島県米消費拡大推進連絡会議」、「福島県教育旅行」も出展した。福島県への移住相談コーナーも設けられた。白河ラーメンやなみえ焼きそば、国見バーガー、福島の地酒などの「ご当地グルメコーナー」には長い列が出来た。帰還促進、行って応援、食べて応援、呑んで応援は推奨されるが、避難の権利は守られない。2020年の東京五輪に向けて避難者は切り捨てられていく。
 ネット上では「いつまで支援すればいいんだよ」、「復興と風評払拭をアピールする場で何をやってるんだかね。ジャマすんなと言いたい」、「公的に支援しなければいけない根拠って何だろう?」などと、避難者の抗議行動に厳しい言葉が並んだ。この日の都心は気温が19℃を超える暖かさだったが、原発避難者には寒風が容赦なく吹き付ける。打ち切りまで3カ月。



(了)



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プロフィール

Author:鈴木博喜
大手メディアが無視する「汚染」、「被曝」、「避難」を追い続けています。

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